飲食店のねずみ対策は法令に4つ書かれている|年2回の駆除と保管の仕方まで
飲食店のねずみ対策には、法令に決められた中身があります。
しかも「駆除しなさい」だけではありません。どこを塞ぐか、何回やるか、記録をいつまで残すか、食材をどう置くかまで書かれています。
この記事では2026年8月19日に食品衛生法施行規則の条文を確認し、4つの項目を実務の言葉に置き換えました。
- 根拠は食品衛生法施行規則 別表第十七の五「ねずみ及び昆虫対策」
- 年2回以上の駆除作業と、実施記録の1年間保存が定められている
- 塞ぐ場所も名指しされている:窓、ドア、吸排気口の網戸、トラップ、排水溝の蓋
- 食材は容器に入れ、床と壁から離して保存。開封後は蓋付きの容器へ

年2回の駆除と記録の保存まで請け負えるかは、店の広さと構造で変わります。見てもらってからになります。
条文はイからニまでの4項目に分かれています。
食品衛生法施行規則の別表第十七(第六十六条の二第一項関係)は、営業者が講ずべき公衆衛生上の措置の基準を14項目定めています。食品衛生責任者の選任、施設の衛生管理、使用水等の管理などが並ぶなかで、五番目が「ねずみ及び昆虫対策」です。
別表第十七 五「ねずみ及び昆虫対策」の4項目
| 項目 | 要点 |
|---|---|
| イ | 繁殖場所の排除と、網戸・トラップ・排水溝の蓋等による侵入防止 |
| ロ | 年2回以上の駆除作業と、実施記録の1年間保存 |
| ハ | 殺そ剤・殺虫剤は食品を汚染しないよう取扱いに注意 |
| ニ | 原材料等は容器に入れ、床と壁から離して保存 |
食品衛生法施行規則 別表第十七より(2026年8月19日確認)。
駆除だけの話ではありません。設備、頻度、記録、薬剤、保管の5つに及んでいます。

「業者を呼べば済む」と考えていると、条文の半分しか満たせません。
なお衛生管理計画としてどう扱うかは飲食店のゴキブリ駆除は「衛生管理計画」に書く項目にまとめています。
イの項目は、対策する場所を具体的に挙げています。
条文はこうです。施設及びその周囲は、維持管理を適切に行うことができる状態を維持し、ねずみ及び昆虫の繁殖場所を排除するとともに、次の設置により施設内への侵入を防止すること。
- 窓
- ドア
- 吸排気口の網戸
- トラップ
- 排水溝の蓋
※条文には「等」が付いており、これらに限られるものではありません。
見落としやすいのが主語です。「施設及びその周囲」と書かれています。店内だけでなく、敷地の外周まで対象ということです。裏口の周りやゴミ置き場も含まれます。
もうひとつ、繁殖場所の排除が侵入防止と並んで書かれています。入れないようにするだけでなく、増える場所をなくすところまでが1つの項目です。
ここからは編集部の判断です。排水溝の蓋と吸排気口の網戸は、点検すればその場で分かります。営業中に確認できる項目なので、業者を待たずに手を付けられます。

敷地の外周まで対象となると、店主だけで回りきるのは難しくなります。範囲を決める段階から見てもらえます。
ロの項目が、頻度と記録を決めています。
条文には一年に二回以上、ねずみ及び昆虫の駆除作業を実施し、その実施記録を一年間保存することと書かれています。
そのうえで、ただし書きが続きます。
ねずみ及び昆虫の発生場所、生息場所及び侵入経路並びに被害の状況に関して、定期に、統一的に調査を実施し、当該調査の結果に基づき必要な措置を講ずる等により、その目的が達成できる方法であれば、当該施設の状況に応じた方法及び頻度で実施することができる。
ロの2つの進め方
| 進め方 | 内容 |
|---|---|
| 原則 | 年2回以上の駆除作業+実施記録を1年間保存 |
| ただし書き | 定期・統一的な調査を行い、結果に基づき措置を講ずるなら、施設の状況に応じた方法と頻度でよい |
同条文より(2026年8月19日確認)。
ここからは編集部の判断です。ただし書きは「年2回やらなくてよい」という免除ではありません。調査を定期的に、しかも統一的な方法で行い、その結果に基づいて手を打つ、という別の枠組みに振り替えるものです。
言い換えると、回数を減らすには、調査と記録という手間が代わりに必要になります。
この構造が、業者との定期契約が使われる理由でもあります。発生場所・生息場所・侵入経路・被害状況を定期に調べて記録を残す作業は、自店だけで続けるのが難しいためです。
業者に依頼するときの注意点はネズミ駆除業者の失敗は2種類にまとめました。公的な相談データから、料金と施工の失敗を分けて扱っています。
ニの項目は、食材の置き方を指定しています。
条文はこうです。ねずみ及び昆虫による汚染防止のため、原材料、製品及び包装資材等は容器に入れ、床及び壁から離して保存すること。一度開封したものについては、蓋付きの容器に入れる等の汚染防止対策を講じて保存すること。
ニが求めている保管の状態
| 対象 | 求められる状態 |
|---|---|
| 原材料・製品・包装資材 | 容器に入れる |
| 同上 | 床から離す |
| 同上 | 壁から離す |
| 開封したもの | 蓋付きの容器に入れる等 |
同条文より(2026年8月19日確認)。
包装資材も対象に入っている点に注意してください。段ボールや紙袋は、それ自体が巣の材料になります。
そして床だけでなく壁からも離すと書かれています。ねずみは壁際を伝って移動するため、壁に接した保管は経路の上に食材を置くことになります。
ハの項目も併せて確認します。殺そ剤又は殺虫剤を使用する場合には、食品又は添加物を汚染しないようその取扱いに十分注意することとされています。
ここからは編集部の判断です。ニは業者に外注できません。毎日の仕込みと片づけのなかで、誰がどう置くかという運用そのものだからです。駆除を頼んでも、この項目は自店に残ります。

床に直置きの粉袋がひとつあるだけで、条文の求める状態から外れます。
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営業許可の側にも、別の定めがあります。
営業施設の基準には、必要に応じて、ねずみ、昆虫等の侵入を防ぐ設備及び侵入した際に駆除するための設備を有することと書かれています。
さらに施設の構造及び設備の項目には、じん埃・廃水・廃棄物による汚染を防止できる構造又は設備とあわせて、ねずみ及び昆虫の侵入を防止できる設備を有することという記載があります。
2つの層に分かれている
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| 層 | 内容 | 場面 |
|---|---|---|
| 施設基準 | 侵入を防ぐ設備・駆除するための設備を有すること | 主に開業・改装のとき |
| 措置の基準(別表第十七) | 侵入防止・年2回以上の駆除・記録・保管 | 営業を続けている間 |
各条文をもとに編集部が整理(2026年8月19日確認)。
設備を備えることと、運用を続けることが別に書かれています。開業時に網戸を付けたから終わり、ではないという構造です。
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条文の項目ごとに、担当が分かれます。
4項目の担当の目安
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| 項目 | 内容 | 担当 |
|---|---|---|
| イ | 網戸・トラップ・排水溝の蓋の設置 | 業者または工務店(点検は自店でも可) |
| イ | 繁殖場所の排除、周囲の維持管理 | 自店 |
| ロ | 年2回以上の駆除作業 | 業者 |
| ロ | 実施記録の1年間保存 | 自店(業者の報告書を保管する) |
| ハ | 殺そ剤・殺虫剤の取扱い | 業者(自店で使う場合は自店) |
| ニ | 容器・床と壁から離す・蓋付き | 自店 |
編集部が条文をもとに整理した目安です。
記録の保存が自店に残る点は見落とされがちです。業者が作業しても、報告書を1年間保管するのは店の側です。依頼するときに、書面が出るかどうかを先に確認してください。
見積もりでは次の3点を確認してください。
- 作業報告書が出るか(日付・場所・実施内容が残る形式か)
- 侵入経路の調査が含まれるか(イとロのただし書きに関わる)
- 営業時間外に作業できるか
料金の考え方はネズミ駆除の料金相場にまとめていますが、店舗は定期契約になることが多く、1回あたりの相場とは考え方が変わります。

営業時間外に動けるかどうかは、店にとって条件そのものです。定期で入る前提の見積もりを出してもらってください。
あります。
食品衛生法施行規則の別表第十七(第六十六条の二第一項関係)の五「ねずみ及び昆虫対策」に、侵入防止、年2回以上の駆除作業と実施記録の1年間保存、殺そ剤等の取扱い、食材の保管方法が定められています。
ただし書きによる別の進め方があります。
条文は年2回以上の駆除作業を原則としたうえで、発生場所・生息場所・侵入経路・被害の状況について定期に統一的な調査を実施し、その結果に基づき必要な措置を講ずる等により目的が達成できる方法であれば、施設の状況に応じた方法と頻度で実施できるとしています。調査と記録が前提になる点にご注意ください。
実施記録を1年間保存することとされています。
業者に作業を依頼した場合も、記録を保管するのは店側です。日付や実施内容が分かる報告書を受け取れるか、依頼前に確認しておくと確実です。
決まっています。
原材料、製品及び包装資材等は容器に入れ、床及び壁から離して保存することとされています。一度開封したものについては、蓋付きの容器に入れる等の汚染防止対策を講じて保存することも定められています。包装資材も対象に含まれます。
満たせない項目があります。
年2回以上の駆除作業は業者に依頼できますが、食材の保管方法や施設周囲の維持管理、記録の保存は店側の運用です。条文は設備・頻度・記録・薬剤・保管の5つに及んでおり、駆除作業はそのうちの一部にあたります。
飲食店のねずみ対策は、法令に4つの項目として書かれています。
年2回以上の駆除作業と、実施記録の1年間保存。網戸・トラップ・排水溝の蓋による侵入防止。殺そ剤の取扱い。そして食材を容器に入れ、床と壁から離して保存すること。
このうち業者に頼めるのは駆除の部分です。保管の仕方と記録の保存は、依頼しても店側に残ります。先に自店でできる項目を片づけてから見積もりを取ると、頼む範囲がはっきりします。

網戸やトラップの設置まで含めると、金額の出し方が変わります。まとめて出してもらえます。

