富山のシロアリ駆除は必要?国の調査5,322棟を県別に開いた
「富山は湿気が多いからシロアリの被害が多い」と書かれているのを見たことがあるかもしれません。
確かめられる調査があります。国土交通省の補助事業として、全国5,322棟の床下を調べた報告書です。
そこに都道府県別の数字が載っています。富山の蟻害発生率は36.9%。全国平均は29.0%でした。
ただし、この数字はそのままでは読めません。調査の中身を区分まで開くと、見え方が変わります。
- 富山の蟻害発生率は36.9%。全国平均29.0%より高い
- ただし富山は「駆除を頼んだ家」の割合が32.8%と高く、全体の数字が上がりやすい
- 保証切れで放置した家だけで見ると、富山は10.6%。全国平均12.9%より低い
- 自分でやること:築年数と、前回の施工からの年数を確かめる

県の平均が高くても低くても、自宅に被害があるかどうかは床下を見ないと分かりません。数字は判断の入り口にしかなりません。
同じ調査から、2つの違う数字が出てきます。
富山の蟻害発生率(見方によって変わる)
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| 見方 | 富山 | 全国平均 |
|---|---|---|
| 全体(すべての調査対象) | 36.9% | 29.0% |
| 保証切れで放置した家だけ | 10.6% | 12.9% |
出典:国土交通省補助事業「シロアリ被害実態調査報告書」(日本長期住宅メンテナンス有限責任事業組合、2013年3月31日)。2026年8月23日確認。
かんたんに言うと、全体では平均より高く、条件をそろえると平均より低いという結果です。
どちらか一方だけを見せれば、「富山は危ない」とも「富山は安全」とも書けてしまいます。この記事では両方を出します。
シロアリ駆除そのものの進め方や費用の目安は、シロアリ駆除は自分でできる?費用の相場や信頼できる業者の選び方にまとめています。
県の平均より、自宅の面積と保証年数のほうが金額を動かします。
シロアリ駆除・予防の見積書に並ぶ主な項目
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| 項目 | 中身 | 金額への効き方 |
|---|---|---|
| 坪単価または㎡単価 | 処理する面積あたりの値段 | 単位が坪か㎡かで見え方が変わる |
| 処理する面積 | 1階の床面積が基準になることが多い | 延床ではない。ここで額が動く |
| 工法 | バリア(薬剤)かベイト(設置) | 工法で単価も保証も変わる |
| 保証 | 年数と、無料点検が入るか | 年数が延びると単価が上がる |
| 追加工事 | 床下換気・調湿材など | 別見積もりになることが多い |
編集部が過去に調べた各社の公表単価から整理した(2026年8月24日時点)。
かんたんに言うと、「坪いくら」だけでは総額は出ません。
実際に公表されている単価を並べると幅があります。1,320円/㎡(5年保証)と1,980円/㎡(10年保証)を出している会社があり、坪に直すと4,400円と6,600円です。別の会社は880円/㎡で、坪単価にすると約2,909円になります。
単位をそろえないと比べられません。㎡を坪に直す方法はキャッツのシロアリ駆除の料金と評判|880円/㎡は坪単価で約2,909円にまとめました。
面積の数え方はシロアリ予防費用は40坪でいくら?処理するのは1階部分だけですで扱っています。40坪の家でも、処理は1階部分だけということがあります。
要確認:富山の相場を公表している公的な資料は見当たりませんでした(2026年8月24日確認)。自宅の金額は、床下を見てもらわないと出ません。
数字を比べる前に、そろえる項目を決めておきます。
- 単価が坪あたりか㎡あたりか
- 処理する面積は1階の床面積か、延床か
- 工法はバリアかベイトか
- 保証の年数と、無料点検が入るか
- 見積書が概算か、確定した金額か
単位と面積の2つを先にそろえてください。この2つがずれていると、金額を並べても比べられません。
業者の選び方と保証の見方はシロアリ駆除は自分でできる?費用の相場や信頼できる業者の選び方にまとめています。
まず、もとになっている調査を確かめます。
調査の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 調査対象 | 5,322棟 |
| 調査期間 | 平成24年12月25日〜平成25年 |
| 工法の内訳 | 木造在来工法4,778棟(約90%)/枠組壁工法490棟(約9%)/木造プレハブ50棟(約1%) |
| 築年数の平均 | 19年 |
| 延床面積の平均 | 124.7㎡ |
出典:前掲の報告書。2026年8月23日確認。2012年から2013年にかけての調査で、現在の状況を示すものではありません。
かんたんに言うと、ごく一般的な木造の戸建てを5千棟以上、実際に見て回った調査です。
調べていない地域もあります。北海道は「蟻害があるがその頻度が低い」、沖縄は「木造率が低い」ため対象から外れています。青森・山形・山梨・岡山・高知の5県は、調査員の分布の関係で調査できなかったと書かれています。
調査対象は3つに分けられています
この区分が、あとの読み方を決めます。
データ区分と区分基準
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| 区分 | 区分基準 | 目標の割合 |
|---|---|---|
| A | 防蟻処理保証切れで、再施工せず、一定期間経過(放置)した物件 | 全体の50% |
| B | 防蟻処理保証期間内の物件 | 全体の25% |
| C | 過去6年以内に行った駆除履歴のある物件(追跡調査) | 全体の25% |
出典:前掲の報告書「表2-1 調査対象の区分と区分基準および調査目標標本数」。2026年8月23日確認。
A区分は、保証が切れたあと何もしていない家です。C区分は、すでに駆除を頼んだことがある家になります。
報告書には都道府県別の数字が載っています。
そのまま順位にすると誤解を招くので、調査棟数が50棟以上の県だけで並べ直しました。
蟻害発生率の上位(調査棟数50棟以上の32県/編集部が集計)
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| 順位 | 県 | 蟻害発生率(全体) | 調査棟数 |
|---|---|---|---|
| 1 | 奈良 | 61.9% | 63棟 |
| 2 | 広島 | 40.0% | 55棟 |
| 3 | 大分 | 38.0% | 100棟 |
| 4 | 宮崎 | 37.8% | 119棟 |
| 5 | 富山 | 36.9% | 122棟 |
| 6 | 福岡 | 36.2% | 196棟 |
| 7 | 長崎 | 35.1% | 74棟 |
| 8 | 福井 | 32.3% | 62棟 |
前掲の報告書の数値をもとに編集部が集計しました。2026年8月23日確認。
棟数の少ない県を外した理由があります。徳島は1棟で100.0%、山口は5棟で60.0%、新潟は11棟で45.5%でした。そのまま順位に混ぜると、数字がひとり歩きします。
かんたんに言うと、上位5県のうち西日本でないのは富山だけでした。
報告書自身も「西日本が高い」と書いています
全体のデータでみると、大きくは従来から言われているように、イエシロアリとヤマトシロアリが生息している九州や四国、中国を中心とした西日本の被害発生率が高い傾向にある。しかし、平均気温が低くシロアリの活性が低いと考えられている北東北の岩手でも25%近い被害発生率となっており、従来の常識が覆されつつある。
※出典:前掲の報告書「5.4 地域別蟻害発生率」の考察より。2026年8月23日確認。
大阪17.4%、兵庫16.6%、京都11.9%でした。富山36.9%は、これらより高い数字です。
ここからが、この記事でいちばん大事なところです。
報告書は、区分ごとの調査棟数も県別に出しています。富山はA区分47棟・B区分35棟・C区分40棟の計122棟でした。
C区分について、報告書はこう書いています。
C区分の建物は、以前に防除処理をしているか否かに拘わらず、何らかの被害の申し出があった建物であるから、被害発生率は 9 割を超えている。
※出典:前掲の報告書「4.1 データ区分別劣化発生割合」より。2026年8月23日確認。
かんたんに言うと、C区分はもともと被害が疑われて駆除を頼んだ家なので、当然ながら被害が見つかります。
だからC区分の割合が高い県は、全体の数字が上がりやすくなります。
上位県のC区分の割合(編集部が集計)
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| 県 | C区分の割合 | 全体の蟻害発生率 |
|---|---|---|
| 奈良 | 58.7%(37/63棟) | 61.9% |
| 富山 | 32.8%(40/122棟) | 36.9% |
| 大分 | 10.0%(10/100棟) | 38.0% |
前掲の報告書の数値をもとに編集部が集計しました。調査の目標は25%です(表2-1)。2026年8月23日確認。
ここからは編集部の判断です。富山のC区分は目標の25%より高く、全体の数字が上がりやすい条件でした。奈良にいたっては6割近くがC区分です。
一方で大分はC区分が10.0%しかないのに全体38.0%です。同じ順位でも中身が違います。
条件をそろえて比べるなら、A区分同士を見ます。保証が切れて、やり直さずに置いてある家です。
A区分(保証切れで放置した家)の蟻害発生率
| 県 | A区分の蟻害発生率 |
|---|---|
| 大分 | 40.8% |
| 宮崎 | 27.9% |
| 広島 | 27.8% |
| 福岡 | 17.1% |
| 全国平均 | 12.9% |
| 富山 | 10.6% |
| 石川 | 6.0% |
| 福井 | 4.8% |
出典:前掲の報告書「5.4 地域別蟻害発生率」より。2026年8月23日確認。
かんたんに言うと、富山は全国平均より低いという結果でした。
大分は全体でもA区分でも高く、本当に高い県だと読めます。富山は全体では5位ですが、A区分では平均以下です。
この調査から「富山はシロアリが多い県」とは読み取れません。ただし「少ない」と言い切ることもできません。調査は2012年から2013年のものですし、県の平均が自宅に当てはまるわけでもないからです。
なお「保証が切れた」という状態については、業界の目安と会社の保証が別物である点をシロアリ駆除は5年ごとに費用がかかる?にまとめています。
同じ報告書には、自宅の条件別のデータもあります。こちらのほうが差がはっきりしています。
まず築年数です。
A区分の建物、すなわち保証が切れた物件はその後に再処理をしなければ、指数関数的に被害が増大することが分かる。
B区分の建物、すなわち保証期限内の物件は、築年数 10 年未満の建物であれば被害発生率はほぼ 0%であるが、築年数が 10 年以上になると被害発生率が 4~6%に上昇してくる。
※出典:前掲の報告書「5.2 築年数別蟻害発生率」より。2026年8月23日確認。
かんたんに言うと、保証が切れたまま何もしないと、時間とともに急に増えていくという結果です。
次に浴室の形です。
現場で施工する在来浴室を有する住宅では、ユニット形式の浴室を有する住宅よりも、A区分、B区分ともに高い蟻害発生率となっている。これは現場施工の浴室の場合は、水密性を長年にわたって確保することが困難であることがその理由として考えられる。
※出典:前掲の報告書「5.14 浴室形式別蟻害発生率」より。2026年8月23日確認。
タイル貼りの昔ながらの浴室がある家は、ユニットバスの家より高いという結果でした。
富山で見つかるのはヤマトシロアリが中心とみられます
報告書は種類別の割合も出しています。
蟻害が見つかった建物での、シロアリの種類の割合(全国)
| 種類 | 割合 |
|---|---|
| ヤマトシロアリ | 92.0% |
| イエシロアリ | 7.7% |
| カンザイシロアリ | 0.3% |
出典:前掲の報告書「4.9 白蟻種類別の被害発生割合」より。2026年8月23日確認。
ここからは編集部の判断です。イエシロアリは神奈川県以西の海岸線沿いなどに分布するため、富山で見つかるのはヤマトシロアリが中心とみられます。ただしこの報告書に県別の種類の内訳はありません。
羽アリを見かけたときに種類を絞る方法は、シロアリの羽アリは飛んだ時期で種類が絞れるにまとめています。
県の平均より、次の3つのほうが自宅の状態に近い判断材料になります。
- 築年数。10年を超えているか
- 前回の防蟻処理から何年たったか。保証は切れているか
- 浴室がタイル貼りの在来工法か、ユニットバスか
2つ目がいちばん効きます。報告書は、保証が切れたあと再処理をしない建物で被害が増大するとしています。前回の施工年が分からなければ、放置した年数も数えられません。
3つ目は自宅を見るだけで分かります。床と壁がタイル貼りで、洗い場と浴槽が別々に作られていれば在来工法です。
1つ目と2つ目は別の数字です。築30年でも5年前に施工していれば保証期間内かもしれませんし、築12年でも一度も施工していない家もあります。
見積書の読み方は、害獣駆除業者の選び方で確かめる書面3つにまとめています。

前回の施工年が家の書類から出てこない場合は、床下を見てもらうのが早道です。処理の跡が残っていることがあります。
調査からは一概に言えません。国の補助事業の報告書では、全体の蟻害発生率が36.9%でした。全国平均は29.0%なので、これより高い数字です。
ところが保証切れで放置した家だけで見ると10.6%で、全国平均12.9%を下回ります。全体の数字が高いのは、富山では「駆除を頼んだことがある家」が調査対象の32.8%を占めていたためかもしれません。
この報告書に県別の種類の内訳はありません。全国では蟻害が見つかった建物の92.0%がヤマトシロアリでした。イエシロアリは神奈川県以西の海岸線沿いなどに分布するため、富山ではヤマトシロアリが中心とみられます。
現在生きている富山県のシロアリのページは見つかりませんでした。以前は高岡厚生センターのページがありましたが、2021年3月の県サイトのリニューアル時に移動または削除されています。市町村の窓口に問い合わせることになります。
平成24年12月25日から平成25年にかけての調査です。2012年から2013年にあたります。現在の状況を示すものではないので、その前提で読んでください。
新潟の調査棟数は11棟でした。全体の5,322棟に対してごく少ない数なので、この記事では順位から外しています。同じ理由で徳島(1棟で100.0%)と山口(5棟で60.0%)も外しました。
報告書は、保証が切れたあと再処理をしない建物で被害が増大するとしています。まず築年数と前回の施工年を確かめてください。書類が見つからない場合は、床下を見てもらうと処理の跡が残っていることがあります。
富山のシロアリについて、確かめられたことを整理します。
国土交通省の補助事業で全国5,322棟を調べた報告書では、富山の蟻害発生率は36.9%でした。全国平均は29.0%です。調査棟数50棟以上の32県で並べると5位で、上位5県のうち西日本でないのは富山だけでした。
ただし数字の中身が違います。富山は「駆除を頼んだことがある家」が調査対象の32.8%を占めており、目標の25%より高い割合でした。この区分は被害発生率が9割を超えると報告書自身が書いています。
条件をそろえて、保証切れで放置した家だけで見ると、富山は10.6%でした。全国平均12.9%を下回ります。
つまりこの調査から「富山はシロアリが多い県」とは読み取れません。逆に「少ない」とも言い切れません。
県の平均より、自宅の条件のほうが差が出ます。報告書は、保証が切れたあと再処理をしない建物で被害が増大するとしています。
最後に、やることを3つに絞ります。
- 自宅の築年数を確かめる。10年を超えているか
- 前回の防蟻処理が何年前かを、書類か床下の跡で確かめる
- 浴室がタイル貼りの在来工法かどうかを見る

築年数と前回の施工年が分かれば、その2つを伝えるだけで話が進みます。県の平均を持ち出す必要はありません。

