シロアリ駆除が必要ないと公的基準が認める範囲|11道県は地盤の措置を省略
シロアリ駆除は本当に必要なのか。
高い工事を勧められて、そう思った方もいると思います。
答えは何の話をしているかで変わります。
法律にも、国の基準にも、省略できる場合が書かれています。
この記事では2026年8月25日に法令と公的基準を確認し、その線引きを整理しました。
- 建築基準法施行令は、しろありの措置を「必要に応じて」としている
- フラット35の基準では、11道県で地盤の防蟻措置を省略できる
- ただし省略できるのは新築時の措置の話。被害が出たあとの駆除とは別
- 省略できる県でも、国の調査では蟻害が出ている

「必要ない」と言い切る情報も、「必ず必要」と言い切る情報も、どちらも何かを省いています。
まず、いちばん上の決まりを見ます。
建築基準法施行令の第四十九条第2項は、次のとおりです。
構造耐力上主要な部分である柱、筋かい及び土台のうち、地面から一メートル以内の部分には、有効な防腐措置を講ずるとともに、必要に応じて、しろありその他の虫による害を防ぐための措置を講じなければならない。
※e-Gov法令検索の条文による(2026年8月25日確認)。
読み分けが要る一文です。
施行令49条2項が求めているもの
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| 対象 | 措置 | 書き方 |
|---|---|---|
| 柱・筋かい・土台のうち地面から1m以内 | 防腐措置 | 講ずる(義務) |
| 同上 | しろありの措置 | 必要に応じて講ずる |
条文をもとに編集部が整理(2026年8月25日確認)。
腐りを防ぐ措置は義務。しろありの措置は「必要に応じて」です。
つまり法律の側から見ると、シロアリの措置が要らない場合があるという前提になっています。
かんたんに言うと、「必要ない」という言い分には根拠がないわけではありません。
問題は、その「必要に応じて」がどこで決まるかです。
「必要に応じて」の中身を具体化している基準があります。
住宅金融支援機構のフラット35の耐久性基準です。
基礎の内周部の地盤について、次のいずれかの防蟻措置を求めています。
- 鉄筋コンクリート造のべた基礎で覆う
- 基礎の内周部の地盤上に一様に打設したコンクリート
- 薬剤により基礎内周部及びつか石の周囲の土壌処理を行う
そのうえで、次の記載があります。
北海道、青森県、岩手県、秋田県、宮城県、山形県、福島県、新潟県、富山県、石川県又は福井県においては、地盤の防蟻措置を省略することができます
※フラット35の耐久性基準による(2026年8月25日確認)。
11の道県が名指しで挙がっています。
建物側の措置についても差があります。
基準は「地面からの高さ1m以内の部分の防腐・防蟻(北海道・青森県は防腐)措置」としています。
北海道と青森県は防腐だけでよい、という書き方です。
ここからは編集部の判断です。「シロアリ対策は必要ない」と言える地域は、公的な基準の上でも実在します。ただしそれは北日本と北陸に限られ、しかも新築のときの話です。
ここが誤解の起きやすいところです。
省略できる=シロアリがいない、ではありません。
11道県のうち富山県について、編集部が国の調査を県別に開いたことがあります。
国が調べた5,322棟のうち、富山県の蟻害の発生率は36.9%でした。数字の読み方とあわせて富山のシロアリ駆除は必要?にまとめています。
地盤の防蟻措置を省略してよい県で、この数字が出ています。
理由は対象の違いです。
何を省略できるのか
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| 省略できる(11道県) | 省略できない | |
|---|---|---|
| 対象 | 新築時の地盤の防蟻措置 | 地面から1m以内の建物側の措置(北海道・青森は防腐のみ) |
| 時点 | 建てるとき | ― |
| 既存の住宅 | 対象外 | ― |
| 被害が出たあとの駆除 | 対象外 | ― |
フラット35の耐久性基準をもとに編集部が整理(2026年8月25日確認)。
いま建っている家に被害が出ているかどうかは、この基準では決まりません。
長野県では、県の資料が標高1,200mぐらいまでシロアリが生息していると推定しています。県内で人が住む土地はほぼその内側でした。詳しくは長野県のシロアリ駆除にまとめています。
もうひとつ、混ざりやすい区別があります。
予防と駆除です。
国税庁は、この2つをはっきり分けています。
シロアリ被害を受けた家の修繕と駆除の費用は雑損控除の対象になる一方、予防のための費用は対象になりません。駆除と一緒に行った予防も対象外です。詳しくはシロアリ駆除費用は確定申告で控除できるにまとめました。
税の側から見ても、被害が出ている家と、出ていない家は別扱いです。
金額の目安は次のとおりです。
- 駆除・予防の工事:1坪あたり5,000円〜1万円が目安
- 40坪の家で予防だけを頼む場合の考え方はシロアリ予防費用は40坪でいくら?にまとめています
薬剤の有効期間が切れたあとの再施工についてはシロアリ駆除は5年ごとに費用がかかる?で扱っています。
要確認:既存の住宅に予防工事を義務づける法令は見当たりませんでした(2026年8月25日確認)。
ここからは編集部の判断です。判断の材料は、住んでいる地域と、床下の現状の2つです。
地域は基準を読めば分かります。床下は見ないと分かりません。

「必要かどうか」を先に決めようとすると答えが出ません。床下を見てから決めるほうが、順番として早く済みます。
「必要ない」と検索する理由が、訪問営業の場合もあります。
床下を無料で点検すると言って訪問し、不安をあおって契約を迫る手口があります。各地の自治体が注意を呼びかけています。
契約でのトラブルの相談先は、局番なしの188(消費者ホットライン)です。郵便番号から最寄りの窓口につながります。
手口の詳細と、公的情報での業者の絞り込み方は大阪のシロアリ駆除業者の選び方にまとめています。
見積もりを取るときは次を確認してください。
- 処理する範囲は建物のどこまでか
- 薬剤の名前と、その薬剤の有効期間
- 保証は何年で、再発したときに何をしてもらえるのか
- 見積もりが概算か、確定した金額か
2社以上から取ってください。1社だけでは、その工事が必要かどうかも判断できません。
一部は義務、一部は「必要に応じて」です。
建築基準法施行令49条2項は、柱・筋かい・土台のうち地面から1m以内の部分に有効な防腐措置を講ずるよう求めています。しろありの措置については「必要に応じて」という書き方です。
省略できるのは新築時の地盤の措置だけです。
フラット35の基準では、次の11道県で地盤の防蟻措置を省略できます。北海道、青森県、岩手県、秋田県、宮城県、山形県、福島県、新潟県、富山県、石川県、福井県です。既存の住宅の被害とは別の話です。
いないという意味ではありません。
編集部が国の調査5,322棟を県別に開いたところ、富山県の蟻害発生率は36.9%でした。富山県は地盤の防蟻措置を省略できる11道県に入っています。
義務づける法令は見当たりませんでした。
ただし薬剤には有効期間があり、切れたあとの扱いは業者によって説明が違います。国税庁は予防の費用を雑損控除の対象外としており、被害が出た家の駆除とは扱いが分かれています。
その場で決めないでください。
床下を無料で点検すると言って訪問し、契約を迫る手口があります。相談先は局番なしの188です。工事が必要かどうかは、2社以上の見積もりを比べてから判断してください。
「シロアリ駆除は必要ない」という言い分には、根拠のある部分があります。
法律はしろありの措置を「必要に応じて」とし、国の基準は11道県で地盤の防蟻措置を省略できるとしています。
ただしそれは新築時の話で、いま建っている家の被害とは別です。
省略できる富山県でも、国の調査では蟻害の発生率が36.9%でした。
やること
- 自宅の道県が11道県に入っているか確かめる
- 風呂場と便所の床下、土台と柱の下を見る
- たたいて空洞音がしないか確かめる
- 工事を勧められたら、その場で決めず2社以上で比べる

必要かどうかを言葉で決める前に、床下の写真を1枚見せてもらうほうが早いです。見たうえで断るのは、いつでもできます。

