ハエトリグモは殺さない方がいい?博物館の見解と「ダニを食べる」説の根拠
家の中で、ピョンと跳ねる小さなクモを見て、駆除したほうがいいのか迷っている人は多いはずです。
毒はないのか、噛まれないのか、放っておいて増えないのか。気になることはいくつもあります。
そこで、博物館と大学の資料、国の研究機関の毒グモの資料を読みました。
分かったのは、ハエトリグモは駆除しなくてよく、注意が要るのは屋外に巣を作るゴケグモのほうだということです。
- 相模原市立博物館は、ハエトリグモの仲間を「人間にとって良い面しか持っていないと言えるクモ」と書いている
- 日本のクモは約1,000種で、国立健康危機管理研究機構は「多くは人に何ら危害を与えるものではなく」と書いている
- 注意が要るのはセアカゴケグモ。咬まれたのは庭のサンダルや側溝の掃除、植木鉢を運んだ場面だった
- やること:家の中で跳ねるクモは叩かずに隅へ → 屋外の巣にいる赤い模様のクモは素手で触らない
ハエトリグモは、ハエや蚊を食べる「ありがたい存在」だと、市立博物館の学芸員が書いています。
相模原市立博物館の職員ブログは、家の中によくいるアダンソンハエトリについて、次のように書いています。
ハエや蚊などの昆虫を主食とする、人間にはとてもありがたい存在なのです。
そのうえで、ゴキブリを食べるアシダカグモと並べて「人間にとって良い面しか持っていないと言えるクモ」としています。
見つけたときの扱い方も書かれています。「どうか叩いたりせず」「そっと隅へ追いやってあげてください」とあります。
かんたんに言うと、ハエトリグモは駆除する相手ではなく、そっとしておく相手です。
東京都の保健医療局も、クモを衛生害虫とは分けて「不快動物」に入れています。病気を運ぶ虫の扱いではありません。
人家の屋内にいるハエトリグモは、主に3種類だと広島大学の資料は書いています。
広島大学デジタルミュージアムの見分け方を、表にまとめます。
広島大学デジタルミュージアムで見る、屋内のハエトリグモ3種の見分け方
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| 種類 | オスの特徴 | メスの特徴 |
|---|---|---|
| アダンソンハエトリ | 全体的に黒く、触肢に白い毛。頭胸部と腹部に白い三日月状の斑紋 | くすんだ褐色で、腹部に一対のねじれた斑紋 |
| ミスジハエトリ | 眼の上に赤い帯。腹部に黒い筋が2本 | くすんだ褐色で、腹部に一対の真っ直ぐな縦筋 |
| チャスジハエトリ | 眼の周囲に縦縞。頭胸部と腹部に黒い筋 | くすんだ褐色で、ほかの2種より斑紋が複雑 |
広島大学デジタルミュージアム「屋内性のハエトリグモ3種の見分け方」を2026年9月13日に確認しました。
動き方にも特徴があります。相模原市立博物館は、その動きを「ピョンピョンと跳ね飛ぶイメージ」と書いています。英語で「ジャンプするクモ」と呼ばれるのもそのためです。
かんたんに言うと、家の中の壁や床を跳ねるように動く小さなクモなら、ハエトリグモの仲間の可能性があります。
気をつけるべきは、屋外に巣を作るセアカゴケグモです。
国立健康危機管理研究機構は、日本のクモ約1,000種の「多くは人に何ら危害を与えるものではなく」と書いています。そのうえで、注意が要るクモとしてセアカゴケグモを詳しく説明しています。
国立健康危機管理研究機構の資料で見る、セアカゴケグモの特徴
| 項目 | 資料に書かれていること |
|---|---|
| 大きさ | メスは約1cm、オスは約0.4cm |
| 模様 | 腹部の背中側に赤黄色の縦すじ。腹側に砂時計のような赤い紋 |
| 巣がある場所 | 放置自転車、自動車のタイヤのまわりなど |
| 咬まれた場面 | 庭に置いたサンダル・スリッパ・長靴を履いた、側溝を掃除した、植木鉢やプランタを運んだ |
| 性格 | 臆病で、人を積極的に攻撃することはない |
国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト「セアカゴケグモ咬症」を2026年9月13日に確認しました。
同じ資料は、ススキなどの葉に巣を作るカバキコマチグモが、クモに咬まれる事故の原因として有名だとも書いています。
セアカゴケグモは特定外来生物です。環境省の許可なく、生きたまま移動させることが禁止されています。見つけても素手で触らないでください。
ゴケグモ属の扱いは、クモ駆除の料金は単独で公表されていませんでも扱っています。
ハエトリグモが家にいるのは、エサになる虫がいるからと考えられます。
相模原市立博物館は、アダンソンハエトリを「ハエや蚊などの昆虫を主食とする」と書いています。
ここからは編集部の判断です。家の中でハエトリグモを何度も見るなら、ハエや蚊などの小さな虫が家の中にいないかも見ておくのが筋です。
一方で、「ダニを食べる」「ゴキブリを食べる」と書いた公的な資料は、今回確認した中にはありませんでした。検索で上位の記事の書き方は、次の章で数えています。
ゴキブリを食べるクモとして博物館が挙げているのは、アシダカグモのほうです。アシダカグモについてはアシダカグモは益虫で無毒ですで扱っています。
かんたんに言うと、ハエトリグモをダニやゴキブリの対策として当てにはできません。
検索すると「ハエトリグモはダニを食べる」という記事が多く出てきます。2026年9月30日に、Yahoo!検索で「ハエトリグモ 殺さない方がいい」「ハエトリグモ 駆除」「ハエトリグモ ダニ」の上位11ページを読み、食べ物の書き方を数えました。
上位11ページの、ハエトリグモの食べ物の書き方(2026年9月30日・Yahoo!検索)
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| 書き方 | ページ数 | 主なページ |
|---|---|---|
| ダニを食べる | 4 | ダニストップ、KENSOマガジン、生活110番、むしゼロ暮らしラボ |
| ゴキブリの幼虫・子どもを食べる | 5 | ダニストップ、KENSOマガジン(2ページ)、コクエイ、生活110番 |
| 食べ物について出典(研究・資料)を示していた | 0 | ― |
※本文が短いページと質問掲示板は除きました。1ページに複数の書き方がある場合は、それぞれで数えています。数えたのは編集部です。
かんたんに言うと、「ダニを食べる」と書いたページは4つありましたが、根拠を示したページは1つもありませんでした。
では、実際に何を食べているのか。確かめられた資料は2つです。1つは、大分県立大分舞鶴高校の科学部がアダンソンハエトリの捕食行動を調べた研究で、日本学生科学賞に選ばれています。結果はこう書かれています。
クモが餌と認識するのは、黒っぽいハエくらいの大きさの物体で、クモの眼の前を横切る動きをするものでした。
もう1つは、害虫駆除会社シー・アイ・シーの研究開発部のブログです。2013年9月14日の記事に、アダンソンハエトリがタバコシバンムシをくわえている写真が載っています。同じページのコメント欄の返信には「クロゴキの初令も食べる」と書かれています。
一方で、家のほこりにいるチリダニは約0.4mmです(北九州市)。
ここからは編集部の判断です。ハエトリグモが反応するのは「ハエくらいの大きさで動くもの」で、0.4mmのダニとは大きさがかけ離れています。ダニ対策としてハエトリグモを残す、という考え方は根拠が弱いです。小さなゴキブリの幼虫は食べるという観察がありますが、1つの記録で、家のゴキブリを減らすほどかは分かりません。ダニとゴキブリは、それぞれの対策を別にしてください。
博物館が勧めているのは、叩かずに、そっと隅へ追いやる方法です。
見つけたときにやることを並べます。
- 叩かない
- そっと部屋の隅へ追いやる
- 家の中で跳ねる小さなクモか、屋外の巣にいるクモかを見る
- 屋外の巣にいる赤い模様のクモには、素手で触らない
それでもクモが苦手で、薬剤を使いたい人もいるはずです。
殺虫剤は、衛生害虫用と「いやな虫用」で適用害虫が分かれています。当サイトがレック株式会社の製品ページを2026年8月26日に確認したところ、くん煙剤(いやな虫用)のバルサンDX煙は、28種の適用害虫にクモが入っていました。
使う前に、製品の適用害虫の欄に「クモ」があるかを確かめてください。
ハエトリグモだけなら、業者を呼ぶ理由は資料にありません。
相談する目安を、資料の書き方から並べます。
- 家の中や庭に、何のクモか分からないクモが増えている
- 自転車やタイヤのまわりなど屋外に、赤い模様のあるクモの巣がある
- ハエや蚊など、エサになる虫が家の中で増えている
ゴケグモは特定外来生物で、生きたまま移動させることができません。ハエトリグモより先に対処が要るのは、こちらです。

跳ねるクモより、そのエサになっている虫のほうが気になってきた人は、家の中で何が増えているのかを見てもらうと、対策の順番が決まります。
駆除しなくていい、と博物館は書いています。相模原市立博物館は、アダンソンハエトリを「人間にとって良い面しか持っていないと言えるクモ」とし、「叩いたりせず」「そっと隅へ追いやって」ほしいと書いています。
相模原市立博物館は、ハエや蚊を主食とする「人間にはとてもありがたい存在」と書いています。国立健康危機管理研究機構も、日本のクモの「多くは人に何ら危害を与えるものではなく」と書いています。注意が要るクモとして同機構が挙げているのは、セアカゴケグモとカバキコマチグモです。
確認した博物館と大学の資料には、ハエトリグモが人を咬むという記述はありませんでした。咬まれる事故の原因として資料が挙げているのは、カバキコマチグモとセアカゴケグモです。種類が分からないクモは、素手で触らないでください。
相模原市立博物館は、ハエトリグモを「ハエや蚊などの昆虫を主食とする」と書いています。家の中で何度も見るなら、エサになる小さな虫がいないかを見てください。
ダニを食べるという根拠は見つかりませんでした。高校の科学部の研究では、アダンソンハエトリが餌と認識するのは「黒っぽいハエくらいの大きさの物体」で、約0.4mmのチリダニ(北九州市)とは大きさが違います。ゴキブリは、害虫駆除会社の研究部門のブログに「クロゴキの初令も食べる」という記述がありますが、ゴキブリを減らすほどかは分かりません。ゴキブリを食べるクモとして博物館が挙げているのは、アシダカグモです。
相模原市立博物館は、ハエトリグモの仲間を「人間にとって良い面しか持っていないと言えるクモ」と書き、叩かずに隅へ追いやってほしいとしています。
屋内にいるのは主にアダンソンハエトリ・ミスジハエトリ・チャスジハエトリの3種類です。
注意が要るのは、屋外に巣を作るセアカゴケグモです。メスは約1cmで、腹部に赤い模様があります。咬まれたのは、庭のサンダルを履いたときや側溝の掃除、植木鉢を運んだときでした。
最後に、やることを3つに絞ります。
- 家の中で跳ねる小さなクモは、叩かずに隅へ追いやる
- 屋外の巣にいる赤い模様のクモは、素手で触らない
- ハエトリグモを何度も見るなら、エサになる小さな虫がいないかを見る

ハエトリグモを見かけるたびに、ハエや蚊が家のどこから出ているのか気になる人は、先にそちらを見てもらうと、何から手をつけるかが決まります。

