シロアリ駆除剤に「一番安全」はありません|協会が答えた11の質問
シロアリの駆除剤を調べていると、心配になることが2つ出てきます。
どれが一番安全なのか。そして人体に影響はないのか。
その2つに、公益社団法人 日本しろあり対策協会が答えています。
「一番安全」という薬剤はありません。
理由は、安全性を測る基準が1つではないからです。
そしてもう1つ、思い込みを外す答えがあります。
天然物が安全で、合成物が危険とは限りません。
この記事では、協会の回答をもとに、薬剤の選び方と施工中にやることを整理します。
- 「一番安全」な薬剤はない。安全性を計る基準が複数あるため
- 天然物が安全で合成物が危険とは一概には言えない
- 防蟻剤は法律の直接規制下にない。基準になっているのは協会の認定
- 施工中は2階にいる。垂れた薬剤は水拭きで足りる

ホームセンターで買って自分で撒こうと考えている段階なら、処理の範囲だけ先に知っておくと判断が変わります。
協会がはっきり答えています。
安全性を計る基準は幾つもあり、すべての項目で一番というものはありません。協会認定の薬剤であれば各項目で安全性の基準を満たしています
※出典:公益社団法人 日本しろあり対策協会「シロアリQ&A」(2026年8月28日確認)。以下、協会からの引用は出典名を省きます。
基準が複数あるので、1位が決まりません。
だから探すべきなのは「一番安全な薬剤」ではなく、認定を受けているかどうかになります。
天然物が安全とは限りません
新生児がいる家庭からの相談に、協会はこう答えています。
質問は「シロアリが出たが新生児がいるので薬剤が心配です。天然物(ヒバなど)を使用している業者を紹介して下さい」というものでした。
天然物が安全で合成物が危険とは一概には言えません。どちらも毒性のデータを良く確認してから選んで下さい
「天然だから安全」という選び方を、協会が否定しています。
ホウ酸についても条件が付いています。
(公社)日本木材保存協会で木材の表面処理剤として条件付きで認定を受けていますので用法用量通りに使用することで効果があります。ただしとても水に溶けやすいので絶対に雨がかからないようにして、施工する必要があります
水に弱い、という制約があります。
認定制度がある理由が書かれています。
協会は、防蟻・防腐剤の製剤が「化学物質審査および製造等の規制に関する法律」の直接規制下にないため、協会の認定制度が重要な役割を果たしているとしています。
国の法律が直接見ていない分野です。
だから、認定の中身が基準になります。
協会の薬剤認定の仕組み
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| 審査の依頼先 | 木材保存剤等審査会(保存性能を審査) |
| 認定する組織 | 薬剤等認定委員会(協会の学識経験者で構成) |
| 審査する項目 | 効力・安全性・環境への負荷・使用法・使用後の廃棄方法等を総合的に審査 |
| 対象 | 土壌処理剤、予防駆除剤、防蟻または防蟻・防腐効果を有する材料及びその施工方法 |
出典:協会「薬剤認定の流れ」(2026年8月28日確認)。
「効くかどうか」だけを見ているのではありません。捨て方まで審査項目に入っています。
有効期間は5年|再発を防ぐ間隔もここで決まります
年数にも理由があります。
協会では5年を超えて長期間有効な薬剤は環境によくないと考えています。そのため認定する薬剤の有効期間は5年になっています。
長く効く薬をあえて認定していません。
「5年で切れる」のではなく、5年で切れるように設計されているということです。5年ごとの費用の話はシロアリ駆除は5年ごとに費用がかかる?にまとめました。
見積もりを2社から取ると出てくる疑問です。
質問は「2社に見積りをしてもらいましたが、薬剤の種類が違います。1社は劇物、もう1社は普通物です。効果は違うのでしょうか」でした。
成分が異なるので効果効能に違いはありますが、協会認定の薬剤であれば防蟻効力の基準をクリアしていますので効果については心配ありません
認定を受けているなら、効力の基準は同じです。
ここからは編集部の見方です。
薬剤名で比べるより、認定薬剤かどうかを聞くほうが早くなります。見積書に薬剤名が書いてあるなら、そこを起点に業者へ確認できます。
見積書で確かめる項目はシロアリ駆除は自分でできる?にまとめました。
家の作りで、勧められる工法が変わります
もう1つ、条件で変わる答えがあります。
質問は「新築住宅で気密性が高く、空気を循環させるタイプの家なのですが、防蟻方法、薬剤について教えて欲しいです。特に人体への影響がないものを知りたいです」でした。
床下の空気を室内に循環させるシステムの場合はベイト工法をおすすめします
床下の空気が室内に来る家では、薬剤を撒く工法とは別の選択肢になります。
バリア工法とベイト工法で評価が分かれた口コミの分析はダスキンのシロアリ駆除の評判にあります。
自分で撒けるかを考えるうえで、範囲の話をします。
協会は、防除処理をこう定めています。
防除処理には土壌処理と木部処理があり、その両方を行うことになっており
片方だけでは、仕様書の水準に届きません。
それぞれの中身も書かれています。
土壌処理は「建物の基礎の内側や束石の周囲、その他シロアリが通過する恐れのある土壌を薬剤で処理する」方法で、通常は土壌表面に薬剤を散布して防蟻層を形成します。
木部処理は2つの方法があります。
木材表面に薬剤を噴霧器を用いて吹き付け処理するか、又は刷毛等で塗布する方法と、木材や壁体に穿孔して薬液を注入する方法があります
穿孔して注入する工程が含まれます。
新築建物での範囲も示されています。「基礎天端から1mまでの部材、浴室回り部材、洗面所や台所等の水回り部分の木材を処理する」とされています。
ここからは編集部の見方です。
ホームセンターで薬剤を買うことはできますが、仕様書が求めているのは道具ではなく範囲です。床下全体の土壌と、水回りを含む木部の両方。そこに穿孔が入ります。
そして、施工そのものについても定めがあります。
当協会に登録された者が認定薬剤を用い、防除施工標準仕様書及び安全管理基準に基づいて処理を行っており
認定薬剤は「登録された者が使う」前提で認定されています。
予防処理の範囲と費用はシロアリ予防費用は40坪でいくら?にまとめました。
やってはいけないことと、やることを分けます。
施工中は2階にいます。
新生児がいる家庭からの質問に、協会はこう答えています。
協会認定薬剤であれば安全性は確認されていますが、念のため施工中は2階にいたほうがより安全です
近隣の工事でも同じです。
協会で定めた仕様書及び安全管理基準に基づいて施工する限り心配はありません。ただし散布中は現場には入らないようにして下さい
薬剤が垂れたら、水拭きです。
シロアリ被害箇所には薬剤を注入しますが表面に薬剤が垂れることはあります。協会認定の薬剤は安全性が高いのできちんと水拭きをすれば心配はありません
- 施工中は2階にいる(在宅する場合)
- 近隣の工事でも散布中は現場に入らない
- 室内に垂れた薬剤はきちんと水拭きする
- 使う薬剤が協会認定かどうかを業者に聞いておく
※出典:協会「シロアリQ&A」(2026年8月28日確認)。
体調に異変が出たときの順番
具体的な相談も記録されています。
質問は「シロアリ施工を2週間前にしたが、その後、家族がひどいせきをするようになりました。薬剤が原因ではないでしょうか。小さい子供もいるので不安です、どうしたらよいでしょうか?」でした。
メーカーには専用の相談窓口があります。施工業者に問い合わせ使用薬剤を確認の上、かかりつけの医者にご相談下さい
順番は、業者に薬剤名を聞く → メーカーの窓口 → かかりつけ医です。
薬剤名が分からないまま病院へ行っても、判断の材料が足りません。
この章のやること
- 施工前に、使う薬剤の名前を書面で確認しておく
- 施工中は2階にいる。散布中の現場に入らない
- 体調に異変が出たら、薬剤名を確認してから医師に相談する

自分で撒くつもりだったが、範囲を知って迷っている。どこまで処理が要るのかだけでも分かると、判断が決まります。
最後に、確かめる手段の話です。
質問は「新築中にシロアリ予防の処理をした形跡がありませんでした。業者に確認したら無色の薬剤を使ったと言われましたが、信用できません。調べる方法はあるのでしょうか」でした。
業者が使用したと言っている薬剤のメーカーに依頼すれば施工されているかどうかの分析はできますが費用がかかります
分析はできます。ただし有料です。
保証の範囲についても、注意があります。
協会で定めた仕様書どおりに施工すればイエシロアリにも効果はあります。ただし協会では保証内容を定めてはいないので施工した業者に確認して下さい
保証の中身は協会が決めていません。業者ごとに違うので、書面で確かめることになります。
業者の選び方は大阪のシロアリ駆除業者の選び方に、料金の公表状況は農協(JA)のシロアリ駆除料金にまとめました。
ありません。協会は「安全性を計る基準は幾つもあり、すべての項目で一番というものはありません」としたうえで、協会認定の薬剤であれば各項目で安全性の基準を満たしているとしています。
一概には言えません。協会は「天然物が安全で合成物が危険とは一概には言えません」とし、どちらも毒性のデータをよく確認してから選ぶよう答えています。
協会は、認定薬剤であれば安全性は確認されているとしています。ただし新生児がいる場合について「念のため施工中は2階にいたほうがより安全です」、近隣の工事について「散布中は現場には入らないようにして下さい」と添えています。
薬剤名の確認が先です。協会は「メーカーには専用の相談窓口があります。施工業者に問い合わせ使用薬剤を確認の上、かかりつけの医者にご相談下さい」としています。
範囲が問題になります。協会は防除処理に土壌処理と木部処理があり、その両方を行うことになっているとしています。木部処理には木材や壁体に穿孔して薬液を注入する方法が含まれます。
協会は「成分が異なるので効果効能に違いはありますが、協会認定の薬剤であれば防蟻効力の基準をクリアしていますので効果については心配ありません」としています。
環境への配慮です。協会は「5年を超えて長期間有効な薬剤は環境によくないと考えています。そのため認定する薬剤の有効期間は5年になっています」としています。
シロアリ駆除剤に、「一番安全」はありませんでした。
協会は「安全性を計る基準は幾つもあり、すべての項目で一番というものはありません」としています。そして天然物が安全で合成物が危険とは一概には言えないとも書いています。
防蟻剤は法律の直接規制下になく、基準になっているのは協会の認定です。認定では効力・安全性・環境への負荷・使用法・使用後の廃棄方法が総合的に審査されます。
有効期間は5年。長く効く薬をあえて認定していません。
そして処理は土壌と木部の両方で、木部には穿孔して薬液を注入する工程が含まれます。
やること
- 薬剤を選ぶときは「一番安全」ではなく、協会認定かどうかを見る
- 施工前に使う薬剤の名前を書面で確認しておく
- 施工中は2階にいて、垂れた薬剤は水拭きする

どこまで処理が要るのか分からないまま、薬剤だけ選んでも決まりません。範囲が見えると、自分でやるかどうかも決まります。

