アライグマ忌避剤は効く?国の試験は2〜3日で効果なし、資料は木酢液と煙
屋根裏や庭に、アライグマが来ている。
捕まえるのは大変そうなので、まずは嫌がるにおいで追い払いたい。忌避剤を買うか、自分で作るかを調べている人は多いと思います。
そこで、国・県・市が出している公的な資料16件を読みました。確認したのは2026年10月15日です。
分かったのは、国の試験で、木酢液などの忌避の効果が2〜3日でなくなっていたことです。
- 国の試験では、竹酢・木酢などの効果は2〜3日でなくなった
- 現行の国のマニュアル(令和6年3月版)は、家に来る中型の獣への忌避剤を対策に挙げていない
- 資料が挙げる「作り方」は、木酢液を布にしみこませて入口の近くに置くこと。煙の出る殺虫剤で追い出す方法も多い
- どの資料も、追い出したあとに入口をふさぐことと組にしている

においで追い出せても、入口が開いていれば戻ってきます。入口がどこか分からない人は、そこから見てもらえます。
忌避剤の効き目を、試験の結果で書いた公的資料は1件だけでした。
農林水産省の「野生鳥獣被害防止マニュアル-ハクビシン-」(平成20年3月)です。アライグマと同じ中型の獣であるハクビシンの資料で、忌避剤について次のように書いています。
○試験の結果、2~3日程度で忌避効果がなくなった。
使ったのは、竹酢、木酢、薫炭液などです。同じ資料には、千葉県での試験の例も載っています。
竹酢、木酢、薫炭液等を利用した忌避試験は、2~3日で忌避効果がなくなった。
※出典:農林水産省「野生鳥獣被害防止マニュアル-ハクビシン-」平成20年3月(2026年10月15日確認)
同じ例では、電気柵を置いたあとにハクビシンが入らなくなったと書かれています。
今の国のマニュアルには、忌避剤が出てきません
農林水産省は、令和6年3月に中型獣類(アライグマ、ハクビシン、タヌキ、アナグマ)のマニュアルを出しています。全50ページの文字を数えると、「忌避」が出てくるのは、マダニから身を守る方法の欄の1か所だけでした。
かわりに、こう書いています。
「食べさせない」「安心できない」環境づくりを優先して行うことが求められる。
※出典:農林水産省「野生鳥獣被害防止マニュアル【中型獣類編】」令和6年3月(2026年10月15日確認)
ここからは編集部の見立てです。昔の国の資料は忌避剤を試して「2〜3日」と書き、今の国の資料は忌避剤を挙げていません。 国は、忌避剤を対策の柱とは見ていないと考えられます。
多かったのは、煙の出る殺虫剤と、木酢液でした。
国、県、市の16件が、何を挙げているかを数えました。
公的資料16件が挙げているもの(2026年10月15日確認)
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| 挙げているもの | 件数 | 資料 |
|---|---|---|
| 入口をふさぐ | 9 | 兵庫県、龍ケ崎市、北九州市(2ページ)、新潟市、横浜市、相模原市、世田谷区、札幌市 |
| 煙の出る殺虫剤(燻煙剤) | 9 | 兵庫県、龍ケ崎市、北九州市(2ページ)、横浜市、相模原市、世田谷区、板橋区、神戸市 |
| 木酢液・竹酢液 | 8 | 農林水産省(平成20年)、町田市、北九州市、新潟市、横浜市、相模原市、世田谷区、板橋区 |
| 効き目は一時的・なくなった | 2 | 農林水産省(平成20年)、龍ケ崎市 |
| 効いた例がある | 2 | 町田市、横浜市 |
| 光や超音波は効かない | 1 | 栃木県 |
読んだのは、農林水産省のマニュアル2件、栃木県・兵庫県・神奈川県の資料、龍ケ崎市・町田市・新潟市・横浜市・相模原市・世田谷区・板橋区・神戸市・札幌市の資料、北九州市の2ページです。編集部が本文を読んで数えました。1件で複数に当たるものがあります。全国のすべての資料を調べたものではありません。
かんたんに言うと、忌避剤を勧める資料はあっても、「よく効く」と書いた資料はありませんでした。
効いた例は、どちらも「例」として書かれています
横浜市は、においの対策について、こう書いています。
木酢液や漂白剤の臭いが効いた例もあります。
※出典:横浜市「野生動物による生活被害について」(最終更新2026年9月16日、2026年10月15日確認)
町田市の冊子は、効果があったという人の話として「相当強い匂いを放つものを使ったそうです」と書いています。あわせて、強いにおいは隣の家まで届くことがあるので、使う前に近所に声をかけるとよい、とも書いています。
相模原市は「木酢液や強いミントの臭いを嫌うとも言われております」と、聞いた話の形で書いています。
「慣れる」と書いた市もあります
茨城県の龍ケ崎市は、においだけでなく、光や音の道具もまとめてこう書いています。
効果は一時的ですぐに慣れてしまいます。
そのうえで、「慣れ」を防ぐために、効果がなくなったら片付けるよう勧めています。
※出典:龍ケ崎市「野生鳥獣対策マニュアル」平成29年3月(2026年10月15日確認)

置きっぱなしにすると、においに慣れてしまう。龍ケ崎市が「効果がなくなったら片付けましょう」と書いているのは、そのためです。
光や超音波の道具は、栃木県が「効果が無い」と書いています
光や超音波の道具について書いた県の資料は、効かないという書き方でした。
栃木県のハクビシン対策マニュアルには、「誤った認識」のコラムがあります。
最近の試験研究では、光や超音波では忌避効果が無いとされています。
※出典:栃木県「ハクビシン対策マニュアル-農作物をハクビシンから守るために-」令和5年3月(2026年10月15日確認)
どの試験研究のことかは、資料に書かれていません。
ハクビシンの対策で同じ資料を読んだ結果は、ハクビシンの撃退法で効いた柵の数字にあります。超音波の機械については、コウモリでも同じ傾向がありました。コウモリに超音波は効く?では、公的な11ページのうち超音波を対策に挙げていたのは2件でした。
資料に書かれた使い方は、どれも簡単なものでした。
北九州市と新潟市は、ほぼ同じ書き方です。
忌避剤(木酢液または竹酢液など)を布に染み込ませて、侵入口付近に置く。
※出典:北九州市「よくある相談と対策【タヌキなど】」(更新日2024年9月25日、2026年10月15日確認)
薄め方まで書いていた公的資料は、京都市の相談Q&A集でした。イタチ・タヌキ・コウモリの項で、忌避剤として効果があるとされるものに、木酢液、10〜20倍に薄めたクレゾール石けん液、害虫駆除用の燻蒸剤を挙げています。くわしくはイタチ駆除は市役所でしてもらえる?で触れています。
唐辛子、ハッカ油、ナフタリンを使う作り方を書いた公的資料は、見つかりませんでした。
煙で追い出すなら、夜にたきます
煙の出る殺虫剤は、9件が追い出しの方法として挙げています。
横浜市は、使う時間についても書いています。
夜行性のため、日暮れ後に実施するとより効果的です。
兵庫県は、手順を3つで書いています。
- 入口を見つける
- 屋根裏で燻煙剤(害虫駆除に使うもの)をたいて、アライグマを追い出す
- 出たあとに、入口をがんじょうな金網などでふさぐ
※出典:兵庫県「兵庫県アライグマ防除指針」(2026年10月15日確認)
アライグマを自分で捕まえるには、許可や登録が要ります。追い出しまでは許可なくできます。捕まえるときの手続きは、アライグマを見つけたら市町村へ連絡にまとめています。
16件のうち9件が、入口をふさぐことを書いていました。煙や木酢液を勧める資料も、ふさぐことと組にしています。
横浜市は、こう書いています。
追い出しに成功しても侵入口をそのままにしておくと、再び侵入される可能性があります。
札幌市は、ふさぐ場所の例を挙げています。縁の下、換気口、壁の亀裂などのすき間を、金網などでふさぐ、という書き方です。
ここからは編集部の見立てです。忌避剤は「追い出すための道具」で、「来させないための道具」ではありません。 国の試験で効果が2〜3日だった以上、においだけで来させないようにするのはむずかしいと考えます。
やることを並べます。
- 入口を探す。屋根の合わせ目、換気口、縁の下、壁のすき間
- アライグマがいない時間を確かめる。夜行性なので、夜に出ていく
- 煙の出る殺虫剤か木酢液で追い出す
- 出たあとに、金網などでふさぐ
- 庭の生ごみや、ペットの餌の食べ残しを片付ける
ほかの動物の追い出し方は、イタチが来なくなる方法は3段階と屋根裏の動物はどうすればいい?にも書いています。

屋根の上の入口や、何か所もある入口は、自分でふさぐのがむずかしいところです。ふさぐ作業だけを頼むこともできます。
国の試験では、竹酢、木酢、薫炭液などの効果は2〜3日でなくなりました。木酢液や漂白剤が効いた例を書いた市もありますが、効き目を数字で示した公的資料は見つかりませんでした。
北九州市と新潟市は、木酢液や竹酢液を布にしみこませて、入口の近くに置く方法を書いています。薄め方まで書いていたのは京都市で、10〜20倍に薄めたクレゾール石けん液を挙げています。
公的資料に名前が出てきたのは、木酢液、竹酢液、漂白剤、強いミントのにおい、酢酸などです。相模原市は「嫌うとも言われております」と、聞いた話の形で書いています。
栃木県は「最近の試験研究では、光や超音波では忌避効果が無いとされています」と書いています。龍ケ崎市も、光や音の道具は効果が一時的で、すぐに慣れると書いています。
龍ケ崎市は、慣れを防ぐために、効果がなくなったら片付けるよう勧めています。置いたままにするより、追い出しに使って、そのあと入口をふさぐほうが資料の書き方に沿います。
アライグマは特定外来生物で、捕まえるには市町村への登録や許可が要ります。追い出してふさぐまでは許可なくできます。
国の試験では、木酢液などの忌避の効果は2〜3日でなくなりました。今の国のマニュアルは、忌避剤を対策に挙げていません。
公的資料16件で多かったのは、煙の出る殺虫剤(9件)と木酢液(8件)です。使い方は、布にしみこませて入口の近くに置くことでした。
どの資料も、追い出したあとに入口をふさぐことを組にしています。
最後に、やることを3つに絞ります。
- 入口を探す
- 夜に、煙か木酢液で追い出す
- 出たあとに、金網などで入口をふさぐ

入口は1か所とは限りません。家のまわりを一度見てもらうと、ふさぐ場所の数と、天井裏の掃除が要るかが分かります。

