ハクビシンの撃退法で効いた柵の数字|通電線38cmと被害16万円が0円に
イチゴやブドウをやられて、来年は防ぎたい。庭にフンをされて困っている。そういう場面で「何を買えば効くのか」を探している人が多いはずです。
検索すると、忌避剤・光・超音波・木酢液が並びます。ですが県の資料は、光と超音波について「忌避効果が無いとされています」と書いています。
この記事では、栃木県と埼玉県、農林水産省の資料をもとに、効果を確かめた資料があるものと無いものを分けました。
被害額が0円になった実証があるのは、柵だけでした。その柵の数字まで書きます。
- 光と超音波は「忌避効果が無い」と栃木県の資料に書かれている
- 被害が0円になった実証があるのは、電気柵とネットを組み合わせた柵だけ
- 効くのは高さではない。35cmは飛び越えるか迷う高さで、鼻先を通電線に触れさせるための寸法
- いますること:被害が出る前に張る → 設置した日から24時間通電する → 雑草を刈る

天井裏に入られていて、自分では手が届かない。そういう段階なら、範囲を見てもらうところから始められます。
- ハクビシンの撃退法に「これ一つで効く」ものはありません
- 光と超音波は「忌避効果が無い」とされています
- 数字が出ているのは柵です|イチゴの被害16万円が翌年0円になりました
- 効くのは高さではありません|35cmは飛び越えるか迷う高さです
- 畑に張るときの数字は4つ|通電線38cm・すき間5cm・支柱2m・作物から50cm
- 通電しない柵を置いたままにしてはいけません|柵に強い動物を作ります
- 来る理由は甘いものです|ほ場の周りで片づける5つ
- 家に来ているかは足跡とため糞で分かります|入るのは数センチの隙間
- 庭と家では手当てが変わります|捕獲には市町村の許可が要ります
- ハクビシンの撃退法に関するよくある質問
- まとめ:探すのは忌避剤ではなく、鼻先が触れる高さです
効果を確かめた資料があるものと、無いものが分かれています。
農林水産省の統計では、ハクビシンによる農作物の被害金額は令和5年度で365百万円でした。令和3年度が361、令和4年度が361です。
3年間でほとんど動いていません。同じ期間にイノシシは3,932から3,634へ減り、シカは6,104から6,954へ増えています。
ここからは編集部の見方です。ハクビシンの被害は減っても増えてもいないので、「そのうち収まる」と待つ材料が資料の中にありません。
「効果を確かめた資料があるか」で分けた一覧(2026年8月29日・編集部整理)
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| 手段 | 効果を確かめた資料 | この記事での扱い |
|---|---|---|
| 電気柵とネットを組み合わせた柵 | あり(栃木県の実証2件) | 本記事で寸法まで扱う |
| ほ場の周りの残さ・果樹の片づけ | あり(県が対策の第一歩と位置づけ) | 本記事で5項目を扱う |
| ビニールハウスの隙間の補修 | あり(県が未然防止策として提示) | 本記事で扱う |
| 光 | 「忌避効果が無い」とされている | 使わない前提で書く |
| 超音波 | 「忌避効果が無い」とされている | 使わない前提で書く |
| 忌避剤・線香・木酢液 | 見つからない | 効くとも効かないとも書かない |
| 有刺鉄線 | 見つからない | 記載が無いことを書く |
出典:栃木県「ハクビシン対策マニュアル」令和5年3月、農林水産省「野生鳥獣による農作物被害の推移(鳥獣種類別)」令和5年度。2026年8月29日に編集部が整理した。
栃木県が、誤った認識としてはっきり書いています。
県のマニュアルには「ハクビシンに関する誤った認識」という欄があり、次の一文が載っています。
光や超音波で追い払える?
⇒光を照射することで、野生動物を追い払う試みも行われていますが、最近の試験研究では、光や超音波では忌避効果が無いとされています。
かんたんに言うと、光をあてる装置と超音波の装置は、県が「効かないとされている」側に置いています。
※出典:栃木県「ハクビシン対策マニュアル -農作物をハクビシンから守るために-」令和5(2023)年3月、第1章。2026年8月29日確認。
超音波については、ネズミ用の機械で国がテストしたところ、そもそも超音波が出ていない製品もありました。動物は違いますが、音が出ているかどうかを買った人が確かめられない点は同じです。
忌避剤・線香・木酢液はどうか
こちらは「効かない」ではなく、効果を確かめた資料が見つからないという状態です。
栃木県のマニュアルにも、埼玉県の柵のマニュアルにも、忌避剤の効果を測った記載はありません。名前を挙げて否定されているのは光と超音波の2つだけです。
木酢液については、林野庁が挙げる用途に害虫忌避が入っていません。ハクビシンに使った試験の資料も、編集部では見つけられませんでした。

置くだけで効くものが見つからないのは、探し方が悪いからではありません。
栃木県が、実証の結果を金額で公表しています。
「ハクビシンから園芸作物を守る総合対策事業」として、令和2年度と3年度に2か所で行われたものです。
侵入防止柵の実証2件(栃木県公表)
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| 場所 | 作物 | 面積 | 設置期間 | 設置前の被害 | 設置後の被害 |
|---|---|---|---|---|---|
| 大田原市 | イチゴ(ハウス栽培) | 計27.1a | 令和4年1月下旬〜3月下旬 | 令和2年度 約163千円 | 令和3年度 0円 |
| 栃木市 | ブドウ(ハウス栽培) | 22a | 令和2年5月末〜11月末 | 令和元年度 約15千円(約20房) | 令和2年度 0円 |
出典:栃木県「ハクビシン対策マニュアル」令和5年3月、第3章。大田原市はハウス①に楽落くん(外周300m)、ハウス②に弾性ポールネット柵(外周150m)を設置。2026年8月29日確認。
かんたんに言うと、どちらもハウスの周囲に柵を設置して、翌年の被害が0円になりました。
ただし条件は限られています。どちらもハウス栽培で、面積も設置期間も決まっています。同じ数字が畑一般で出るとは書かれていません。
この柵は、高さで止めていません。鼻先を触れさせるために作られています。
柵を開発したのは埼玉県農業技術研究センターです。設置マニュアルに、その理由が書かれています。
同センターは実験で、中型の獣が障害物を跳んで飛び越える高さと、前肢をかけて乗り越える高さを調べました。
- 障害物が低いと、跳躍して飛び越えようとする
- 高い障害物には、前肢をかけて乗り越えようとする
- その境界が35cmだった
35cmは、飛び越えようか手をかけて乗り越えようか迷う高さです。マニュアルは、その迷いが探査行動を引き起こすと書いています。
探査行動とは、障害物を警戒して鼻先でにおいを嗅いだり触れたりする動きのことです。そのときに柵の通電線へ鼻先が触れて、感電します。
つまり、動物に触らせるための高さです。電気ショックを受けた動物は、柵を危険なものとして学習して近づかなくなる、というのが仕組みです。
だから「もっと高くすれば効く」という話にはなりません。高くすると、迷わずに前肢をかけて乗り越えにいきます。
※出典:埼玉県農業技術研究センター「アライグマ、ハクビシンなどの中型動物の農作物被害防止柵 楽落くん 設置マニュアル Ver3.0」2021年3月改訂。2026年8月29日確認。

柵をまたげるかどうかではなく、鼻を近づけたくなるかどうかで作られています。
なお、庭にアナグマが出ているのなら、柵の高さそのものが判断の材料になります。相手によって見るところが変わります。
寸法が決まっています。目分量で張ると効きません。
埼玉県のマニュアルが示している数字は、次の4つです。
- 地面から通電線までの高さは38cmが理想
- ネットと通電線の間隔は5cm(5cmより広いと、すき間にもぐり込まれる)
- 支柱は2m間隔で挿す
- 柵と作物の間は50cm以上離す(近いと、中に入ろうとする行動が強まる)
柵と作物を離す理由は、餌が近いほど入ろうとする動きが強くなるためです。
100mぶんの資材
平らで四角い畑に100m張る場合の目安です。
楽落くん100mあたりの必要資材(埼玉県農業技術研究センター)
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| 資材名 | 規格 | 数量 |
|---|---|---|
| 楽落ネット | 1巻50m | 2巻 |
| 支柱(グラスファイバーポール) | 径8〜10mm | 約60本 |
| 通電線用クリップ | 支柱に合うもの | 必要数 |
| 結束バンド(インシュロック) | 150mm | 200本 |
| 通電線 | 直径0.9mm | 100m |
| 電気柵本体 | 推奨距離200m以上 | 1台 |
出典:埼玉県農業技術研究センター「楽落くん 設置マニュアル Ver3.0」2021年3月改訂。不整地や傾斜地では2割ほど多めに準備すると書かれている。2026年8月29日確認。
楽落ネットはホームセンター等で取り扱いがあると、マニュアルの表紙に書かれています。ただし電気柵の本体とセットで使う前提の資材です。
栃木県が紹介している「楽落くんライト」では、防風ネットの規格が目合6mm・幅50cm、弾性ポールが直径8mm×長さ100cmを50本となっています。
張る手順
順番があります。
- 通電線に触れる雑草を刈っておく
- ネットと地面にすき間ができないよう、地面を平らにならす
- 外周をメジャーで測り、2m間隔で支柱を仮挿しする
- 楽落ネットを外周に伸ばす(ネットには裏表があり、向きが重要)
- ネットの網目に支柱を挿す。柵の隅は支柱を2本にして補強する
- 通電線を地上38cmに取り付け、ネットとの間隔を5cmにする
- 結束バンドで支柱間3か所ほど、約50cm間隔でネットと通電線を固定する
- ネットに土寄せをする(柵の内外の両方が理想。土が固ければUピンで裾を留める)
- 電気柵の本体は、動物の足場にならないよう柵の内側に置く
排水管や排水溝も見てください。5cm以上のすき間があると、そこから侵入される恐れがあると書かれています。
設置した日に必ず通電し、片づける日まで24時間通電します。
埼玉県のマニュアルは「電気柵設置の基本」として3つを挙げています。
1つめは、被害が出る前に設置することです。一度でも作物を食べさせると、餌として執着するようになると書かれています。収穫が始まる前に張ります。
2つめは、通電です。新しくできた障害物を見た動物は探査行動をとりますが、そのときに感電しないと「電気柵」として認識しなくなる場合があります。
マニュアルには、次のように書かれています。
通電していない柵を放置すると、柵に強い動物を地域につくってしまう恐れがあります。
収穫が終わったあとに「収穫物がないから」と通電を止めるのも、同じ理由で避けます。本体のスイッチを「昼夜切り替え」にすると、動物が侵入した時間に通電していないことがあります。
3つめは、雑草です。通電線に雑草が触れると漏電して電圧が下がり、効果が弱まります。栽培している作物のつるや葉が触れることもあります。
かんたんに言うと、張ったあとの手入れまで含めて1つの対策です。
ハクビシンは雑食ですが、特に甘いものを好みます。
そのため、糖度が高い果菜類や果樹の被害が多くなります。栃木県ではイチゴとブドウの被害が深刻だと書かれています。カキやクリも挙がっています。
柵の前に、餌になるものを片づけます。県は環境の管理を「被害対策の第一歩」と位置づけています。
- イチゴやブドウなどの残さを、ほ場の周りに放置しない
- 家庭の生ごみやお供え物も餌になるので、適切に管理する
- カキやクリなど、ほ場の周りの果樹は樹上に果実を放置しない
- 神社や物置の天井裏をねぐらにするため、侵入口になる隙間をふさぐ
- 建物の内外や側溝、水路に足跡や糞が無いかを定期的に点検する
ほ場の近くに捨てたイチゴについては、誘引物になるので直ちに埋設するかコンポスターに入れるなど、適切に処理すると書かれています。
ビニールハウスなら、隙間の補修が先です。ビニルの裾は地面との隙間が無いよう埋め込み、小さな傷は補修テープで直します。出入口の扉は夜に必ず閉めます。
温度調節でビニルを開ける場合は、開口部に侵入防止ネットを張ります。県の図には「数センチの隙間でも鼻先で押し広げて侵入」と注記があります。
痕跡を見ると、相手が絞れます。
栃木県のマニュアルは、中型の獣ごとに残る痕跡を並べています。ハクビシンで挙がっているのは次の3つです。
- パイプを登った足跡
- 天井裏のため糞と、天井にポツンとできるシミ
- 水場のため糞(ハクビシン特有と書かれています)
同じ資料に、ハクビシンは登る能力が高く、雨どいなどの垂直な構造物や、電線や針金などのロープの上も移動すると書かれています。
地面からの侵入だけを想定すると、経路を見落とします。
なお足跡については、県が「獣種の特定が容易にできるような明瞭な足跡が残っていることは稀」と注記しています。1つの痕跡で決めつけないほうが安全です。
はっきりさせたいときは、センサーカメラという手があります。県のマニュアルには「1万円程度のものも売られています」と書かれています。
天井にシミが出ているなら、ため糞が溜まっている可能性があります。また、タヌキやアライグマとの見分けは尾や足跡で確かめられます。
畑は柵、家は封鎖です。そして捕まえるには許可が要ります。
ハクビシンを捕獲するには市町村長の許可が必要で、市役所に頼めることと自分に残ることが分かれています。手続きの中身はそちらにまとめてあります。
相談先も分かれます。畑の獣と家の獣では、そもそも探す窓口が違います。農地側で使える制度については、害獣駆除の補助金は市町村の協議会に出る仕組みを先に読んでおくと話が早くなります。
家に入られている場合、自分でできるのは追い出しと侵入口をふさぐところまでです。
ただし封鎖は、雨どいや軒下など高いところの作業になります。そして、どこから入られているかを全部見つけるのは、地上から見上げただけでは難しいところがあります。
ふさぐ場所を1か所でも残すと、戻ってきます。

畑の柵は自分で張れても、家のほうは何か所ふさぐことになるのか読めない。そこで止まっているなら、範囲を出してもらうところからです。
資料に「最強」という書き方はありません。
被害額が0円になった実証が公表されているのは、電気柵とネットを組み合わせた柵だけです。光と超音波は、栃木県が忌避効果は無いとされていると書いています。
高さで決めるのはネットではなく、通電線です。
埼玉県のマニュアルは、地面から通電線までを38cm、ネットと通電線の間隔を5cmとしています。ネットだけで止める前提の資料は、編集部では見つけられませんでした。
楽落ネットは、ホームセンター等で取り扱いがあるとマニュアルに書かれています。
ただし電気柵の本体とセットで使う前提の資材です。ネット単体で買っても、鼻先を感電させる仕組みにはなりません。
効くとも効かないとも、資料には書かれていませんでした。
参考になるのは生態の記述です。栃木県は、ハクビシンが登る能力が高く、電線や針金などのロープ上も移動すると書いています。針金の上を歩ける動物である、という前提で考えることになります。
雑食ですが、特に甘いものを好みます。
そのため糖度の高い果菜類と果樹がやられます。栃木県ではイチゴとブドウの被害が深刻で、ほ場の周りのカキやクリも誘引物として挙げられています。
ハクビシンの撃退法として売られているものの多くは、効果を確かめた資料が見つかりません。光と超音波にいたっては、栃木県が忌避効果は無いとされていると書いています。
被害が0円になった実証があるのは、電気柵とネットを組み合わせた柵だけでした。
その柵は高さで止めていません。35cmという迷う高さで鼻先を近づけさせ、通電線に触れさせる仕組みです。
いまやることは3つです。
- 収穫が始まる前に張る。食べさせてからでは執着される
- 設置した日から片づける日まで、24時間通電する
- 通電線にかかる雑草を刈る。作物のつるや葉も触れないようにする

畑の柵は自分で張れます。読めないのは、家のほうに何か所の入口があるかです。

