マダニの駆除は「つけない」と「自分で取らない」|忌避剤5種を比べました
「マダニ駆除」で薬を探しても、殺す薬は出てきません。
出てくるのは忌避剤、つまりつけないための薬です。
国立感染症研究所の資料には、市販されている忌避剤が表で載っていました。成分と濃度で、効き目が続く時間が最大6倍違います。
そしてもう1つ。咬まれたあとは、自分で取ってはいけないと書かれています。
- 市販されているのは殺す薬ではなく忌避剤。ディートとイカリジンの2成分
- 効力持続時間は1〜2時間から6〜8時間まで開く。成分と濃度で選ぶ
- ただし「付着を完全に防ぐわけではありません」と明記されている
- 咬まれたら自分で引き抜かない。口器が皮膚に残って化膿することがある

庭仕事のあとに毎回付いている。虫よけを買い替えても変わらない。そこまで来ているなら、庭に何が来ているかを見てもらうほうが早いです。
家のダニとは、対策の形がまったく違います。
家のダニは室内で退治する相手ですが、マダニは野外で身につけないようにする相手です。
そもそも姿が違います。京都市の保健所の記録にこうあります。
マダニは、アレルギーの原因になるダニとは姿、大きさが全く異なります。目で十分に見えますし、動物の血を吸うとアズキくらいの大きさにもなり、知らない間にほくろができたと勘違いすることもあるくらいです。
※出典:京都市「衛生動物だより」No.047。2026年8月29日確認。以下、京都市の引用はすべて同じ号です。
家のダニ(ツメダニ・コナダニなど)の話はダニ駆除の決定版にまとめてあります。この記事は別の生き物を扱います。
国立感染症研究所の昆虫医科学部が、資料に表を載せています。
マダニに対する忌避剤(虫よけ剤)が、2013年から新たに認可されました。現在は、ディート、イカリジンの2種類の有効成分の忌避剤が市販されています。
※出典:国立感染症研究所 昆虫医科学部「マダニ対策、今できること」(厚生労働省サイト掲載・2017年5月12日更新)。2026年8月29日確認。以下、この資料からの引用です。
国内で入手できる忌避剤の種類と特徴
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| 有効成分 | 含有率 | 分類 | 効力持続時間 | 注意事項 |
|---|---|---|---|---|
| ディート | 5〜10% | 防除用医薬部外品 | 1〜2時間 | ― |
| ディート | 12% | 防除用医薬品 | 約3時間 | 6ヶ月未満児には使用禁止 |
| ディート | 高濃度製剤30% | 防除用医薬品 | 約6時間 | 12歳未満は使用禁止 |
| イカリジン | 5% | 防除用医薬部外品 | 〜6時間 | ― |
| イカリジン | 高濃度製剤15% | 防除用医薬品 | 6〜8時間 | ― |
出典:同資料の表をそのまま整理したものです。2026年8月29日確認。
いちばん短いもので1〜2時間、長いもので6〜8時間。同じ「マダニ用の虫よけ」でも、半日の作業を1本でまかなえるかどうかが変わります。
ディートには使い勝手の注意も書かれています。「独特の匂い」「べたつき感」、そしてプラスチック・化学繊維・皮革を腐食することもあるとされています。
かんたんに言うと、濃度が高いほど長く効くが、年齢の制限が付くということです。医薬部外品と医薬品の違いは忌避剤とは?何から守るかで法律が変わりますにまとめました。
同じ資料が、その場ではっきり釘を刺しています。
忌避剤の使用でマダニの付着数は減少しますが、マダニの付着を完全に防ぐわけではありません。忌避剤を過信せず、様々な防護手段と組み合わせて対策を取ってください。
塗ったから大丈夫、にはなりません。あとの章の服装と、帰宅後の確認を合わせて使うことが前提になっています。
ここが、この記事でいちばん大事なところです。
ダニ類の多くは、長時間(10日間以上のこともある)吸血します。吸血中のマダニを無理に取り除こうとすると、マダニの口器が皮膚の中に残り化膿することがあるので、皮膚科等の医療機関で、適切な処置(マダニの除去や消毒など)を受けて下さい。
なぜ取れないのか、京都市の資料が構造を説明しています。
皮膚に切り目を入れて口下片と呼ばれる特殊な口器を差し込みます。これには返しがあり、容易に抜けません。さらに、口下片と吸血主が離れないようにセメント様の物質を出して固めるため、簡単にとることができないのです。
返しがあり、さらに接着されている。力ずくで引くと、口器だけが皮膚に残ります。
京都市には、実際にそうした相談が届いています。山を散策したあと足の指の付け根に虫がいて、「取ろうとしたが深く刺咬していてなかなか取れず、力ずくで取った」という内容でした。
咬まれたあとの経過にも指示があります。
マダニに咬まれたら、数週間程度は体調の変化に注意し、発熱等の症状が認められた場合は、医療機関で診察を受けて下さい。
マダニが媒介する感染症として、資料は日本紅斑熱・Q熱・ライム病・野兎病・重症熱性血小板減少症候群(SFTS)・ダニ媒介性脳炎などを挙げています。症状の話は医療機関の領域なので、この記事では一覧までにとどめます。

「取れないな」と思った時点で、それは自分で取る相手ではないという合図です。
山に入らなければ関係ない、とは書かれていません。
マダニは、民家の裏山や裏庭、畑、あぜ道などにも生息しています。
そして、どこに多いかも書かれています。
マダニは、シカやイノシシ、野ウサギなどの野生動物が出没する環境に多く生息しています。
待ち伏せの仕方も分かっています。京都市の資料によると、低い植物の葉の裏や茎の先端で吸血主を待ち伏せし、擦れた際に乗り移ります。
かんたんに言うと、草に触れるところが危ないということです。庭の草むしりも対象に入ります。
なお日本にいるマダニは47種(世界では800以上)で、疾病を媒介すると強く示唆されているのはキチマダニ、フタトゲチマダニ、ヤマトマダニなどとされています。
資料は服装をかなり具体的に書いています。
草むらに入る前の服装
- 首にはタオルを巻くか、ハイネックのシャツを着る
- シャツの袖口は軍手や手袋の中に入れる
- シャツの裾はズボンの中に入れる
- 山林ならズボンの裾に靴下を被せる
- 農作業や草刈りならズボンの裾は長靴の中に入れる
- 半ズボンやサンダル履きは避ける
共通しているのは「入口をふさぐ」ことです。袖口・裾・首の3か所が対象になっています。
帰ってきてからやること
上着や作業着は、家の中に持ち込まないようにしましょう。
屋外活動後は、シャワーや入浴で、ダニが付いていないかチェックしましょう。
ガムテープを使って服に付いたダニを取り除く方法も効果的です。
服を家に入れないことが、再発を防ぐいちばん確実な手です。玄関の外で脱ぎ、ガムテープをかけてから洗濯へ回す、という順番になります。
服装と忌避剤でやれることは、ここまでです。
庭や畑で毎回付くなら、原因は環境の側にあります。資料が「シカやイノシシ、野ウサギなどの野生動物が出没する環境に多く生息」と書いているとおりで、動物が来ていること自体が条件になっています。
家のまわりに獣が来ているかどうかの見分けは、害獣駆除は「捕まえていいか」で手順が変わるにまとめてあります。ハクビシンやアライグマの通り道になっている場合は、そちらの対策が先です。
費用の考え方は害虫駆除の費用相場に、業者の見方は害虫駆除業者の選び方にあります。

毎年おなじ時期に、おなじ場所で付いている。それなら虫よけを買い足すより、何が来ているかを見てもらうほうが早いです。
殺すための市販薬ではなく、忌避剤(虫よけ剤)が市販されています。2013年から認可され、ディートとイカリジンの2成分があります。効力持続時間は1〜2時間から6〜8時間まで幅があります。
長く効かせたいならイカリジン15%(6〜8時間)やディート30%(約6時間)ですが、ディート30%は12歳未満が使用禁止、ディート12%は6ヶ月未満児が使用禁止です。年齢の制限を先に見てください。
草むらそのものを駆除する方法は、この資料には書かれていません。書かれているのは、肌の露出を減らす服装と忌避剤、そして帰宅後に服を家に持ち込まないことです。
動物用医薬品の話になるため、この記事では扱いません。かかりつけの獣医師に相談してください。資料も屋外活動後は「ペットにも気を付けてあげて」とだけ書いています。
自分で引き抜かないでください。口器が皮膚の中に残って化膿することがあるとされています。皮膚科等の医療機関で除去と消毒を受け、その後数週間は体調の変化に注意してください。
マダニに対して市販されているのは、殺す薬ではなく忌避剤でした。
ディートとイカリジンの2成分があり、効力持続時間は1〜2時間から6〜8時間まで開きます。ただし「付着を完全に防ぐわけではありません」とも書かれているので、服装と組み合わせる前提です。
そして咬まれたら、自分で引き抜かない。口器に返しがあり、セメント様の物質で固められているためです。
やること
- 忌避剤は成分と濃度で選ぶ。子どもがいるなら年齢制限を先に見る
- 袖口・裾・首の3か所をふさぐ服装にする
- 帰宅したら上着を家に入れない。ガムテープをかけてから洗濯へ
- 咬まれていたら皮膚科等へ。引き抜かない
- その後数週間は発熱に注意する

庭で毎年おなじことが起きているなら、虫よけの話ではなく、来ている動物の話かもしれません。

