東京都のネズミ駆除|9割以上がクマネズミで市販の殺そ剤は「効きにくい」
ドラッグストアで殺そ剤を買って天井裏に置いた。数日たっても物音が止まない。東京でネズミに困っている人から、よく聞く話です。
置き方の問題だと考えて、量を増やしたり場所を変えたりする方もいます。ただ、東京都が出している冊子を読むと、そもそも相手の種類と薬が合っていない可能性が見えてきます。
この記事では、東京都保健医療局の「都民のためのねずみ防除読本」に書かれている内容から、東京で今問題になっているネズミの種類と、市販の殺そ剤との相性を整理しました。
- 東京都の冊子は、種類が分かる相談のうち9割以上がクマネズミによる被害だと書いている
- クマネズミは殺そ剤感受性が低く、都は「現在販売されている殺そ剤のほとんどはドブネズミを対象にしたもの」と説明している
- 都がすすめているのは、餌・巣材・侵入経路を断つ「環境的防除」
- やること:天井裏か床下かで相手を見当づける → 餌と侵入口を先に断つ → 業者に頼むなら都が示す4項目で選ぶ

天井裏を走っているのがクマネズミなのか、そこが決まらないまま薬を買おうとしている。種類の見当をつけるところから相談できます。
東京都の冊子に、はっきりと書かれています。
「都民のためのねずみ防除読本」は、東京都がネズミ対策を担当する区市町村に向けて作った「東京都ねずみ防除指針」を踏まえ、都民向けにまとめられた冊子です。その中に次の記述があります。
現在自治体が住民から受ける相談で、ねずみの種類が分かる相談のうち、9割以上がクマネズミによる被害です。
「種類が分かる相談のうち」という条件が付いている点は押さえておいてください。相談すべてではなく、種類まで判明したものの中での割合です。
昔はドブネズミが中心だった
同じ冊子は、相談が多い理由のひとつとして、ネズミの種類が入れ替わったことを挙げています。
ねずみの相談が多い理由のひとつは、東京の住宅地におけるねずみの優占種が、殺そ剤(毒えさ)や捕そ器(ねずみ捕り)で比較的たやすく駆除されるドブネズミから、駆除の難しいクマネズミに変化したことが考えられます。
つまり、駆除しやすい種類から、駆除しにくい種類へ主役が入れ替わったという説明です。
ビルで増えて、住宅街へ移った
クマネズミが増えた経緯についても書かれています。
クマネズミは、気密性(保温性)がよく安全なビルの中で、ごみ置き場の廃棄物や厨房の厨芥などを餌にして増加したと考えられます。
その後、繁華街の再開発工事が頻繁に行われるようになった1990年代に、取り壊される建物やその周辺から逃げて近隣の住宅地に移動したために、住宅街でクマネズミの被害が増えたと言われています。

「うちは繁華街じゃないから関係ない」とは言い切れない、というのが都の説明です。
なお冊子は、高齢者世帯での被害が多いことにも触れています。加齢に伴って家の中の片付けや食品の保管、生ごみの処理が負担になることが理由として挙げられています。
市販の薬が効きにくいぶん、業者に頼む判断が早くなります。
ネズミ駆除の見積書に並ぶ主な項目
← 横にスクロールできます →
| 項目 | 中身 | 金額への効き方 |
|---|---|---|
| 調査 | 侵入口と通り道を探す | 無料の会社と有料の会社がある |
| 駆除 | 殺そ剤・粘着シート・捕獲器 | 基本の作業 |
| 侵入口の封鎖 | 1cmの隙間までふさぐ | 箇所が増えるほど上がる |
| 清掃・消毒 | 糞尿の撤去と消毒 | 範囲で変わる |
| 保証 | 再発したときの再施工 | 年数と対象で変わる |
編集部が過去に調べた業者の料金の内訳から整理した(2026年8月24日時点)。
かんたんに言うと、薬をまく作業より、穴をいくつふさぐかで金額が決まります。
編集部で調べた料金相場は2万〜20万円でした。10倍の幅があります。一軒家の場合、ふさぐ場所は9か所にのぼることがあります。
内訳は一軒家のネズミ駆除の費用|ふさぐ場所が9か所あるから高くなります、相場の全体像はネズミ駆除の料金相場は2万〜20万円にまとめました。
要確認:東京の相場を公表している公的な資料は見当たりませんでした(2026年8月24日確認)。箇所数が分からないうちは、金額も出ません。
クマネズミだと分かったら、次は業者の見積もりです。
- 侵入口の封鎖が見積もりに入っているか。何か所か
- 調査に費用がかかるか
- 糞尿の清掃と消毒が入っているか
- 保証の年数と、再発したときの対象範囲
- 見積書が概算か、確定した金額か
封鎖の箇所数を聞かないまま契約しないでください。駆除だけで終わると、同じ穴から次が入ります。
業者の選び方は害虫駆除業者の選び方|悪質業者の見分け方と契約前の確認ポイントにまとめています。
薬が悪いのではなく、想定している相手が違う、という説明です。
冊子には次のように書かれています。
さらに、警戒心が強く殺そ剤や捕そ器などにかかりにくいことや、現在販売されている殺そ剤のほとんどがドブネズミを対象にしたもので、クマネズミに効きにくいことも、駆除を困難にしています。
市販されている殺そ剤の多くは、ドブネズミを想定して作られているという指摘です。東京の住宅地で今多いのはクマネズミなので、相手と薬がずれていることになります。
「専門業者でもなかなか困難」と書かれている
駆除方法の章には、さらに踏み込んだ記述があります。
捕獲器と殺そ剤は、ドブネズミ、ハツカネズミに対して有効です。クマネズミに対しての物理 ・ 化学的防除は専門業者でもなかなか困難と言われています。あくまでも環境的防除の補足と考えた方がよいでしょう。
注意して読みたいのは語尾です。都は「効かない」とは書いていません。「効きにくい」「困難と言われています」「補足と考えた方がよいでしょう」という書き方です。
市販品がまったく無意味という話ではなく、それだけで終わらせる方法ではない、という位置づけになります。

「効かないから買うな」ではなく、「効く相手かどうかを先に確かめる」が正しい読み方です。
薬を足す前に、天井裏を走っているのがどの種類かを見当づけたほうが、結果的に早く終わります。相手の見当がつかない、あるいは自分で手が届かない場所に入られている場合は、現地を見てもらうのが確実です。

走っているのがクマネズミなのかドブネズミなのか見当がつかない、天井裏に手が届かない。そこで止まっているなら、種類の判定から見てもらえます。
種類によって、警戒心も薬の効きも違います。
冊子に載っている3種類の特徴を並べます。
東京都の冊子に記載されているネズミ3種の特徴
← 横にスクロールできます →
| 種類 | 主な生息場所 | 警戒心 | 殺そ剤感受性 |
|---|---|---|---|
| ドブネズミ | 植込み、公園の地面、下水管、下水溝、ビル低層階 | あまり強くない | 高い |
| クマネズミ | ビル内部の高い所、壁の中、天井裏 | 非常に強い | 低い |
| ハツカネズミ | 畑に生息(農村型) | あまり強くない | 高い |
出典:東京都保健医療局「都民のためのねずみ防除読本」。2026年8月20日確認。殺そ剤感受性とは、冊子の注記によれば「薬剤がよく効くか・あまり効かないかの程度」を指します。
出た場所で、ある程度は見当がつく
生息場所が違うので、どこで音がするかが手がかりになります。
クマネズミについて、冊子は体長15〜20cm、尾は頭胴より長く耳が大きい、身軽で運動能力が高く電線を伝ったり粗面の壁を駆け上る、と説明しています。天井裏や壁の中を移動できるのは、垂直方向に動けるためです。
一方でドブネズミは下水管や下水溝、ビルの低層階が主な生息場所として挙げられています。ハツカネズミは体長6〜9cmと小型で、畑に生息する農村型と説明されています。
判断の目安を整理します。
- 天井裏・壁の中で音がする → クマネズミの可能性が高く、殺そ剤は効きにくい側
- 床下・台所の低い場所・排水まわり → ドブネズミの可能性があり、殺そ剤や捕獲器が効きやすい側
- どちらか分からない → フンの大きさや通り道を写真に残し、業者や窓口に見せる
種類ごとの詳しい見分け方と駆除の手順はネズミ駆除の方法を完全解説にまとめています。
薬で減らすのではなく、住みにくくして追い出す考え方です。
冊子は、クマネズミへの対策として次のように書いています。
近年のねずみ被害の主流であるクマネズミは、殺そ剤やトラップなどによる捕獲が有効でないため、防除は多少手がかかりますが、「環境的防除」を徹底して行うことが問題解決につながります。
環境的防除として挙げられているのは3つです。
- 餌を与えないこと
- 巣材を与えないこと
- 住まいへの出入り及び建物内部での移動を防ぐこと
「多少手がかかりますが」と都自身が書いているとおり、すぐに終わる方法ではありません。ただ、殺そ剤が効きにくい相手に対しては、こちらが本筋という位置づけです。
餌になるものは容器にしまう、生ごみを出しっぱなしにしない、段ボールや紙類をためない、といった作業が中心になります。侵入口をふさぐ工事は冊子では「防そ修繕」と呼ばれています。
ただし、この数字は平成22年度までのものです。
冊子には、都が集計した相談件数の推移が載っています。年度を確認しながら読んでください。
東京都内のねずみに関する相談件数(単位:件)
← 横にスクロールできます →
| 年度 | 件数 | 年度 | 件数 |
|---|---|---|---|
| 平成7年度 | 10,241 | 平成15年度 | 15,931 |
| 平成8年度 | 10,293 | 平成16年度 | 13,627 |
| 平成9年度 | 10,751 | 平成17年度 | 11,644 |
| 平成10年度 | 14,335 | 平成18年度 | 10,830 |
| 平成11年度 | 16,846 | 平成19年度 | 9,665 |
| 平成12年度 | 17,700 | 平成20年度 | 8,380 |
| 平成13年度 | 19,538 | 平成21年度 | 7,912 |
| 平成14年度 | 17,388 | 平成22年度 | 7,214 |
出典:東京都保健医療局「都民のためのねずみ防除読本」。都内区市町村及び保健所に寄せられた相談件数です。2026年8月20日確認。掲載されているのは平成22年度(2010年度)までで、最新の状況を示すものではありません。
冊子の本文では、平成9年度までは年間おおむね1万件だった相談が平成13年度に約2倍に急増し、それ以降は減少しているものの、依然として7,000件程度が寄せられていると説明されています。
「減った=ネズミが減った」ではない
ここで大事なのは、都自身が慎重な書き方をしている点です。
東京でねずみが増えているかどうかについては、現在、都市部で優占種となっているクマネズミの捕獲調査が非常に困難なこともあり、はっきりとした報告はありません。
ねずみの増減に関しては分からないことも多く、再び増加することも考えられますので、引き続き注意が必要です。
相談件数は「相談した人の数」であって、ネズミの数ではありません。都も「はっきりとした報告はありません」と書いています。減少をそのまま生息数の減少と読むことはできません。
住んでいる場所によって、連絡する先が変わります。
冊子には次のように書かれています。
ねずみについての相談・お問い合わせは、お住まいの特別区(区役所・保健所)、及び市町村(市役所・町村役場)のねずみ昆虫等の防除事務を所管する部署までご連絡ください。なお、市町村(八王子市、町田市を除く。)にお住まいの方は、下表の各保健所でも受け付けています。
八王子市と町田市は、都の保健所での受付の対象から外れています。両市にお住まいの場合は市役所に連絡することになります。
冊子に掲載されている東京都保健所の電話番号
| 保健所 | 電話番号 |
|---|---|
| 西多摩保健所 | 0428-22-6141 |
| 南多摩保健所 | 042-371-7661 |
| 多摩立川保健所 | 042-524-5171 |
| 多摩府中保健所 | 042-362-2334 |
| 多摩小平保健所 | 042-450-3111 |
出典:東京都保健医療局「都民のためのねずみ防除読本」。2026年8月20日確認。島しょ地域の出張所は表から省いています。
23区は区によって対応が違う
特別区の場合、区役所や区の保健所が窓口になりますが、受けられる内容は区ごとに大きく違います。
冊子には東京都ペストコントロール協会の連絡先も載っています(電話 03-3254-0014)。ただし記載は冊子作成時点のもので、法人格や所在地が変わっている可能性があります。連絡する前に最新の情報を確認してください。
東京都が、業者選びの基準を公式に書いています。
冊子の「業者を選ぶ際の注意事項」から、4項目をそのまま引きます。
① 事前の生息調査と防除後の効果判定を適切に実施していること
② 殺そ剤や粘着トラップを使用した、物理的、化学的防除以外に、環境的防除の側面からも対策を講じたり指導を行えること
③ 防そ修繕の内容、施工方法等について顧客にきちんと説明し、理解を得ていること
④ 費用については、周囲の環境、住宅構造、作業条件などによって異なるので、顧客に見積書を提出し、内容について、納得を得られるまで十分に説明できること
②が特徴的です。薬や粘着トラップを使うだけでなく、環境的防除まで指導できることを都は求めています。ここまで見てきたとおり、クマネズミには環境的防除が本筋だからです。
さらに、避けるべき業者についても書かれています。
なお、ねずみ防除に直接関係ない作業を強く勧めたり、必要以上に顧客の危機感をあおるような業者は、適切とはいえません。
1回で終わる作業ではない、と都も書いている
費用についての記述も引いておきます。
ねずみを効果的に駆除するためには、事前の生息状況調査と、それに基づく捕獲作業及び防そ修繕、そしてその後の効果判定がなされる必要があるので、どうしても複数回の作業が必要です。
冊子に金額の記載はありません。「1回で終わります」という説明を受けたときは、効果判定まで含まれているかを確認してください。
金額の目安はネズミ駆除の料金相場は2万〜20万円にまとめています。

「1回で終わります」と言われたけれど、効果判定まで入っているのか判断できない。都が挙げた4点を投げる相手をもう1社つくると比べられます。
置き方以前に、相手の種類が合っていない可能性があります。
東京都の冊子は「現在販売されている殺そ剤のほとんどがドブネズミを対象にしたもので、クマネズミに効きにくい」と説明しています。天井裏で音がしている場合はクマネズミの可能性が高く、餌と侵入口を断つ環境的防除に切り替えたほうが早く進みます。
冊子の記載では、天井裏や壁の中はクマネズミの生息場所として挙げられています。
クマネズミは電線を伝ったり粗い壁を駆け上ることができると説明されており、高い場所へ移動できます。ドブネズミの生息場所は下水管や下水溝、ビルの低層階とされています。
区によって違います。
大田区のように区が業者を派遣する例もあれば、杉並区のように駆除を行わない区もあります。住んでいる区の記事を確認するか、区役所へ直接お問い合わせください。
東京都の冊子に金額の記載はありません。
冊子には「周囲の環境、住宅構造、作業条件などによって異なる」とだけ書かれています。金額の目安はネズミ駆除の料金相場は2万〜20万円をご覧ください。
東京都の冊子には超音波装置についての記載がありませんでした。
そのため、都の資料を根拠に効果の有無を述べることはできません。市販グッズ全般の考え方はネズミ駆除の方法を完全解説で扱っています。
東京都の冊子は、種類が分かる相談のうち9割以上がクマネズミによる被害だと書いています。
そしてクマネズミは殺そ剤感受性が低く、都は「現在販売されている殺そ剤のほとんどがドブネズミを対象にしたもので、クマネズミに効きにくい」と説明しています。効かないと断じているわけではありませんが、それだけで終わる方法ではない、という位置づけです。
都がすすめているのは、餌を与えない・巣材を与えない・出入りと移動を防ぐという環境的防除の3本柱です。業者に頼む場合は、都が挙げている4項目、特に「環境的防除の側面からも対策を講じたり指導を行えること」を満たすかどうかを見てください。
やることは3つです。
- 音がする場所を確かめる(天井裏や壁の中ならクマネズミの可能性が高い)
- 餌になるもの・巣材になるものを片づけ、侵入口を探す
- 自分で届かない場所なら、都が示す4項目を当てながら業者に見てもらう

3つのうち、届かない場所の侵入口を探すところだけは自分では終わりません。そこから頼めます。

