ユスリカが寄ってくる原因は光です|駆除より先に替える照明と、側溝の汚泥
夕方、駐車場の照明の下に、小さい虫が柱のように群れている。
窓ガラスにも張り付いていて、洗濯物にも付く。刺されるのかどうかも分からないまま、殺虫剤の売り場へ行こうとしている人が多いと思います。
そこで止まってください。ユスリカは刺しません。そして、殺虫剤を撒く相手でもありません。
京都市と伊丹市の資料には、寄ってくる原因と、湧く原因が別々に書かれています。この記事では、その2つを分けて、どちらに手を打てるかまで示します。
- ユスリカは口が退化していて吸血できません。刺されているなら別の虫です
- 寄ってくる原因は、照明から出る紫外線です
- 湧く原因は、水の底に溜まった汚泥です
- やること:照明を替える → 網戸と防虫ネット → 側溝の汚泥は自治体へ

虫が出ていて、しかも刺された跡がある、という人は相手が違う可能性があります。
まず、刺すかどうかから片づけます。
京都市の資料は、こう書いています。
成虫は蚊とよく似ていますが、口は退化して吸血できず、寿命も1週間と短めです
※出典:京都市「衛生動物だより No.058 ユスリカ類について」(衛生環境研究所・2026年8月30日確認)。以下、京都市からの引用は出典名を省きます
口そのものが退化しています。蚊に似ているのは見た目だけで、吸血する器官がありません。寿命も1週間です。
名前の由来も書かれています。水底の泥の中に筒状の巣を作り、その中で体をゆすっている様子から「ユスリカ」と付いたとされています。
あの「柱」がユスリカです
名前を知らなくても、見たことがある人は多いはずです。
ユスリカという名前は知らなくても、春から秋にかけての夕方に小さな虫が柱状に群がり飛び回っているのを見たことがあると思います。その正体が、「ユスリカ」という昆虫です
蚊柱と呼ばれるあれです。夕方に、決まった場所で柱のように群れます。
卵も特徴的です。資料は「透明な寒天状物質に包まれた卵を水際に産卵」すると書いています。側溝のふちに透明なゼリー状の粒の塊が付いていたら、それが卵塊にあたります。
寄ってくる原因と、湧く原因は別です
ここを分けると、打つ手が決まります。
ユスリカの「寄ってくる原因」と「湧く原因」
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| 原因 | 手を打てる人 | |
|---|---|---|
| 寄ってくる | 照明から出る短い波長(紫外線)の光 | 自分(照明・窓・網戸) |
| 湧く | 水の底に溜まった汚泥(側溝・河川・水路) | 多くは自治体(公共の側溝) |
出典:京都市「衛生動物だより No.058」/伊丹市「ユスリカについて」(市民自治部グリーン戦略推進室生活環境課・2023年4月1日更新/2026年8月30日確認)。区分は編集部が整理したものです
資料の書き方はこうです。
汚れた水域から大量に発生した成虫が、灯りに引き寄せられて家屋に飛来します
「発生」と「飛来」が別の言葉で書かれています。発生するのは水辺で、飛んで来るのは光のせいです。
かんたんに言うと、自分の家でできるのは「飛来」を減らすほうです。
刺されているなら、別の虫です
刺された跡があるなら、相手はユスリカではありません。
室内で刺す小さい虫は、ダニのなかまなど別の生き物です。体長から絞る方法は下の記事にまとめてあります。
小さくて飛ぶ虫という点ではコバエとも紛れます。台所やベランダで見ているなら、コバエ発生源がわからないのは種類を見ていないからも見てください。
ここがこの記事でいちばん伝えたい部分です。
「照明を替えましょう」と書いてある資料は多いのですが、何に替えるのかは、資料によって書き方が違います。
照明についての記述(2つの自治体資料)
| 出典 | 書かれていること |
|---|---|
| 京都市 No.058 | ユスリカ類は照明から出る短い波長(紫外線)の光に引き寄せられます/紫外線の少ない照明(防虫用蛍光灯)に取り換えたり、窓に紫外線遮断フィルムを張り付けたりすることで飛来を抑制出来ます |
| 伊丹市 | 白熱灯よりも蛍光灯や水銀灯などに誘引されやすいため、ユスリカの発生地近くでは、白熱灯や黄色系の照明を使用すると飛来数を少なくできます |
出典:京都市「衛生動物だより No.058」/伊丹市「ユスリカについて」(いずれも2026年8月30日確認)
一見、逆のことを言っているように読めます。京都市は「防虫用蛍光灯に取り換える」、伊丹市は「蛍光灯は誘引されやすい」です。
矛盾ではありません。軸は紫外線です
ここは編集部の読み方です。
京都市の資料は、引き寄せる正体を「短い波長(紫外線)の光」と名指ししています。伊丹市が挙げている「蛍光灯や水銀灯」は、紫外線を出しやすい照明です。そして京都市が挙げている「防虫用蛍光灯」は、紫外線を減らした蛍光灯を指します。
つまり、見るべきなのは器具の名前ではなく、紫外線が出るかどうかです。同じ「蛍光灯」という言葉でも、防虫用かどうかで扱いが分かれます。
買うときは、紫外線をカットすると書かれているかを見てください。器具の種類名だけで判断すると、両方の資料のどちらかとぶつかります。
光を減らす以外に書かれていること
照明のほかに、2つ挙がっています。
- 窓に紫外線遮断フィルムを張り付ける
- 網戸や防虫ネットで、隙間からの屋内侵入を軽減する
資料の語尾は「抑制出来ます」「軽減出来ます」です。ゼロになるとは書かれていません。
飛んで来る数がどれくらいになるかは、近くの水域の状態にもよります。京都市の資料は「汚れた水域から大量に発生した成虫が」と書いており、発生する側の水質にも触れています。
つまり、照明を替えても近くに汚れた水域があれば、来る数の上限は下がりません。照明でできるのは、その中から自分の家に寄る分を減らすところまでです(ここは編集部の読み方です)。
刺さないなら放っておいていいのか、という疑問が残ります。
資料は、益虫の面と害虫の面の両方を書いています。
まず益虫の面です。
幼虫は側溝や河川の底に溜まった泥を食べて成長するので、水の浄化に役立っています
泥を食べて水をきれいにしているという書き方です。日本では約1000種類が知られているとされています。
一方で、害虫としての面も並んでいます。
- 不快の原因となる
- 洗濯物に付着する
- 死骸の破片がアレルギー疾患を誘発させることがある
- 食品工場で混入異物として見つかることがある
※出典:京都市「衛生動物だより No.058」(2026年8月30日確認)
セスジユスリカなどは不快害虫として有名だと資料は書いています。
死んだあとのほうが問題になることがあります
見落としやすいのがここです。
死骸の破片がアレルギー疾患を誘発させることがある、という書き方です。生きている個体ではなく、死んで砕けたものが問題になります。
ここは編集部の判断ですが、大量に死んだユスリカを箒で掃くのは避けたほうがよいことになります。破片が舞うためです。掃除機で吸い取るほうが、資料の書き方とは矛盾しません。
なお、この記事ではアレルギー疾患の症状や病名は扱いません。資料が書いている範囲までにとどめます。
打つ手は、担当が分かれます。
ユスリカ対策の切り分け
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| やること | 誰がやるか | 準備するもの |
|---|---|---|
| 照明を紫外線の出ないものに替える | 自分 | 防虫用蛍光灯など |
| 窓にフィルムを張る | 自分 | 紫外線遮断フィルム |
| 隙間をふさぐ | 自分 | 網戸、防虫ネット |
| 洗濯物を叩いて取り込む | 自分 | ― |
| 水路や側溝の汚泥を取り除く | 多くは自治体(公共の側溝) | ― |
洗濯物については、伊丹市が具体的に書いています。
取り込む時に、周辺を叩いて飛び立たせることなどが有効な対策
いちばん効くのは、自分の手が届かない場所です
これが厄介なところです。
伊丹市の資料は、こう書いています。
水路や川などの水の溜まる場所の汚泥を取り除くなど、定期的に清掃し、水の流れが滞らないようにすることがユスリカの発生を防ぐ最も効果的な方法
「最も効果的な方法」とされているのが、汚泥の除去です。ただし公共の側溝や水路は、個人が勝手に手を入れる場所ではありません。
どこに言えばいいのかは、自治体によって窓口が変わります。相談先の使い分けは害虫駆除はどこに相談する?にまとめてあります。
薬剤を配っている市もあります。船橋市の例は船橋市は害虫の薬剤を2種類配っているで扱っています。
業者に頼む判断ライン
自分でやる範囲を超えるのは、次の場合です。
- 照明と網戸を替えても、屋内に入ってくる数が変わらない
- 刺された跡がある(相手がユスリカではない可能性)
- 敷地内に水のたまり場があり、自分では清掃できない
- 建物の隙間がどこか分からない
上の2つ目がいちばん多い勘違いです。ユスリカは刺さないので、刺されているなら別の虫を探すことになります。
手を打つ時期も決まっています。
伊丹市の資料は、こう書いています。
春(4月ごろ)と秋(10月ごろ)を中心に、主に流れの滞った水路や川、水路の接続部分、水のたまり場等から発生
年に2回、山が来るという書き方です。夏の盛りではありません。
生息できる範囲も広く取られています。伊丹市は「清流や濁流を問わず、世界中のあらゆる水辺やその周囲に発生し、日本だけでも約1,000種類が生息する」としています。
きれいな水でも出ます。汚れた水域から大量に出るのは京都市の資料のとおりですが、水がきれいなら出ないという書き方にはなっていません。
発生する場所として挙がっているのは4つです。
- 流れの滞った水路
- 川
- 水路の接続部分
- 水のたまり場
共通しているのは「流れが止まっている」ことです。流れていれば汚泥が溜まりにくく、幼虫の餌が減ります。
再発を防ぐという意味では、春と秋が来る前に照明とフィルムを済ませておくのが順番になります。ここは編集部の判断ですが、飛んできてから替えるより手数が少なくて済みます。
なお、光で寄せつけないという考え方は、薬で寄せつけない忌避剤とは別の枠組みです。忌避剤の区分は忌避剤とは?何から守るかで法律が変わりますにまとめてあります。
照明から出る短い波長(紫外線)の光です。京都市の資料がそう書いています。
ただし、これは「飛んで来る」原因です。そもそも湧く原因は、水の底に溜まった汚泥のほうです。2つを分けて考えると、自分で打てる手が決まります。
刺しません。京都市の資料は「口は退化して吸血できず」と書いています。
蚊によく似ていますが、吸血する器官がありません。刺された跡があるなら、別の虫を探してください。
「嫌がるもの」を挙げた資料は、確認できませんでした。
書かれているのは、逆の方向です。引き寄せるもの(紫外線)を減らすという書き方になっています。防虫用蛍光灯、紫外線遮断フィルム、網戸や防虫ネットの3つです。
何かを置いて遠ざけるのではなく、寄せる材料を減らすという考え方になります。
資料は両方を書いています。
幼虫は側溝や河川の底の泥を食べるので、水の浄化に役立っているとされています。一方で成虫は不快の原因になり、洗濯物に付着し、死骸の破片がアレルギー疾患を誘発させることがあるとされています。
セスジユスリカなどは不快害虫として有名だという書き方です。
水のたまり場を探してください。伊丹市の資料は、流れの滞った水路や川、水路の接続部分、水のたまり場から発生するとしています。
敷地内に水が溜まっている場所があるなら、そこが候補です。公共の側溝であれば、自治体の窓口へ相談することになります。
ユスリカは、撒いて減らす相手ではありません。
- 口が退化していて吸血できません。刺されているなら別の虫です
- 寄ってくる原因は照明の紫外線。器具の名前ではなく、紫外線が出るかどうかで選びます
- 湧く原因は水の底の汚泥。「最も効果的な方法」とされているのは汚泥の除去です
- ただし公共の側溝は自治体の管轄です
- 発生の山は春(4月ごろ)と秋(10月ごろ)です
今日やること:
- 玄関や駐車場の照明が、紫外線を出すものかを確かめる
- 網戸と、窓のフィルムを見直す
- 敷地の外に水のたまり場があれば、自治体の窓口へ相談する

照明も網戸も替えたのに数が変わらない、あるいは刺された跡があるという段階なら、相手を確かめるところからになります。

