シロアリ駆除の悪質業者はどう来るか|行政処分の床下6件中5件は排水管から
床下を見てもらったら、高い見積もりを出された。その場で契約するか迷っている。そういう場面で、この記事にたどり着く人が多いはずです。
シロアリ駆除の悪質業者を調べようとすると、業者が書いた「見分け方5つのポイント」ばかりが並びます。
そこでこの記事では、国が公表している特定商取引法の行政処分をすべて数えました。526件の中に、役務の名前として「シロアリ」と書かれた業者は1つもいませんでした。
代わりに出てきたのは、排水管や給湯器の点検を名目にして床下へ入る業者です。入口の見分け方まで整理します。
- 国の行政処分526件のうち、役務名に「シロアリ」と書かれた事例は0件。「白蟻」で1件だけ
- 床下に入った6件のうち5件は、排水管や給湯器の点検を名目にして入っている
- 見分けるのは会社名ではなく、入口の名目・見せられた画像・急かす言葉の3つ
- いますること:その場で契約しない → 床下を自分の目か第三者で確かめる → 2社以上に見積もりを取る

床下の写真を見せられて金額を言われた段階なら、まだ決めなくて大丈夫です。訪問販売には考える時間が法律で用意されています。
行政処分を受けた業者は、シロアリ駆除業者を名乗っていませんでした。
名乗っているのは、排水管の洗浄や給湯器の点検です。シロアリの話が出るのは、床下に入ったあとでした。
つまり、会社名や「シロアリ専門」の看板を見比べても、この手口は防げません。悪質業者を探そうとして探すのではなく、家に来た人がどんな用件で来たかを見ることになります。
この記事では、その根拠を2つの公的資料から示します。1つは消費者庁が公開している行政処分の一覧です。もう1つは香川県が公表した処分の資料で、営業員が実際に言った言葉が原文で載っています。
役務の名前にシロアリと書かれた処分事例は、1件もありませんでした。
消費者庁の「執行事例の検索」を使いました。特定商取引法にもとづいて国と都道府県が出した処分が載っています。編集部が2026年8月29日に確認した時点で、掲載は526件でした。
全27ページを書き出し、「取扱商品・役務」の欄に次の語を含むものだけを抜き出しています。床下、白蟻、しろあり、シロアリ、防蟻、防除、害虫、駆除の8語です。法人と代表者が別の行で載るため、同じ役務名・同じ処分日・同じ行政庁のものは1つの事案として数えました。
該当したのは28行、まとめると12事案でした。
検索欄に語を入れたときの件数は、次のとおりです。
「商品・役務」の欄に語を入れたときの件数(2026年8月29日・編集部集計)
| 入れた語 | 件数 |
|---|---|
| シロアリ | 0 |
| しろあり | 0 |
| 防蟻 | 0 |
| 白蟻 | 2行(1事案) |
| 床下 | 12行 |
| 害虫 | 14行 |
| 駆除 | 16行 |
出典:消費者庁「特定商取引法ガイド/執行事例の検索」(https://www.no-trouble.caa.go.jp/search/)2026年8月29日に編集部が集計。件数は法人と代表者を別に数えた行数。
かんたんに言うと、カタカナでも漢字でも「シロアリ」を探すと、ほぼ何も出てきません。出てきたのは「白蟻」で1事案だけでした。
該当した12事案の全部を挙げます。
害虫駆除・床下に関わる行政処分12事案(2026年8月29日・編集部集計)
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| 事業者名 | 取扱商品・役務 | 処分内容 | 処分日 | 行政庁 |
|---|---|---|---|---|
| 株式会社エイト | 害虫駆除等の役務提供 | 指示 | 2026年6月12日 | 東京都 |
| 株式会社M’sクリーン/村山守 | ガス給湯器の設置工事、床下配管工事等の住宅リフォーム | 業務停止9か月・指示・業務禁止9か月 | 2026年4月17日 | 千葉県 |
| 株式会社and bee/寺地海意 | 水道修理、害虫駆除 | 業務停止6か月・業務禁止6か月 | 2025年12月23日 | 広島県 |
| 株式会社ORBITAL PERIOD/株式会社サービス/吉川孝子 | ゴキブリ等の害虫駆除・対策作業 | 業務停止12か月・指示・業務禁止12か月 | 2025年3月28日 | 東京都 |
| 岡南住宅工社こと村上和雄 | 排水管高圧洗浄・床下害虫消毒等の役務 | 指示 | 2023年12月25日 | 岡山県 |
| E-サポートこと胡木真吾 | ロードサービス、害虫等の駆除 | 業務停止15か月・業務禁止15か月 | 2023年11月2日 | 広島県 |
| 株式会社関西住宅設備/桑原亮 | 水回り設備修理・害虫駆除 | 業務停止6か月・指示・業務禁止6か月 | 2023年3月14日 | 兵庫県 |
| 西日本水道(個人事業主) | 排水枡洗浄、補修及び床下の補修等 | 指示 | 2023年2月14日 | 京都府 |
| エコラインこと伊藤良樹 | 排水管洗浄、床下防腐処理 | 業務停止12か月・業務禁止12か月 | 2022年12月8日 | 広島県 |
| 株式会社スマイルレスキュー/津久井勝 | 住宅リフォーム業、電気工事業、ガラス工事業、水道工事業、鍵・錠前の修理等及びハチ・害獣駆除 | 業務停止3か月・指示・業務禁止3か月 | 2022年4月27日 | 関東経済産業局 |
| 株式会社西武住建/志田健太 | 床下・屋根裏の環境改善工事、基礎補修・補強工事等のリフォーム工事 | 業務停止6か月・指示・業務禁止6か月 | 2021年10月26日 | 東京都 |
| リライフこと松本悠希 | 住宅の排水管等の洗浄、床下白蟻防除及び床下調湿材散布等 | 業務停止3か月・業務禁止3か月 | 2021年9月15日 | 香川県 |
出典:消費者庁「特定商取引法ガイド/執行事例の検索」2026年8月29日に編集部が集計。役務名は公表されている表記のまま。太字は編集部が付けた。処分は特定の行為に対して出されたもので、会社そのものの評価ではない。
※この一覧に載る期間は限られている。同サイトは「処分日が属する年度の翌年度の開始から5年間」を掲載範囲と書いており、それより古い処分は表示されない。
床下に入る業者は、床下の名前で来ていませんでした。
12事案のうち、役務名に「床下」が入るのは6つです。その6つを、役務名の先頭に何が書かれているかで並べ替えました。
床下に入った6事案の「入口の名目」(2026年8月29日・編集部集計)
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| 事業者名 | 役務名の先頭にある言葉 | 床下で扱う内容 |
|---|---|---|
| 株式会社M’sクリーン | ガス給湯器の設置工事 | 床下配管工事 |
| 岡南住宅工社こと村上和雄 | 排水管高圧洗浄 | 床下害虫消毒 |
| 西日本水道(個人事業主) | 排水枡洗浄 | 床下の補修 |
| エコラインこと伊藤良樹 | 排水管洗浄 | 床下防腐処理 |
| リライフこと松本悠希 | 住宅の排水管等の洗浄 | 床下白蟻防除、床下調湿材散布 |
| 株式会社西武住建 | 床下・屋根裏の環境改善工事 | 基礎補修・補強工事 |
出典:消費者庁「特定商取引法ガイド/執行事例の検索」2026年8月29日に編集部が集計。「入口の名目」は役務名の先頭に置かれた語を編集部が抜き出したもの。
かんたんに言うと、6つのうち5つが水回りか給湯器の名前で始まっています。床下から名乗っているのは、株式会社西武住建の1つだけでした。
害虫駆除を単独で名乗っている事案も、12のうち2つしかありません。残りは水道修理、ロードサービス、水回り設備修理、鍵や電気の工事と組み合わせて名乗っていました。

「シロアリの業者に気をつけよう」と構えていると、水道の人として家に通されます。
営業員が何と言って家に入り、床下から出てきて何と言ったか。香川県の資料に原文が載っています。
「白蟻」で唯一該当した事案です。香川県は2021年9月15日、丸亀市のリライフこと松本悠希を処分しました。訪問販売の業務の一部を、3か月間停止するよう命じています。代表者にも同じ期間の業務禁止命令が出ました。
役務の名前は「住宅の排水管等の洗浄、床下白蟻防除及び床下調湿材散布等」でした。
県が認めた違反は2つです。1つは勧誘目的不明示、もう1つは不実告知です。
入口で告げていた言葉
訪問販売では、勧誘の前に「何を売りに来たか」を相手に伝えなければなりません(特定商取引法3条)。
この業者が告げていたのは、次の言葉でした。
「排水溝の掃除をしませんか。」、「排水溝の点検をしませんか。」、「排水管の点検をさせてください。」
県は、排水溝や排水管の点検だけを告げていた点を問題にしています。本来の目的である床下白蟻防除と床下調湿材散布の勧誘だと、相手に明らかにしていなかった、という認定です。
床下から出てきたあとに告げていた言葉
床下に入ったあとの発言は、次のように認定されています。
実際には水漏れ等はしていないにもかかわらず、「つなぎ目から水が漏れている。」、「床下がかなり傷んでいて、水が流れている。」、「床下が大変なことになっている。」などと…不実のことを告げていた。
「実際には水漏れ等はしていないにもかかわらず」という部分が、県の認定です。
県が別紙に載せた勧誘の実例
資料には、3件の勧誘事例が載っています。要点だけ挙げます。
1件目は、排水溝の点検から始まりました。高圧洗浄に22,000円を支払った翌日、営業員が床下に入ります。床下の営業員が「お水出してください。はい、止めて」と声を出し、それに合わせて別の営業員が洗面所の水を出したり止めたりしていました。床下から出てきた営業員は、自分のスマートフォンで撮った動画を見せ、水が漏れていると告げます。提示された見積もりは407,000円でした。
2件目では、排水管の清掃を終えた5日後、集金に来た営業員が「接着剤はサービス」と告げて床下へ入ります。出てきた営業員は、スマートフォンに保存された画像3枚を見せ、こう告げました。
「これは白蟻が通った跡である。」
消費者が疑うと、営業員は同じ画像を見せながら「これ、見てください。今日の日付と時間ですよ」と告げています。提示された金額は440万円でした。
3件目は、排水管の清掃に33,000円を支払ったあと、「床下を見せてほしい。無料である」と申し出があった例です。床下から出てきた営業員は「白蟻に喰われている木があるので、白蟻の駆除も必要である」と告げます。続けて「放っておいてこれ以上悪くなったら、住めなくなる」「白蟻は近所にも飛んで迷惑になる」とも告げました。この消費者は契約したあと、息子の助言で消費生活センターへ相談しています。
※出典:香川県「特定商取引法違反の訪問販売業者に対する業務停止命令(3か月)及び業務禁止命令(3か月)について」(令和3年9月15日)https://www.pref.kagawa.lg.jp/documents/5566/20210915.pdf 2026年8月29日確認。
勧誘の順番は5段階だった
ここからは、3件の事例を編集部が整理したものです。
3件とも、同じ順番で進んでいました。
- 排水管や排水溝の点検・清掃を名目に訪問する。金額は2万〜3万円台と安い
- 作業のあと「無料で床下を見る」と申し出て、床下へ入る
- 業者のスマートフォンの画像や動画を見せる
- 40万〜500万円の見積もりを出す
- 「住めなくなる」「近所に迷惑」「時間がない」と急がせる
シロアリの話が出てくるのは、3番目より後です。入口ではありません。
香川県に寄せられた相談の平均契約金額は、230万円でした。
県は、県消費生活センターと各県民センターに寄せられた相談を12件と公表しています。2020年3月以降の分です。
香川県に寄せられた相談12件の内訳(香川県公表・2021年9月15日)
| 区分 | 内訳 |
|---|---|
| 契約金額 | 〜5万円 4件/〜50万円 1件/〜100万円 1件/〜500万円 3件/〜1千万円 2件/不明 1件 |
| 最大契約金額 | 886万円 |
| 平均契約金額 | 230万円 |
| 契約者の年齢層 | 40代 1件/70代 2件/80代 6件/90代 1件/不明 2件 |
| 最年長・平均年齢 | 90歳・80.3歳 |
出典:香川県 令和3年9月15日 News Release 別紙1。2026年8月29日確認。
契約者の半数が80代でした。平均年齢は80.3歳です。
この230万円が高いのかどうかは、正規の工事と並べると見当がつきます。当サイトで公表単価から計算したところ、40坪の家のシロアリ予防費用は約11.6万〜13.2万円でした。
ただし条件は違います。こちらは予防工事の目安で、被害が出たあとの駆除ではありません。面積も工事の中身もそろっていません。
それでも、おおよそ17〜20倍の開きがあります。金額そのものが、判断の材料になります。
見るのは、入口の名目・見せられた画像・急かす言葉の3つです。
会社名や広告の見た目では判断できません。処分を受けた業者は、シロアリ駆除業者として来ていなかったからです。
1つめ:シロアリ以外の用件で来ていないか
家に来たときの用件が、排水管・排水溝・給湯器・水回りだったかを思い出します。
その用件で入って、床下でシロアリの話になったのなら、行政処分を受けた5事案と同じ形です。この場合、シロアリの話はその場で聞くだけにして、別の日に改めます。
2つめ:見せられた画像を、自分では確かめていないのではないか
床下の画像を見せられても、その画像が自分の家の床下を写したものかどうかを、依頼した側は確かめていません。
香川県の事例では、営業員が「今日の日付と時間ですよ」と告げていました。撮った日付が写っていても、その画像が自分の家の床下だという証明にはなりません。
床下は、点検口があれば自分でものぞけます。無理はしなくてかまいません。別の業者に見てもらう方法もあります。
なお、羽アリを見て相談したのであれば、そもそも相手がシロアリかどうかの確認が先です。羽アリは触角・翅・腰の3点でシロアリかクロアリかを見分けられます。
3つめ:家族に相談する時間を渡されているか
急がせる言葉は、香川県の資料に出てきたものがそのまま参考になります。
- 「住めなくなる」
- 「近所にも飛んで迷惑になる」
- 「相談しても構わないが、あまり時間がない」
同居していない家族へ相談すると告げたときに、時間がないと返された事例もありました。家族へ相談する時間を渡されないなら、その業者は断ってかまいません。

画像を見せられた時点では、写っているのが自分の家の床下かどうかを、まだ確かめられていません。
訪問してきた業者ではなく、自分から探して2社以上に見積もりを取ります。
業者選びの基本は、害虫駆除業者の選び方と契約前の確認ポイントにまとめてあります。金額の公表状況で10社を比べた害虫駆除業者のおすすめを10社で検証した記事や、シロアリ駆除の費用相場と業者の選び方もあわせて読めます。
シロアリの場合に、とくに確かめる項目は次の5つです。
- 会社の所在地と代表者が、公式サイトに書かれているか
- 見積書に、処理する面積(㎡か坪か)と単価が書かれているか
- シロアリ防除以外の工事が足されていないか
- 保証の年数と、保証の対象になる範囲
- 施工するのは自社か、下請けか
3つめを入れているのには理由があります。上位に出てくる業者のコラムは、白蟻防除工事・床下換気扇・調湿材の組み合わせを「業界で3点セットと呼ばれる」と書いています。
そして香川県で処分された業者の役務名は「床下白蟻防除及び床下調湿材散布等」でした。業者側が手口として書いている組み合わせと、実際に処分された業者の役務名が一致しています。

床下の何をどれだけ処理するのか。ここが見積書に書かれていないと、2社を並べても比べられません。
まず消費者ホットライン188へ電話します。局番なしの188で、住んでいる地域の消費生活センターにつながります。
訪問販売の契約には、考え直すための制度があります。契約書面を受け取った日から数えて8日以内なら、理由がなくても解約できます。手続きの中身は、訪問販売の契約書面と8日以内の解約についてまとめた記事にあります。
香川県の3件目の事例では、契約した消費者が翌日に息子へ相談し、その助言で消費生活センターへ相談していました。本人が気づかなくても、家族から動ける場面があります。
親が契約したらしいと聞いたときは、契約書面が手元にあるかを先に確かめます。
役務の名前で数えると、掲載されている526件のうち1事案です。床下に関わるものまで広げて6事案でした。
ただし、処分されるのは一部です。点検に来たと言って訪問し、契約させる手口を点検商法といいます。国民生活センターによると、この相談は2025年度に19,696件寄せられました。処分の件数は、相談の件数とは桁が違います。
※出典:国民生活センター「訪問販売によるリフォーム工事・点検商法」2026年8月29日確認。件数は2026年5月31日現在。
無料で点検すること自体は、違法ではありません。
香川県が問題にしたのは、点検の名目と本当の目的が違っていたことです。訪問販売では、勧誘の前に何を売りに来たかを伝える決まりがあります。排水管の点検で来た人が床下のシロアリの話を始めたなら、話を一度止めてかまいません。
確実な方法は、公的な資料には書かれていません。
できるのは2つです。点検口から自分で床下をのぞくこと、そして別の業者に見てもらうことです。香川県の事例では、消費者が自分の目で確かめたいと考えたことが、相談につながっていました。
その場で決めなくてかまいません。
当日の値引きを持ち出す勧誘は、業界の側も手口として挙げています。コウモリ駆除の業者を調べたときにも同じ指摘が出てきました。詳しくは「今日決めれば値引き」を業界が名指ししている話にあります。
契約書面が手元にあるかを確かめたうえで、消費者ホットライン188へ相談します。
香川県の事例でも、契約した本人ではなく息子の助言で相談に至っていました。相談できる期間には決まりがあるので、気づいた時点で早めに電話します。
国の行政処分526件を数えても、シロアリ駆除業者として処分された業者はほとんど出てきませんでした。
出てきたのは、排水管や給湯器の点検を名目に訪問し、床下に入ってからシロアリの話を持ち出す業者です。床下に入った6事案のうち5事案が、この形でした。
だから、見分けるのは会社名ではありません。どんな用件で来たか、見せられた画像を自分で確かめたか、家族に相談する時間を渡されたか。この3つです。
いまやることは3つです。
- その場で契約しない。金額を聞いても、返事は別の日にする
- 床下を自分の目か、別の業者に確かめてもらう
- 自分から探して、2社以上に見積もりを取る

比べる相手が1社もない状態だと、出された金額が高いのかどうかを決められません。

