ネズミの嫌いな匂いは組み合わせると強くなる|実験で最強だった2つ
ハッカ、樟脳、唐辛子。
ネズミの嫌いな匂いを調べると、いくつも出てきます。
では、どれが一番効くのか。
その問いに、2021年の論文が別の角度から答えています。
単独ではなく、組み合わせたほうが強い。
そして、置く場所も匂いだけでは決まりません。匂いで防ぐものと、味で防ぐものが違うからです。
この記事では、実験の結果と、自治体が書いている限界を整理します。
- 実験では単独より組み合わせが有意に強い。最強は薄荷脳+樟脳白油
- 匂い(嗅覚忌避)は侵入を防ぐ用途。かじられるのを防ぐのは味(味覚忌避)
- 川口市は「ネズミがにおいに慣れることがある」と書いている
- 匂いは追い出しではなく、寄せつけないための手段

匂いを置いてみたけれど、はじめだけで戻ってきた。そういう出方をしているなら、すでに住み着いている段階です。
学術的に検証された結果があります。
2021年の原著論文が、市販の忌避剤の成分を動物行動学の手法で検証しています。
忌避剤としては,薄荷脳,樟脳,樟脳白油それぞれ単独およびその組み合わせのものを(略)その結果、忌避剤を置かない Dark 区域での滞在時間を対照とした時に、薄荷脳、樟脳、樟脳白油それぞれ単独およびその組み合わせでは、有意な忌避効果を示した
そして、順位についても書かれています。
忌避剤の組み合わせは、単独の使用に比べて有意に強い効果を示し、特に、薄荷脳と樟脳白油の組み合わせが最も強い効果を示した
※出典:竹森久美子ほか「動物行動学に基づくネズミ忌避剤の効果検証」環動昆 第32巻第2号 53-59ページ(2021年)。以下、この論文からの引用は出典名を省きます。
1つ選ぶより、2つ合わせるほうが強いという結果です。
実験は「暗いところに居続けられるか」で測っています
測り方が、この論文の要点です。
ネズミは本来、暗くて狭い場所を好みます。そこを利用しています。
暗い区域と明るい区域を管状の通路でつないだ箱を用意し、忌避剤を置いた暗い区域と、忌避剤を置かない明るい区域のどちらに長く留まるかを比べました。
好きなはずの暗い場所から出てくれば、それだけ嫌がっているということです。
かんたんに言うと、「好みを上回るほど嫌か」を測っています。
置く場所を決めるうえで、いちばん実用的な区別です。
同じ論文が、忌避の種類を2つに分けています。
忌避効果は嗅覚に反応する嗅覚忌避と味覚に反応する味覚忌避の二つに分類され、例えば、嗅覚忌避は侵入を防ぐ際に主に用いられ、味覚忌避は電気コードやガス管などを齧られることを防ぐ際に用いられる
忌避の2種類と、使いどころ
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| 種類 | 反応 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 嗅覚忌避 | 匂い | 入ってこさせない(侵入経路・隙間まわり) |
| 味覚忌避 | 味 | かじらせない(電気コード、ガス管) |
出典:前掲の論文。用途の欄も同論文の記載によります。
「嫌いな匂い」を電気コードに塗っても、かじりは止まりません。
配線をかじられて困っているなら、探すのは匂いではなく味のほうです。日本ではこれまでシクロヘキシミド、カプサイシン、メントールなどが忌避剤として使われてきたとされています。
かじられる被害は、火災につながることがあります
用途を分ける理由も書かれています。
論文は被害を3つに分類し、都市機能の阻害として次を挙げています。
電気ケーブルを齧ることによる切断や短絡(ショート)が停電や電気設備のトラブルを起こすこと、ガス管を齧ることによる火災や爆発が起こることです。
匂いだけを置いて安心する場面ではありません。
ネズミがどこから入るかはネズミ駆除の方法を完全解説にまとめました。
期待値の話です。
実験で効果が出ることと、家で効き続けることは別です。
川口市は、忌避剤を「ハッカやハーブなどのにおいや電磁波・超音波でネズミを寄せ付けないもの」としたうえで、2つの注意を添えています。
設置場所の大きさや空気の流れなどの影響で効果が弱まることがある。
ネズミがにおいに慣れることがある。
※出典:川口市「ネズミの被害」(2026年8月28日確認)。同市は「保健所ではネズミの駆除は行っていません」とも書いています。
慣れます。
ここからは編集部の見方です。
論文が「組み合わせのほうが強い」と示していることと、この注意は噛み合います。同じ匂いを置き続けるより、組み合わせるか、時々変えるほうが理屈に合います。
やってはいけないこと3つ
避けることを挙げておきます。
- 匂いだけで追い出そうとする。すでに住み着いているなら、匂いは追い出しの手ではない
- 1種類を置きっぱなしにする。慣れることがあると自治体が書いている
- 電気コードに匂いを置く。かじり防止は味覚忌避の役目
1つめが、いちばん時間を使います。
音についても同じ限界があります。超音波の効き方はネズミ駆除に超音波は効くのかにまとめました。
そもそも、なぜ忌避剤が使われるようになったのかも書かれています。
論文は、殺鼠剤の問題点を3つ挙げています。
- 有害な成分を含むものが放置されることから、人々の健康や環境に及ぼす影響が大きい
- ネズミの死骸が残り衛生的でない
- 死骸が人々の目に触れてしまうので不快感を与えてしまう
そのうえで、こう書かれています。
そこで、ネズミを殺すことなく自ら逃げるようにすることで、ネズミの死骸が残らず、かつ、人にも無害であることから忌避剤が使用される傾向になりつつある
死骸を出さないための選択肢です。
天井裏で死なれたときの処理はねずみの死骸はどうする?にまとめました。死骸のあとにはイエダニが出ます。論文も、ネズミに寄生したり巣などで発生するイエダニによる被害の報告も多いとしています。
相談件数は2001年に倍増しています
背景の数字もあります。
論文は東京都の資料を引いて、こう書いています。ネズミ被害の相談件数は1998年までは10,000件/年程度でしたが、2001年には2倍の約20,000件/年と急増し、その後は16,000件/年程度で推移しています。
理由として、冬でも暖かいビルや地下街のある都市圏が快適であること、豊富な餌が常に存在することが挙げられています。
都市のほうが条件が揃っています。
何を選べばいいかの材料です。
論文は、忌避効果が確認されている植物成分を挙げています。
忌避効果が確認されている主な植物と成分(前掲の論文が引用する各研究より)
| 植物 | 主成分 |
|---|---|
| ペパーミント油 | メントール、メントン、1,8-シネオール |
| とうがらし | カプサイシン |
| ウィンターグリーン油 | サリチル酸メチル |
| ベルガモット油 | リモネン、リナロール |
| ゲラニウム油 | シトロネロール、ゲラニオール |
このほかユーカリオイル、シトロネラオイルにも同様の効果が報告されているとされています。
日本でこれまで使われてきたのは、シクロヘキシミド、カプサイシン、メントール、およびメントールとサリチル酸メチルの混合物です。
そして、実験で最も強かったのは薄荷脳と樟脳白油の組み合わせでした。
ここからは編集部の見方です。
成分名で選ぶと、市販品の裏面で確かめられます。「ハッカ配合」だけでなく、何と組み合わせてあるかを見ると、論文の結果に近い選び方になります。
次にとる行動
- 侵入を防ぎたい場所には、匂い(嗅覚忌避)を置く
- 1種類で終えず、成分の違うものを組み合わせる
- かじられて困る場所には、味のほう(カプサイシンなど)を使う

匂いも音も試したが、天井裏の音が止まらない。そこまで来たら、入口を塞ぐ話に切り替える段階です。
線を引いておきます。
匂いは、まだ入られていない段階の手です。
論文が書いているとおり、嗅覚忌避は侵入を防ぐ際に主に用いられるものです。すでに天井裏で音がしているなら、防ぐ段階を過ぎています。
判断が要るのは、次のときです。
- 天井裏で足音がする(すでに住み着いている)
- 匂いを置いた直後は減ったが、数日で戻った(慣れた可能性)
- 電気コードやガス管にかじった跡がある
- フンが米粒から1センチ程度の大きさで見つかる
フンの大きさで相手を絞る手順はゴキブリのふんは砂粒のような黒い点にまとめました。米粒から1センチ程度ならネズミです。
費用の内訳はネズミ駆除の料金相場は2万〜20万円にあります。
組み合わせです。2021年の論文は、薄荷脳、樟脳、樟脳白油それぞれ単独でも有意な忌避効果を示したうえで、組み合わせは単独の使用に比べて有意に強い効果を示し、特に薄荷脳と樟脳白油の組み合わせが最も強かったとしています。
実験では効果が出ています。薄荷脳は単独でも有意な忌避効果を示しました。ただし川口市は、設置場所の大きさや空気の流れで効果が弱まることや、ネズミがにおいに慣れることがあると書いています。
追い出しの手ではありません。論文は嗅覚忌避が侵入を防ぐ際に主に用いられるとしています。すでに住み着いている場合は、侵入口を塞ぐ話になります。
種類が違います。論文は「味覚忌避は電気コードやガス管などを齧られることを防ぐ際に用いられる」としています。かじり防止にはカプサイシンなど味に反応するものが使われます。
効果が確認されている植物として、ペパーミント油、ベルガモット油、ゲラニウム油、ウィンターグリーン油、とうがらしなどが論文に挙げられています。ただし家庭での持続については、慣れることがあるという川口市の注意があります。
論文は殺鼠剤について、有害な成分を含むものが放置されること、ネズミの死骸が残り衛生的でないこと、死骸が人の目に触れて不快感を与えることを挙げ、殺さずに逃げるようにする忌避剤が使われる傾向にあるとしています。
慣れた可能性と、すでに住み着いている可能性があります。川口市はネズミがにおいに慣れることがあるとしています。天井裏で足音がする段階なら、匂いではなく侵入口を塞ぐ手に切り替えます。
ネズミの嫌いな匂いは、組み合わせたほうが強いという結果でした。
2021年の論文は、薄荷脳・樟脳・樟脳白油が単独でも有意な効果を示したうえで、組み合わせは単独より有意に強く、薄荷脳と樟脳白油が最も強かったとしています。
そして、置く場所は用途で変わります。匂い(嗅覚忌避)は侵入を防ぐため、味(味覚忌避)は電気コードやガス管をかじられないためです。
川口市は「ネズミがにおいに慣れることがある」とも書いています。1種類を置きっぱなしにしない、という使い方になります。
やること
- 侵入を防ぎたい場所に、成分の違う匂いを組み合わせて置く
- かじられて困る場所には、カプサイシンなど味のほうを使う
- 天井裏で足音がするなら、匂いをやめて侵入口を塞ぐ段階に移る

匂いを置いても戻ってくる、という繰り返しになっているなら、入口が残っています。侵入口がどこにあるかが分かると、手の打ちようが決まります。

