ヤマトシロアリとイエシロアリの違いは食べ方|3つ使うのと1つだけ
床下でシロアリが見つかった。種類はヤマトシロアリらしい。
そのとき知りたいのは、ヤマトシロアリがどのくらいやばいのかだと思います。
答えを先に書きます。イエシロアリほどではありません。理由は、木材の食べ方が違うからでした。
シロアリが木を食べる方法は3つあります。イエシロアリは3つとも使い、ヤマトシロアリは1つしか使いません。
- 木材を食べる方法はひっぱり・切り込み・かき集めの3つ。イエは3つ、ヤマトはひっぱりだけ
- ヤマトシロアリの加害速度は「比較的緩慢」とされ、被害は建物の下部に限られる
- ただし全国に分布しているのはヤマトのほう。イエは神奈川以西の温暖な海岸地帯に多い
- いますること:食害か腐朽かを確かめる。秋材部が同心円状に残っていればシロアリ

床下に業者を入れる前に、いま自分の家がどちらの状態なのかだけ知っておきたい。そういう段階なら、見てもらうところから始められます。
同じシロアリでも、被害の出方が違います。
長野県林業総合センターの資料は、ヤマトシロアリについてこう書いています。
加害速度は比較的緩慢でイエシロアリほど激しくはありません。
※出典:長野県林業総合センター「ヤマトシロアリの生態と防除について」。2026年8月29日確認。以下、長野県の資料はすべて同じものです。
日本木材保存協会の学会誌も、同じ向きの説明をしています。
イエシロアリはヤマトシロアリと比較して、コロニーあたりの個体数が多く1件あたりの被害が大きい傾向にある
※出典:大村和香子「移りゆくシロアリ生息分布 ~防蟻対策の地域区分とのかかわり~」『木材保存』41巻3号102〜107ページ(2015年)。2026年8月29日確認。
「やばいかどうか」は、相手がどちらかで変わります。
理由がはっきり書かれた資料がありました。
日本木材保存協会の講演会の報告です。シロアリが木材を食べる方法は、3つあるとされています。
シロアリが木材を食べる時の方法は3つあり,大顎(たいさい)をうまく利用して,ひっぱり(Pulling)・切り込み(Cutting)・かき集め(Scraping)のパターンがある。
そして、使える数が違います。
イエシロアリは3つの摂食パターンで旺盛な食害活動を見せる。ヤマトシロアリは引っぱりのみでしか食害を見せず,基本的には湿った材を食害する。
※出典:石井陽一郎・片峰未尋「ヤマトシロアリとイエシロアリはこんなに違う」『木材保存』30巻2号59ページ(2004年)。日本木材保存協会の講演会に参加した方の報告で、冒頭に「筆者の聞き間違いや理解不足の点など多々あると思います」という断りが付いています。2026年8月29日確認。
木材を食べる3つの方法と、使える種類
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| 方法 | イエシロアリ | ヤマトシロアリ |
|---|---|---|
| ひっぱり(Pulling) | 使う | 使う |
| 切り込み(Cutting) | 使う | 使わない |
| かき集め(Scraping) | 使う | 使わない |
出典:同報告より編集部が整理。2026年8月29日確認。
かんたんに言うと、道具の数が3対1ということです。歯とあごの構造そのものは基本的に同じとされているので、差は使い方のほうにあります。
採餌の範囲も違います。ヤマトシロアリのほうが狭いとされています。

同じ「シロアリ」でも、木の壊し方が違います。ここが被害の速さの差になっています。
食べられる場所も限られます。
本県に生息するヤマトシロアリは水を運ぶ能力がないのでその被害は建物の下部、特に多湿で腐朽しやすい箇所に限られます。
水を運べるかどうかの違いはシロアリの羽アリは飛んだ時期で種類が絞れるに詳しく書きました。ここでは被害がどこに出るかだけ見ます。
イエシロアリは、届く範囲がまったく違います。
これに対してイエシロアリは建物の下部はもちろん天井裏まで蟻道を伸ばして水を運び、乾燥した梁や桁などの小屋組材までも食害します。
床下で止まるか、小屋組みまで行くか。ここが「1件あたりの被害が大きい」の中身です。
床下の木が傷んでいても、シロアリとは限りません。腐っているだけのこともあります。
長野県の資料は、その見分け方を書いていました。
心材より辺材を、硬い秋材部より軟らかい春材部を食害するので秋材部が同心円状に残り、被害が進行すると、表面を強く押すとへこんだり、たたくと空洞音がします。これらのことから腐朽と区別できます。
かんたんに言うと、硬いところが輪になって残るということです。
床下で確かめる3点
| 見るところ | シロアリの食害なら |
|---|---|
| 木の断面 | 硬い部分(秋材部)が同心円状に残っている |
| 表面を押す | へこむ |
| たたく | 空洞音がする |
出典:長野県の同資料より編集部が整理。2026年8月29日確認。
軟らかいところだけを選んで食べた結果が、この形です。腐朽ならこうはなりません。
「イエシロアリのほうが激しい」で終わると、判断を間違えます。
日本本土には全国的に分布しているヤマトシロアリと神奈川以西の温暖な海岸地帯に多く分布しているイエシロアリの2種のシロアリが生息しています。
多くの地域で相手になるのは、ヤマトシロアリのほうです。
羽アリが出る時期も書かれています。ヤマトシロアリは4〜5月頃の雨上がりの暖かい晴天日の午前10〜12時頃に群飛し、羽アリの体長は4.5〜7.5mmで黒褐色です。
なお、群れの中身も資料にあります。職蟻(ハタラキアリ)が全体の90〜95%を占め、巣を造ったり餌を採ったりしています。
羽アリを見たときの絞り込みは羽アリはシロアリかクロアリかにまとめてあります。
資料は、建物側でできることを2つ挙げています。
床の高さは法律で決まっています
建築基準法施行令第22条には、「床の高さは地面から床の上面まで45cm以上とする」とありますが、これは基礎の高さが大体30cm以上になることを意味します。
新築や改築のときに基礎を高くしておくのは、予防として有効とされています。
もうひとつは通風です。「一般にシロアリは暗くて温暖多湿な所を好むので、特に床下の換気孔を大きくするなどして通風採光を図ることも大切」とされています。
樹種によって食べられにくさが違います
イヌマキとか、イス、カシ、タブなどの硬い樹種はシロアリに対する抗蟻性が大きいといわれます。
イヌマキには一種の殺蟻成分があるとされています。ただしヤマトシロアリはほとんどの樹種を食害するとも書かれているので、樹種だけで防げるものではありません。
薬剤そのものの選び方はシロアリ駆除剤に「一番安全」はありませんにまとめました。
ここまでの見分けは、床下に入れることが前提です。
点検口がない。基礎が低くて潜れない。手が届かない。
確かめられないこと自体が、判断の材料になります。押してへこむかどうかは、その木に触れないと分かりません。
費用の考え方はシロアリ駆除は5年ごとに費用がかかる?に、悪質な業者の入り方はシロアリ駆除の悪質業者はどう来るかにまとめてあります。

床下に入れないまま「たぶんヤマトだろう」で進めると、イエシロアリだった場合に小屋組みまで見落とします。
イエシロアリと比べれば緩やかです。長野県の資料は加害速度を「比較的緩慢でイエシロアリほど激しくはありません」とし、被害も建物の下部に限られるとしています。ただし全国に分布しているのはヤマトのほうです。
資料の書き方ではイエシロアリです。木材を食べる3つの方法をすべて使い、天井裏まで蟻道を伸ばして水を運び、乾燥した梁や桁まで食害するとされています。コロニーあたりの個体数も多いと書かれています。
長野県の資料は、4〜5月頃の雨上がりの暖かい晴天日の午前10〜12時頃に群飛するとしています。体長は4.5〜7.5mmで黒褐色です。時期からの絞り込みはシロアリの羽アリは飛んだ時期で種類が絞れるにあります。
硬い秋材部が同心円状に残っていればシロアリの食害です。加えて、表面を強く押すとへこむ、たたくと空洞音がする、という特徴が挙げられています。
水を運ぶ能力がないため、もともと湿っている場所が条件になります。資料は被害が「多湿で腐朽しやすい箇所に限られる」としており、床下の通風を確保することを勧めています。
ヤマトシロアリがイエシロアリほど激しくない理由は、食べ方にありました。
木材を食べる方法はひっぱり・切り込み・かき集めの3つ。イエシロアリは3つとも使い、ヤマトシロアリはひっぱりだけです。
そのぶん加害速度は緩やかで、被害は建物の下部に限られます。ただし全国にいるのはヤマトのほうなので、多くの家で相手になるのはこちらです。
やること
- 傷んだ木の断面を見る。硬い部分が同心円状に残っていればシロアリ
- 表面を押してへこむか、たたいて空洞音がするかを確かめる
- 床下の換気孔をふさいでいないか見る
- 天井裏や梁にも被害があるなら、ヤマトではない可能性を疑う
- 床下に入れないなら、入れる人に見てもらう

「どちらのシロアリか」より先に、「被害が下だけか、上まで来ているか」を確かめてください。そこで話が変わります。

