和歌山市のシロアリ駆除は、自宅の床下と「隣の空き家」で窓口が違う
羽アリが出た、床がきしむ。和歌山市でシロアリの相談先を探すと、業者一覧か料金相場のページばかりが並びます。
ただ、和歌山市にはもうひとつ見ておくべき道があります。市の空家等対策計画は、管理されなくなった空き家が「動物・害虫のすみか」になると明記しています。近隣に放置された家があるなら、そちらには行政のルートが用意されています。
この記事では2026年8月17日に和歌山市と業界団体の公開資料を確認し、自宅側と近隣側で分かれる窓口を整理しました。市内42地区の空き家データも並べ替えています。
- シロアリ駆除そのものに使える和歌山市の補助は確認できなかった。自宅の床下は自己負担
- ただし市は、管理不全の空き家が「動物・害虫のすみか」になると公式計画に書いている
- 隣の空き家は耐震・空家対策課(073-435-1091)へ通報できる。専用フォームもある
- やること:自宅は業者2社で見積もり/隣の空き家は市へ通報。窓口が違うので同時に動かせる

自宅側は全額が自己負担になります。金額を先に見ておくと、空き家の手続きと並行して進められます。
自宅の床下は民間業者、近隣の放置された空き家は市の窓口です。
シロアリの相談というと駆除業者しか浮かびませんが、和歌山市の場合はもう一方の入口があります。空き家対策を担当する部署が、管理されていない建物への通報を受け付けているためです。
和歌山市での相談先の切り分け
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| 困りごと | 相談先 | 費用 |
|---|---|---|
| 自宅の床下・柱の被害 | 民間のシロアリ駆除業者 | 自己負担 |
| 隣家や近隣の放置された空き家 | 市 都市建設局 建築住宅部 耐震・空家対策課 | 通報は無料 |
窓口は都市建設局 建築住宅部 耐震・空家対策課、電話073-435-1091(2026年8月17日確認)。
この2つは同時に動かせます。自宅の見積もりを取りながら、隣の空き家について市へ連絡しておく、という進め方が可能です。
なお市役所や保健所が害虫全般でどこまで対応するかは、害虫駆除はどこに相談するかにまとめています。
自宅の床下は自費です。何にいくらかかるのかを先に見ておきます。
シロアリ駆除・予防の見積書に並ぶ主な項目
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| 項目 | 中身 | 金額への効き方 |
|---|---|---|
| 坪単価または㎡単価 | 処理する面積あたりの値段 | 単位が坪か㎡かで見え方が変わる |
| 処理する面積 | 1階の床面積が基準になることが多い | 延床ではない。ここで額が動く |
| 工法 | バリア(薬剤)かベイト(設置) | 工法で単価も保証も変わる |
| 保証 | 年数と、無料点検が入るか | 年数が延びると単価が上がる |
| 追加工事 | 床下換気・調湿材など | 別見積もりになることが多い |
編集部が過去に調べた各社の公表単価から整理した(2026年8月24日時点)。
かんたんに言うと、「坪いくら」だけでは総額は出ません。
実際に公表されている単価を並べると幅があります。1,320円/㎡(5年保証)と1,980円/㎡(10年保証)を出している会社があり、坪に直すと4,400円と6,600円です。別の会社は880円/㎡で、坪単価にすると約2,909円になります。
単位をそろえないと比べられません。㎡を坪に直す方法はキャッツのシロアリ駆除の料金と評判|880円/㎡は坪単価で約2,909円にまとめました。
面積の数え方はシロアリ予防費用は40坪でいくら?処理するのは1階部分だけですで扱っています。40坪の家でも、処理は1階部分だけということがあります。
要確認:和歌山市の相場を公表している公的な資料は見当たりませんでした(2026年8月24日確認)。自宅の金額は、床下を見てもらわないと出ません。
空き家の通報とは別に、自宅ぶんの見積もりを取ることになります。
- 単価が坪あたりか㎡あたりか
- 処理する面積は1階の床面積か、延床か
- 工法はバリアかベイトか
- 保証の年数と、無料点検が入るか
- 見積書が概算か、確定した金額か
単位と面積の2つを先にそろえてください。この2つがずれていると、金額を並べても比べられません。
業者の選び方と保証の見方はシロアリ駆除は自分でできる?費用の相場や信頼できる業者の選び方にまとめています。
市自身が、管理不全空き家の問題として害虫を挙げています。
和歌山市空家等対策計画(第2期)には、空き家の放置が長期間続いて適切な管理がなされなければ、まず草木の繁茂や動物・害虫のすみかとなり、景観を損なうほか防災・防犯面の脅威など近隣の生活環境を悪化させる、と記載されています(2026年8月17日確認)。
行政の計画書が害虫を問題として名指ししているという事実は、近隣に相談するときの後ろ盾になります。
ただし注意点があります。計画書が挙げているのは「動物・害虫」であって、シロアリと名指ししているわけではありません。空き家がシロアリ被害の原因だと市が認定しているわけではない、という点は分けて理解してください。
同じ計画書には、管理不全空き家に対する相談が本市において毎年300件程度寄せられているとも書かれています。
県と市の空き家率
和歌山県は全国でも空き家率が高い県です。
和歌山県と和歌山市の空き家率
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| 区分 | 空き家率 | 出典となる調査 |
|---|---|---|
| 全国 | 13.6% | 平成30年 住宅・土地統計調査 |
| 和歌山県 | 20.3%(全国2位) | 平成30年 住宅・土地統計調査 |
| 和歌山市 | 19.0% | 平成30年 住宅・土地統計調査 |
| 全国(最新) | 13.8% | 令和5年 住宅・土地統計調査 |
| 和歌山県(最新) | 21.2%(徳島県と並び全国最高) | 令和5年 住宅・土地統計調査 |
和歌山市の数値は同市空家等対策計画(第2期)の記載による。平成25年の15.8%から3.2ポイント上昇しています。
※令和5年調査の市区町村別の数値は本記事では確認していません。
市の空き家は35,230戸で、このうち賃貸用が18,880戸(約54%)、賃貸にも売却にも別荘にも使われていない「その他の住宅」が14,210戸(約40%)を占めます。
計画書は、この「その他の住宅」が最も問題になると位置づけています。放置されやすいのは、貸すあても売るあてもない家ということです。
同じ和歌山市でも、地区によって状況はまったく違います。
市は空き家実態調査の結果として、42地区それぞれの空き家率と「適切に管理されていない空き家率」を計画書に掲載しています。これを管理されていない空き家率の高い順に並べ替えました。
和歌山市 地区別の空き家データ 上位11地区【独自整理】
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| 地区 | 空き家率 | 管理されていない空き家率 |
|---|---|---|
| 加太 | 7.1% | 3.3% |
| 田野 | 12.0% | 3.0% |
| 雑賀崎 | 9.5% | 2.4% |
| 本町 | 5.9% | 2.1% |
| 野崎 | 3.8% | 2.0% |
| 松江 | 3.1% | 2.0% |
| 広瀬 | 4.1% | 1.6% |
| 高松 | 5.1% | 1.6% |
| 大新 | 3.9% | 1.3% |
| 宮 | 2.9% | 1.3% |
| 宮前 | 4.7% | 1.3% |
和歌山市空家等対策計画(第2期)掲載の地区別一覧を、管理されていない空き家率の降順に並べ替えたもの(2026年8月17日確認)。
低い側も見ておきます。
和歌山市 地区別の空き家データ 下位5地区【独自整理】
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| 地区 | 空き家率 | 管理されていない空き家率 |
|---|---|---|
| 紀伊 | 2.1% | 0.3% |
| 吹上 | 3.1% | 0.4% |
| 木本 | 2.1% | 0.5% |
| 西和佐 | 1.4% | 0.5% |
| 和佐 | 0.9% | 0.6% |
市全体では、総建物184,633件のうち空き家5,510件(3.0%)、適切に管理されていない空き家1,957件(1.1%)でした。
最も高い加太の3.3%と、最も低い紀伊の0.3%では11倍の開きがあります。市内のどこに住んでいるかで、近隣に放置家屋がある確率はかなり違うということです。
計画書は、空き家率と管理されていない空き家率がともに高く、崖地に形成された防災上も問題のある漁業集落として、雑賀崎・田野地区を重点地区に設定しています。

「和歌山市は空き家が多い」で止めると動けません。自分の地区がどちら側かを見てから考えてください。
数字を読むときの注意を2つ添えます。
- この実態調査は平成27年度から平成29年度にかけて実施されたもので、直近の状況とは異なる可能性がある
- ここでの空き家率3.0%は、住宅・土地統計調査の19.0%とは調査対象・方法・数え方が違う。市も計画書で両者を直接比較しないよう説明している
そのうえで編集部の見方を書くと、この表は近隣を気にすべきかの目安として使えます。上位地区に住んでいるなら、自宅の床下を見るときに周囲の状況も一度確認しておく価値があります。
耐震・空家対策課へ、電話か専用フォームで連絡できます。
和歌山市は令和7年4月1日から、管理されていない空き家の通報フォームの運用を開始しました(2026年8月17日確認)。
通報の対象になるのは、継続して1年以上使用されていない空き家のうち、次のような状態のものと説明されています。
- 窓ガラスが割れている
- 屋根や壁が傷んでいる
- 庭木が繁茂して隣地や前面道路へ大きく越境している
市の説明では、通報があった空き家について職員が現地調査を行い、問題を確認した場合は所有者に対し写真付きの文書を送付して対応を依頼します。
通報するときの手順
まず連絡先を押さえます。電話は耐震・空家対策課(073-435-1091)、フォームは市のページからアクセスできます。
- 対象の空き家の場所と、傷んでいる箇所を確認しておく
- 電話またはフォームで通報する(フォームなら送信完了メールが届く)
- 進捗はメールに記載されたURLとパスワードで照会する
立ち会いが必要な場合、つまり通報者の敷地内に入らないと状況が確認できないようなケースでは、フォームではなく直接電話するよう案内されています。
できることと、できないこと
期待しすぎないよう、市が示している限界も見ておきます。
和歌山市への空き家通報でできること・できないこと
| できること | できないこと |
|---|---|
| 職員による現地調査 | 市の職員が草を刈るなどの直接対応 |
| 所有者への写真付き文書の送付 | 即日の解決 |
| 進捗の照会 | 所有者の即時特定 |
市は、所有者を特定するための登記情報・課税情報・戸籍等の調査に数週間から数カ月かかることがあると説明しています。また空き家は個人所有の財産であるため、通報内容について市職員が対応(草を刈る等)することはできないとしています。
つまり通報は、すぐ効く手段ではなく、記録を残して所有者を動かすための手段です。自宅の駆除を待つ理由にはなりません。
市の評点表は、梁や垂木の腐朽に具体的な点数を付けています。
和歌山市には不良空家の除却に係る補助金があり、補助を受けるには事前に市の「不良空家」認定が必要です。認定基準は評点100点以上で、市はその参考例を公開しています(令和8年度の案内、2026年8月17日確認)。
和歌山市が示す不良空家の評点 参考例
| 状態 | 評点 |
|---|---|
| 梁が腐朽し大規模の修理を要する | 50点 |
| 外壁の腐朽により壁体を貫通する穴 | 25点 |
| 軒の垂木が腐朽したもの | 25点 |
| 基礎が玉石 | 10点 |
認定は合計100点以上が目安。市は「家屋が傾いていたり、屋根が大きく崩れているなど、補修が困難であり、近隣に影響を及ぼすおそれがあるもの」と説明しています。
ここからは編集部の分析です。市はこの評点表でシロアリに言及していません。ただ、行政が空き家の危険度を測るときに腐朽を主要な指標にしているという事実は押さえておく価値があります。
シロアリの食害と木材の腐朽は別の現象ですが、どちらも湿気と管理不全という同じ条件で進みます。放置された木造家屋が両方を抱えている可能性は、読者が近隣を見るときの視点になります。
除却補助と、固定資産税の話
所有者側の事情も知っておくと、話が通りやすくなります。
補助の内容は、除却費用の3分の2で上限50万円、令和8年度の予定戸数は77戸です。おおむね1年以上使用されていないこと、対象建築物の敷地境界からの最短距離が5メートル以下であること、市税を完納していること、市内に本店を置く事業者が請け負う工事であることなどが条件とされています。
もうひとつ、市は令和7年3月に特定空家等・管理不全空家等の判断基準を策定しました。特定空家等の要件には「著しく衛生上有害となるおそれのある状態」が含まれます。
勧告を受けると、その土地は翌年度から固定資産税・都市計画税の住宅用地特例(200㎡以下で6分の1)の適用が外れます。

「解体すると税金が上がるから置いている」は、勧告が出た時点で成り立たなくなります。
シロアリ駆除そのものに使える和歌山市の補助は、今回の調査では確認できませんでした。
空き家対策には除却補助がある一方、居住中の住宅のシロアリ駆除を対象にした制度は見つかっていません。制度は年度で変わるため、必要なら市へ直接確認してください。
業者側の情報も見ておきます。公益社団法人日本しろあり対策協会の和歌山県会員は14社で、このうち和歌山市内に所在するのは6社でした(2026年8月17日確認)。
もうひとつ、和歌山市の読者に関係する偏りがあります。被害の有無を駆除業者とは別に判定してもらう蟻害・腐朽検査制度に対応できる会員は県内5社ですが、そのうち和歌山市内にあるのは1社だけです。残る4社は上富田町、由良町、有田川町、那智勝浦町と、いずれも県中部から南部にあります。

「本当に被害があるのか」を別の目で見てもらいたいとき、和歌山市内で選べる先はほとんどありません。
判定そのものに疑いがあるなら、この制度に頼るより駆除業者を2社呼んで見立てが一致するかを比べるほうが、和歌山市では現実的です。
見積もりを取るときの確認項目を整理します。
和歌山市で見積もりを取るときの確認項目
| 確認項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 処理範囲 | 土壌処理と木部処理の両方が入っているか |
| 保証 | 期間、対象範囲、再発時に何をしてくれるか |
| 面積 | どの階の床面積で計算しているか |
| 追加費用 | 出張費や駐車場代が別途かかるか |
保証年数は工法や虫の種類で変わることがあります。読み方は保証年数が工法で変わる仕組みで詳しく扱っています。
全国的な費用相場や、自分でできる範囲についてはシロアリ駆除の費用相場と業者の選び方を参照してください。訪問してきた業者への対応は訪ねてきた業者から選ばないための手順にまとめています。
全額が自己負担になる以上、提示された金額が妥当かどうかは1社だけでは判断できません。地元の業者に加えてもう1社の見積もりを並べると、差の理由が見えてきます。

地元の会社1社から見積もりをもらったものの、その金額が高いのか安いのか分からない。並べる相手として使ってください。
今回の調査では確認できませんでした。
和歌山市の補助制度として確認できたのは、空き家の除却に係る補助金など空き家対策に関するものです。居住中の住宅のシロアリ駆除を対象にした制度は見つかりませんでした。制度は年度で変わるため、市へ直接ご確認ください。
駆除はしてもらえません。
市が行うのは現地調査と、所有者への文書送付までです。空き家は個人所有の財産であるため、市の職員が草を刈るなどの直接対応をすることはできないと説明されています。自宅側の駆除は別に手配してください。
市の案内には通報者名の扱いについての記載を確認できませんでした。
気になる場合は、通報の前に耐震・空家対策課(073-435-1091)へ直接確認するのが確実です。なお立ち会いが必要になるケースでは、電話での連絡が案内されています。
そう言い切れる根拠は確認できていません。
市の計画書が記載しているのは、管理不全の空き家が動物・害虫のすみかになるという点までで、シロアリと名指ししたものではありません。地区別データは近隣を確認するかどうかの目安として使うのが妥当です。
市が調査します。
市は登記情報、課税情報、戸籍等の調査を行うとしていますが、数週間から数カ月かかることがあると案内されています。相続人が多数いる、所有者が遠方にいるといった事情で時間がかかるケースもあると計画書に記載されています。
和歌山市のシロアリ対策は、自宅の床下と近隣の空き家で窓口が分かれます。
自宅側は全額自己負担になるため、処理範囲と保証を確認したうえで2社以上の見積もりを比べてください。近隣側は、耐震・空家対策課への通報という無料の手段があります。
通報は時間がかかる手段なので、自宅の駆除を待つ理由にはなりません。両方を並行して進めるのが、この市での現実的な進め方です。

地元の1社だけでは、提示された金額が高いか安いか判断できません。

