コウモリが寄ってくる家の特徴|入れる隙間は1cm、餌を捕るのは家の外
同じ通りなのに、うちにだけコウモリが来る。
そう感じている人が多い問いです。
先に答えを言うと、家の中に餌があるからではありません。
コウモリが食べているのは飛んでいる小さな虫で、捕っているのは家の外です。
では何が違うのか。
隙間です。
この記事では、学術誌の解説と自治体の資料をもとに、どこに何センチの隙間があると入られるのかを整理します。
追い出してよい時期と、やってはいけない時期も分けて書きました。
- 寄ってくる家の特徴は隙間。アブラコウモリは1cmあれば入れる
- 餌は家の中にない。捕っているのは川や住宅地の上の空
- 塞ぐなら1cm以下のメッシュ。上だけ留めて、出られるが入れない形にする
- 6月下旬から8月上旬は追い出さない。飛べない子が中にいる

出入口が1か所だと思って塞いだのに、まだ音がする。そういうときは、まだ見つけていない口が残っています。
寸法がはっきり書かれた資料があります。
学術誌の解説は、こう書いています。
アブラコウモリは 1cm の隙間があると入れる
※出典:大沢啓子・大沢夕志「家屋・建物内をねぐらにするコウモリ」都市有害生物管理 6巻2号 91-95ページ(2016年)。以下、同じ解説からの引用は出典名を省きます(2026年8月28日確認)。
1センチです。
指1本が入らない幅でも通ります。人が見て「ここは無理だろう」と思う場所が、そのまま入口になります。
日本には約35種のコウモリがいて、家に入るのはほとんどがアブラコウモリです。茨城県つくばみらい市が「よく見られるのは『アブラコウモリ』という種類です」と書いています。
家のどこにいるか|屋根裏・瓦の下・戸袋の中
場所も具体的に挙げられています。
同じ解説は、アブラコウモリのねぐらを「人家の屋根裏や瓦の下、戸袋の中、ビルの隙間、ビル屋上のパラペットカバーの下など」としています。
アブラコウモリが使う場所と、見るときの手がかり
| 場所 | 見るときの手がかり |
|---|---|
| 屋根裏 | 夕方に音がする。天井にしみが出る |
| 瓦の下 | 外から見上げると瓦の端が浮いている |
| 戸袋の中 | 雨戸を出し入れしていない家で多い |
| 換気口・配管まわり | カバーの網が破れている |
| 外壁と屋根の取り合い | 板金の継ぎ目が開いている |
場所の記載は前掲の解説から。手がかりの欄は当サイトが整理したものです。
戸袋がいちばん見落とされます。雨戸を何年も動かしていない家では、戸袋の中が誰にも見られない空洞になっています。
かんたんに言うと、使っていない隙間が狙われます。
「生ゴミを片付けたのに来る」という話をよく聞きます。
理由があります。
解説は、アブラコウモリの食べ物と、それを捕る場所をこう書いています。
食べ物は小さな昆虫で、川の上、住宅地の上、公園や駐車場の上などオープンな空間で捕っている
福岡県の資料も「小型のハエ目、チョウ目、カメムシ目、コウチュウ目などの昆虫を飛びながら食べます」としています。
つまり家は食堂ではなく、寝床です。
台所を片付けても、庭の草を刈っても、寝床としての隙間が残っていれば来ます。
ここからは編集部の見方です。
「餌を断つ」という発想がコウモリには効きません。ゴキブリやネズミの対策をそのまま持ち込むと、方向がずれます。見るのは食べ物ではなく、隙間です。
なお福岡県は、カやウンカを捕食するため益獣としての側面もあると書いています。
一匹見たら何匹いるか|出産は6月下旬から7月はじめ、2〜3頭
数の話もしておきます。
解説は「東京周辺だと、6月下旬頃から7月はじめに通常2-3頭の子どもを出産する」としています。コウモリは一度に1頭しか産まない種がほとんどで、アブラコウモリは産仔数が多いほうです。
幼獣は1か月ほどで飛べるようになります。寿命はメスで最大5年、オスで3年です。
1匹入っていれば、夏には数が増えます。増えることを前提に、時期を選んでください。
ここは切り分けの話です。
フンが落ちている=屋根裏に巣がある、とは限りません。
解説にはナイトルーストという行動が書かれています。
夜ナイトルーストといって、建物の壁にとまって休憩することがある。特に害はないのだが、糞が落ちるのが気になるときは、光をあてたり、爪がかからないように壁面をつるつるにするなどが考えられる
壁にとまって休んでいるだけ、という状態があります。
この場合、家の中には入っていません。塞ぐ工事は要りません。
「住みついている」と「とまっているだけ」の分かれ目
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| 住みついている | とまっているだけ(ナイトルースト) | |
|---|---|---|
| フンの落ち方 | 決まった一点の真下に山になる | 壁沿いに点々と散る |
| 音 | 夕方と明け方に天井裏で聞こえる | しない |
| 出入口 | 日没前後に飛び出す穴がある | 無い |
| やること | 出入口を探して塞ぐ | 光をあてる。壁面を滑らかにする |
ナイトルーストの記載と対処は前掲の解説から。フンの落ち方と音の欄は当サイトが整理したものです。
分かれ目は出入口があるかどうかです。
解説は探し方も書いています。日没前後に建物の外から飛び出すところを観察してつきとめる方法で、「飛び出しは一瞬なので場所を特定するために何日か観察する必要があるだろう」としています。
そして、大事な一文があります。
また入口は一ヶ所とは限らない
この章のやること
- フンが一点の真下に山になっているか、壁沿いに散っているかを見る
- 一点に山になっていたら、日没前後に外から数日観察して出入口を探す
- 散っているだけなら、壁に光をあてる対処から試す

数日見ても飛び出しが分からない、あるいは口が複数ありそうだと感じた段階で、見てもらったほうが早いことがあります。
時期を外すと、取り返しがつきません。
解説は、閉め出しについてこう書いています。
これらの閉め出しは、飛べない幼獣が中にいる 6月下旬から 8月上旬は避ける
飛べない子が中に残ります。親だけ締め出す形になり、中で死にます。
北九州市も「冬眠時期及び夏の出産時期は追い出しが難しいため、それ以外の時期に対策を行う方が効果的です」と案内しています。
冬眠の時期も書かれています。アブラコウモリは11月から3月にかけて家屋や建物で冬眠し、暖かい日には出てくることもあります。
月ごとの目安(当サイトが2つの資料を突き合わせて整理・2026年8月28日)
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| 時期 | 状態 | 追い出し |
|---|---|---|
| 4月〜6月中旬 | 活動している | やれる |
| 6月下旬〜8月上旬 | 飛べない幼獣が中にいる | 避ける |
| 8月中旬〜10月 | 幼獣も飛べる | やれる |
| 11月〜3月 | 冬眠。暖かい日は出る | 避ける |
6月下旬〜8月上旬の根拠は前掲の解説(コウモリの会, 1998 を引用)。冬眠時期と出産時期を避ける案内は北九州市「よくある相談と対策【コウモリ】」。
やれる期間は、春と秋の2回だけです。
塞ぐ材料は「1cm以下のメッシュ」。上だけ留めます
出入口が分かったら、材料が決まります。
解説はこう書いています。
アブラコウモリは 1cm の隙間があると入れるので、1cm 以下のメッシュを張って中に入れないようにする。上部だけ固定して出られるけれど入れないようにするのが望ましい
上だけ留めるのが要点です。
メッシュの下を開けておけば、屋根裏に残った個体は出られます。外にいるコウモリは入れません。全部を密閉すると、中に閉じ込めることになります。
戸袋やシャッターの場合は別の手があります。解説は「頻繁に開け閉めしてコウモリにとって快適でないようにするか、出巣したのを確認して入口にガムテープを貼る」としています。
- 1cm以下のメッシュ(網目が1cmを超えていないか実測する)
- 充填剤またはパテ(コンクリートのスリット用)
- ガムテープ(戸袋・シャッター用)
- 脚立(高い場所には登らない。次の項を読む)
自分でやめる線は「高さ」です
やれるかどうかは、場所の高さで決まります。
屋根や外壁の高い位置は、足場が要る作業になります。足場は法律で構造が決まっている仮設物で、費用の性質も変わります。境目はコウモリ駆除の足場費用が高い理由にまとめました。
自分でやってよい範囲の考え方はコウモリ駆除を市役所は行いませんにあります。
この章のやること
- いまが4月〜6月中旬か、8月中旬〜10月かを確かめる
- 期間内なら、出巣を確認してから1cm以下のメッシュを上だけ留める
- 期間外なら、塞がずに時期を待つ
「一番効果的な方法」を探している人が多い問いです。
先に言うと、資料は1つに絞っていません。
自治体が挙げているのは3つです。
- 煙の出るタイプの害虫駆除剤を屋根裏に置く(北九州市)
- ナフタリン等の忌避剤を置く(北九州市)
- ライトアップして棲み心地を悪くする(北九州市)
各務原市は、これに加えてハッカなどハーブ系の香り、センサー感知の超音波、ブザー、ラジオを挙げています。
岐阜県各務原市は忌避装置を無料で貸しています
制度として持っている市があります。
各務原市は「動物が近づくと、動物の嫌がる音を出して追い払う装置」を貸し出しています。
各務原市のコウモリ忌避装置貸出(2026年8月28日確認)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 各務原市民で、居住敷地内にコウモリの糞尿などの被害を受けている人 |
| 期間 | 原則として1台を14日間 |
| 回数 | 1世帯1回限り |
| 費用 | 無料(充電は自分で行う) |
| 申込 | 電話予約または環境政策課窓口。住所を確認できる書類が必要 |
出典:各務原市「コウモリ忌避装置(防鳥防獣装置)の貸出について」。破損・紛失は使用者の弁償、使用中の故障や事故も使用者の責任と書かれています。
費用の補助ではなく、装置の貸出です。コウモリ駆除の費用そのものを補助する制度は、当サイトが2026年8月26日に確認した範囲では見当たりませんでした。
ここからは編集部の見方です。
忌避は、出て行ってもらうための入口にすぎません。装置を外せば戻れる状態が残っていれば、また入ります。最後に効くのは塞ぐことです。
そして解説には、忘れられがちな一文があります。
追い出す前にどこにいったらいいかを考えてもらいたいものだ。さもないと一つの家で追い出しても別の家に入ってトラブルを起こすだけになる
触ってしまった人向けの章です。
自治体の書き方は、はっきりしています。
つくばみらい市は「野生のコウモリには、寄生虫や感染症の原因となる菌やウイルスが付着している恐れがあるため、素手で触らないようにしましょう」と書いています。
一方で、学術誌の解説はこう書いています。
日本ではコウモリから人間への感染症の例もまったくない
2つは矛盾しません。報告された例がないことと、リスクがないことは別だからです。触らない、が結論になります。
噛まれるかどうかについても記載があります。解説は「捕まえなければ噛みつくこともない」とし、家に入ってきたコウモリは「パニックを起こしているのであって、決して人間を襲うつもりはない」と書いています。
捕まえると罰則があります
法律の側も確認しておきます。
つくばみらい市は「野生のコウモリは、鳥獣の保護および管理ならびに狩猟の適正化に関する法律により捕獲・殺傷が禁止されており、違反した場合は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられます」と書いています。
つかまえる、殺す、毒を使う。どれもできません。できるのは追い出しと封鎖です。
害獣ごとの許可の要否は害獣駆除は「捕まえていいか」で手順が変わるにまとめてあります。
1cmの隙間があることです。学術誌の解説は「アブラコウモリは1cmの隙間があると入れる」と書いています。使う場所は人家の屋根裏、瓦の下、戸袋の中などです。餌の有無ではありません。
違います。アブラコウモリの食べ物は小さな昆虫で、川の上や住宅地の上、公園や駐車場の上などオープンな空間で捕っています。家はねぐらとして使われています。
自治体が挙げているのは、煙の出るタイプの害虫駆除剤、ナフタリン等の忌避剤、ライトアップの3つです。各務原市はハッカなどの香り、センサー感知の超音波、ブザー、ラジオも挙げ、忌避装置を14日間無料で貸し出しています。
増える前提で考えてください。学術誌の解説は、東京周辺では6月下旬頃から7月はじめに通常2〜3頭を出産するとしています。幼獣は1か月ほどで飛べるようになります。
4月から6月中旬と、8月中旬から10月です。飛べない幼獣が中にいる6月下旬から8月上旬は避けます。11月から3月は冬眠期にあたり、自治体も追い出しが難しい時期としています。
つくばみらい市は、寄生虫や感染症の原因となる菌やウイルスが付着している恐れがあるとして素手で触らないよう求めています。学術誌の解説は日本でコウモリから人への感染症の例はないとしていますが、報告例がないこととリスクがないことは別です。心配があれば医療機関に相談してください。
言い伝えとして語られることはありますが、公的な資料に記載は見当たりませんでした。実務として見るのは、フンの落ち方と隙間の有無です。
コウモリが寄ってくる家の特徴は、隙間でした。
学術誌の解説は1cmの隙間があれば入れるとしています。場所は屋根裏、瓦の下、そして戸袋の中です。
餌は関係ありません。アブラコウモリが虫を捕っているのは、川や住宅地や駐車場の上の空です。台所を片付けても、隙間が残っていれば来ます。
フンが落ちていても、住みついているとは限りません。壁にとまって休むだけの行動があります。分かれ目は出入口があるかどうかです。
そして時期です。6月下旬から8月上旬は追い出しません。飛べない子が中に残るためです。
やること
- フンが一点の真下に山になっているかを見る
- 山になっていたら、日没前後に数日かけて出入口を探す
- 4月〜6月中旬か8月中旬〜10月なら、1cm以下のメッシュを上だけ留めて塞ぐ

やれる時期を逃すと、次に塞げるのは数か月先になります。いま口が何か所あるのかだけでも分かると、動き方が決まります。

