広島の害獣駆除は「畑の獣」と「家の獣」で探す先が違う|県の10年分の数字で見る
夜中に天井裏を走る音がする、天井にしみができた、庭に糞が落ちている。広島で害獣に困って調べ始めると、県や市の獣害対策のページにたどり着きます。
ところが読み進めても、天井裏の音をどうすればいいのかは書かれていません。広島県が力を入れている獣害対策と、住宅に入られた人の悩みは、別の枠で動いているためです。
この記事では、広島県が公表している10年分の被害額と管理計画を見て、行政の枠に入るものと入らないものを整理しました。次にどこへ電話すればよいかまで書いています。
- 広島県が10年分の数字で追っているのはイノシシとシカ。どちらも農作物の被害額
- 県が管理計画を作っている動物は4種類。ツキノワグマ・イノシシ・ニホンジカ・カワウ
- 天井裏に入る獣は同じ枠で数えられておらず、住宅の被害は自分で業者を手配することになる
- やること:正体を絞る → 住んでいる市町村の担当課に電話して対象か確かめる → 対象外なら業者を2社比べる
広島県が進めている獣害対策と、住宅の天井裏の問題は、別の枠で動いています。
広島県が公表している被害の数字は、農作物の被害額です。畑や果樹が食べられた金額を年度ごとに積み上げたもので、家屋に入られた被害を数えたものではありません。
県が計画を作って個体数を管理している動物も、山にいる大型の獣が中心です。天井裏に入るイタチやハクビシンは、同じ計画の中に出てきません。

「県が対策しているのに、なぜうちは自費なのか」という疑問は、対策の枠がそもそも違うところから来ています。
つまり、住宅に入られた場合は、行政の対策が進んでいるかどうかとは関係なく、自分で業者を手配する話になります。

行政の対策が進んでいても、家の中は別枠です。早く静かにしたいなら、見てもらった時点で断ることもできます。
家の獣は自費になります。見積書を読む準備をします。
- 侵入口の封鎖が見積もりに入っているか。何か所か
- 糞尿の清掃と消毒が入っているか
- 断熱材の交換が要るか。要るなら金額はいくらか
- 再発したときの保証の年数と対象の範囲
- 見積書が概算か、確定した金額か
捕獲だけで終わる見積もりに注意してください。穴が残っていれば、次の個体が同じ場所から入ります。
家の獣は自費です。見積書に並ぶ項目を見ておきます。
害獣駆除の見積書に並ぶ主な工程
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| 工程 | 何をするか | 金額への効き方 |
|---|---|---|
| 追い出し・捕獲 | 燻煙や箱わなで出す・捕まえる | 基本の作業 |
| 侵入口の封鎖 | 穴を金網などでふさぐ | 箇所が増えるほど上がる |
| 糞尿の清掃・消毒 | 天井裏の糞を撤去して消毒する | 範囲で変わる |
| 断熱材の交換 | 汚れた断熱材を入れ替える | 入ると大きく跳ねる |
| 保証 | 再発したときの再施工 | 年数と対象で変わる |
編集部が過去に調べた業者の見積もりの内訳から整理した(2026年8月24日時点)。
かんたんに言うと、「駆除費いくら」ではなく「何をいくつやるか」で決まります。
編集部でイタチの工事69件を数えたところ、費用は5万〜30万円にひらき、5件に1件で断熱材に手が入っていました。詳しくはイタチ駆除の費用は5万〜30万円|金額が開く理由は断熱材だったで扱っています。
主要9社の公式サイトを同じ項目で確認したところ、料金を公表していたのは3社だけでした。結果は害獣駆除業者ランキングを公式9社で検証にまとめています。
要確認:広島の相場を公表している公的な資料は見当たりませんでした(2026年8月24日確認)。自宅の金額は、天井裏を見てもらわないと出ません。
県が公表している被害額の内訳は、鳥獣全体・イノシシ・シカの3行だけです。
広島県は「鳥獣による農作物被害額の推移」として、平成27年度から令和6年度までの10年分を公表しています。
広島県の鳥獣による農作物被害額の推移(単位:万円)
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| 年度 | 鳥獣全体 | イノシシ | シカ |
|---|---|---|---|
| 平成27年度 | 41,310 | 29,833 | 4,220 |
| 平成28年度 | 39,742 | 28,905 | 3,498 |
| 平成29年度 | 40,789 | 30,216 | 3,298 |
| 平成30年度 | 38,885 | 28,578 | 4,201 |
| 令和元年度 | 47,593 | 35,443 | 4,380 |
| 令和2年度 | 51,283 | 35,823 | 5,299 |
| 令和3年度 | 46,057 | 30,460 | 4,773 |
| 令和4年度 | 40,307 | 25,606 | 5,201 |
| 令和5年度 | 33,938 | 20,192 | 5,463 |
| 令和6年度 | 35,786 | 18,637 | 7,434 |
出典:広島県「鳥獣による農作物被害額の推移」。2026年8月19日確認。金額はすべて農作物の被害額で、住宅の被害は含まれていません。
金額の単位は万円です。令和6年度の鳥獣全体35,786万円は、約3億5,786万円にあたります。
被害額がいちばん大きかったのは令和2年度の51,283万円で、令和2年度から4年で35,786万円まで下がっています。
数字が示しているのは「畑と果樹」の話
読むときに注意したい点があります。この表は農作物の被害額であって、広島県全体の害獣被害額ではありません。
天井裏の断熱材が荒らされた、糞尿で天井にしみができたといった住宅の被害は、金額として数えられていません。編集部が探した範囲では、広島県が住宅被害を集計した資料は見つかりませんでした。
同じ県の中で、イノシシは減り、シカは増えています。
公表値から編集部が計算した結果を並べます。
広島県の被害額の増減【編集部集計】
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| 見る対象 | 比べた年度 | 金額の変化 | 増減 |
|---|---|---|---|
| イノシシ | 令和2年度 → 令和6年度 | 35,823万円 → 18,637万円 | 17,186万円減(48.0%減) |
| シカ | 平成27年度 → 令和6年度 | 4,220万円 → 7,434万円 | 3,214万円増(76.2%増) |
| 鳥獣全体 | 令和2年度 → 令和6年度 | 51,283万円 → 35,786万円 | 15,497万円減(30.2%減) |
広島県「鳥獣による農作物被害額の推移」の公表値をもとに編集部が計算しました。2026年8月19日集計。
イノシシの被害額は、ピークだった令和2年度から4年でほぼ半分になりました。シカは10年前と比べて約1.8倍(1.76倍)です。
令和6年度に全体が増えた原因はイノシシではない
ここからは編集部の分析です。
表を年度順に見ると、鳥獣全体は令和5年度の33,938万円から令和6年度の35,786万円へ、1,848万円増えています。10年間ずっと下がっていたわけではありません。
増えた分の内訳を計算すると、次のようになります。
- シカ:5,463万円 → 7,434万円(1,971万円の増加)
- イノシシ:20,192万円 → 18,637万円(1,555万円の減少)
- 内訳が示されていない分:8,283万円 → 9,715万円(1,432万円の増加)
イノシシは前年より減っているのに全体が増えました。押し上げたのはシカと、資料に内訳が書かれていない分です。

「イノシシ対策が進んだ」と「獣害が減った」は、広島では同じ意味になりません。
イノシシに合わせた対策だけを続けても、シカの増加分は止まらない計算になります。ここは編集部の読み方であり、県が公式にそう述べているわけではありません。
令和6年度は、全体の27.1%にあたる9,715万円分の内訳が示されていません。
この資料は鳥獣全体・イノシシ・シカの3行で構成されています。令和6年度の構成比を計算すると、次のとおりです。
- イノシシ:18,637万円(全体の52.1%)
- シカ:7,434万円(全体の20.8%)
- 内訳が示されていない分:9,715万円(全体の27.1%)
サル、カラス、ヌートリア、アライグマといった動物が広島県内にいることは、県の別の資料で触れられています。ただしこの被害額の資料では個別に立てられていないため、どの動物がいくら分にあたるのかは分かりません。
注意したいのは、載っていないことと被害がないことは違う、という点です。資料の作りとして立項が2種類である、という以上のことは読み取れません。
天井裏に入る獣について知りたい読者にとって、この資料から得られるのは「県が金額で追っている対象には含まれていない」という一点です。
ツキノワグマ、イノシシ、ニホンジカ、カワウの4種です。
広島県は野生鳥獣の保護管理ポータルサイトで、第二種特定鳥獣管理計画を公表しています。計画があるのは上の4種で、いずれも山や川にいる動物です。
問い合わせ先は自然環境課 野生生物グループ(電話 082-513-2933)と記載されています。
このポータルサイトには、アライグマ、ハクビシン、サル、ヌートリアの記載はありません。アライグマについては県の生物多様性総合情報サイト側にページがあり、三次市などでの農作物や希少野生生物への被害と、「捕獲する場合は法令の手続きが必要です」という記述が置かれています。
アライグマのページにも、住宅への侵入や屋根裏についての記述はありません。家に入られた場合の手順は、県の公開資料からは読み取れないということです。
市の職員ではなく、地元猟友会が設置した駆除班が動くと書かれています。
広島市西区は「イノシシの駆除にご協力を」というページで、駆除の体制を説明しています。ページに書かれている内容を整理します。
- 地元猟友会が設置した駆除班により駆除活動を行っている
- 駆除班はオレンジ色のベストと帽子を着用し、事故防止に注意している
- 山中で出会った際は、駆除の円滑な実施と危険防止に協力してほしい
- 餌を与えることは、生息数の増加や人馴れの原因となり、住宅地へ出没するもとになる
窓口は西区役所 市民部 地域起こし推進課(電話 082-532-0927)で、防災・有害鳥獣等担当は 082-532-1023 と記載されています。
ここまで挙げた窓口と担当は、西区のページに書かれている内容です。広島市の他の区や、県内の他の市町村が同じ体制とは限りません。住んでいる区や市町村の担当課に確認してください。
なお、このページには捕獲おりの貸出や、駆除の実施時期、住民の費用負担についての記述はありませんでした。
獣の種類より先に、どこまでの作業が金額に入っているかを確かめてください。
害獣駆除の見積もりは「1か所いくら」「一式いくら」で示されることが多く、同じ金額でも作業の中身が会社によって変わります。追い出しただけで終わる契約と、侵入口をふさいで清掃まで含む契約では、後の結果がまったく違います。
2社に見積もりを出してもらうとき、次の5点を同じ条件で聞いてください。
- 侵入口の封鎖は金額に入っているか。何か所までか
- 糞尿の清掃と消毒は入っているか
- 再発した場合の保証は何年で、無償になるのはどの範囲か
- 屋根裏に入れない場所があった場合、追加費用はいくらか
- 作業の前後で写真を出してもらえるか
金額の実像については害獣駆除110番の口コミを検証で、会社の絞り方については害獣駆除業者ランキングを公式9社で検証で扱っています。
獣の種類が絞れていない場合は、ネズミ駆除の方法を完全解説に足跡や糞の見分け方をまとめました。

確認する項目がそろっても、答え合わせをする相手が要ります。同じ質問を2社にすると差が出ます。
住宅の駆除費用を個人が受け取る形の補助は、編集部が確認した範囲では見つかりませんでした。
害獣駆除に関する公的なお金は、市町村に置かれた協議会に対して出る仕組みが基本です。宛先の考え方は害獣駆除の補助金は市町村の「協議会」に出るにまとめました。広島県内の市町村ごとの扱いは、住んでいる市町村の農林担当課に確認してください。
体の大きさから、天井裏に入ることは考えにくいです。
天井裏を走る音の場合、ネズミ、イタチ、ハクビシン、アライグマ、コウモリなどが候補になります。イノシシは庭や畑を掘り返す被害として現れます。
広島市西区のページでは、イノシシについて地元猟友会の駆除班が駆除活動を行うと説明されています。
ただし、住宅の天井裏に入った獣について市が捕獲に来るかどうかは、そのページには書かれていません。区や市町村によって対応が違う可能性があるため、住んでいる地域の担当課へ直接確認してください。
糞の大きさと足跡で絞り込めます。
見分け方の手順はネズミ駆除の方法を完全解説にまとめています。糞は素手で触らず、写真を撮っておくと業者への説明が早く済みます。
料金の決まり方が変わります。
コウモリは箇所数や高さで金額が動くため、獣種ごとの相場とは別に考える必要があります。詳しくはコウモリ駆除業者の料金は「駆除費」で決まらないをご覧ください。
広島県が10年分の数字で追っているのは、イノシシとシカによる農作物の被害額です。
イノシシの被害額はピークの令和2年度から4年で48.0%減り、シカは10年で76.2%増えました。令和6年度に全体が前年より増えたのは、イノシシではなくシカと、資料に内訳が書かれていない分が押し上げたためです。
県が管理計画を作っている動物はツキノワグマ・イノシシ・ニホンジカ・カワウの4種で、天井裏に入る獣は同じ計画の中に出てきません。行政の対策が進んでいるかどうかと、住宅に入られた人が自費になるかどうかは、別の話です。
やることは3つです。
- 糞や足跡を写真に撮り、正体をある程度絞る
- 住んでいる区役所または市町村の担当課に電話し、対象になるか確かめる
- 対象外だった場合は、業者を2社呼び、封鎖と清掃を含めた同じ範囲で見積もりを比べる

広島で家に入られた場合、農作物の窓口は担当ではありません。家の獣は別に頼むことになります。

