部屋にゴキブリがいるサインは?国の資料が挙げる4つと、いないと言える条件
姿は見ていない。でも、台所の隅に黒い点が落ちていた。
ゴキブリがいるサインを調べようとすると、フンや卵の写真ばかりが出てきます。ただ、フンや卵を見つけたあとにどうすればいいのかは、どこにも書かれていません。
国は、建物の中のゴキブリを調べる手順を決めています。何を見るか、どこを見るか、見つからないときに何をするかまで書いてあります。
この記事では、その手順をそのまま家庭に置き換えます。確かめる方法と、出た結果の読み方まで持ち帰れる形にしました。
- 国の資料が見るのは、虫体・糞・ローチスポット・卵鞘の4つです
- 見つからないときは、粘着トラップを3〜7日置いて数を数えます
- 姿を見ていないことは、いない証拠になりません。国が「問題なし」とする条件は3つあります
- やること:13か所を照らす → 見つからなければトラップを置く → 捕まった数で段階を読む

黒い点は見つけたけれど、家具の裏まで動かして確かめるのは無理、という人もいます。
厚生労働省の資料は、目で確かめるものを4つに絞っています。
対象は特定建築物、つまりビルや商業施設の管理です。ただし見る対象そのものは、家庭でも変わりません。
資料が挙げる生息調査は3つあります。目視調査、トラップによる調査、そして建物の利用者や管理者への聞き取り調査です。家庭に置き換えられるのは前の2つなので、この記事ではその2つを順に見ます。同居している人に「見たことがあるか」を聞くのは、3つ目にあたります。
国の資料が挙げるゴキブリの目視サイン4つ
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| サイン | 何を指すか | 見つかりやすい場所 |
|---|---|---|
| 虫体 | ゴキブリそのもの。死骸を含みます | 家具の裏、隅 |
| 糞 | 黒い粒状の汚れ | 通り道、潜んでいる場所の周り |
| ローチスポット | ゴキブリが集まる場所に残る黒い汚れ | 壁の隙間、機器の裏 |
| 卵鞘 | 卵が入った固い鞘 | 湿った物陰、家具の裏 |
出典:厚生労働省「建築物における維持管理マニュアル」第6章 ねずみ等の防除 ―IPM(総合的有害生物管理)の施工方法―(2026年8月30日確認)
資料の書き方はこうです。
ゴキブリが生息しそうな場所を照明用具で照らしながら、虫体、糞、ローチスポット、卵鞘の有無を確認する
「照明用具で照らしながら」という部分が抜けやすいところです。ゴキブリが潜むのは暗い隙間なので、明かりを当てないと4つとも見えません。
ローチスポットという言葉について
聞き慣れない言葉が1つ混じっています。
ローチスポットは、ゴキブリが集まる場所に残る黒い汚れを指す業界の言葉です。ただし、厚生労働省の資料はこの語を使うだけで、意味を書いていません。公的な定義は確認できませんでした。
この記事では「集まる場所に残る黒い汚れ」として扱います。フン1粒ではなく、同じ場所が繰り返し汚れている状態だと考えてください。
なお、フンそのものの見分け方は別の記事で扱っています。ネズミのフンとの違いも、下の記事にあります。
卵鞘を見つけたときの対処も、この記事では踏み込みません。
資料は、照らして見る場所を具体的に並べています。
その数は13か所です。台所まわりが中心ですが、台所の中だけでは終わりません。
- ガスレンジ
- 調理台
- 流し台
- カウンター裏
- 冷蔵庫・冷凍庫の周り
- 湯沸し施設(家庭なら給湯器やポットの周り)
- 配電盤(家庭なら分電盤やブレーカーの箱)
- 壁の隙間
- 天井と壁の接合部
- 食器棚
- ロッカー(家庭なら収納棚やクローゼット)
- 植木鉢
- 作り付けの椅子・家具とその周辺
※出典:厚生労働省「建築物における維持管理マニュアル」第6章(2026年8月30日確認)
かんたんに言うと、熱を持つ機器のまわりと、動かさない家具の裏です。
意外なのは、植木鉢と天井と壁の接合部が入っていることです。どちらも台所から離れています。台所だけ見て「何も無い」と判断すると、この2か所が残ります。
配電盤が入っているのも同じ理由です。配電盤の中は暖かく、隙間があり、めったに開けません。
13か所を照らしても何も出ないことがあります。
そのときのために、資料はもう1つ方法を書いています。
生息が明らかでない場所には、周辺に注意しながら、調理台、冷蔵庫、戸棚などの隙間に、ピレスロイド剤を少し吹き込み、飛び出してくる個体を確認する
殺すためではなく、追い出して見るための使い方です。資料は「少し吹き込み」と書いています。全体に散布する方法ではありません。
ここは業務の手順です。家庭で試すなら、使う薬剤の効能・効果の欄に対象の場所が入っているかを見て、注意事項に従ってください。資料は家庭での使い方を書いていないので、この記事でも手順までは示しません。
やること:
- 13か所を明かりで照らして見る
- 何も見つからなければ、次のトラップに進む
ここが、この記事でいちばん伝えたい部分です。
国は「問題のない状態」を許容水準と呼び、条件を3つ挙げています。3つ全部に当てはまることが条件です。
許容水準の3条件
| 条件 | |
|---|---|
| ① | トラップによる捕獲指数が0.5未満 |
| ② | 1個のトラップに捕獲される数は2匹未満 |
| ③ | 生きたゴキブリが目撃されない |
出典:厚生労働省「建築物における維持管理マニュアル」第6章(2026年8月30日確認)
③だけを見ている状態が、「姿を見ていないから、たぶんいない」です。
①と②はどちらもトラップの数字です。つまり、置いて数えていない家では、3つのうち2つが空欄のまま残ります。ここは編集部の読み方ですが、資料が3条件を並べている以上、③だけでは足りないことになります。
逆のことも言えます。1匹見かけただけで最悪の状態だと決まるわけでもありません。いちばん重い措置水準の条件は「生きたゴキブリがかなり目撃される」で、1匹という数字ではないからです。
見た1匹の大きさで、次に見る場所が変わります。
資料は、枚数も日数も数え方も決めています。
まず置き方です。
- 粘着面が8cm×20cm程度のゴキブリ用粘着トラップを使う
- 発生しやすい場所(厨房など)は5㎡に1枚
- 通常は発生源がない場所(事務所など)は25〜50㎡に1枚
- 設置期間は3〜7日間
- 卵鞘から孵化したと考えられる幼虫は、捕獲数に加えない
※出典:厚生労働省「建築物における維持管理マニュアル」第6章(2026年8月30日確認)
5㎡に1枚は、3畳弱に1枚という密度です。一般的な台所なら1〜2枚になります。
回収したら数を数え、1日1トラップあたりに換算します。この数字をゴキブリ指数と呼びます。捕まった総数を、トラップの枚数と設置日数で割った値です。
国が定めている3つの水準
出た数字は、3つの帯のどこかに入ります。
国が定める標準的な目標水準
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| 水準 | 捕獲指数 | 1個のトラップの捕獲数 | 目撃 |
|---|---|---|---|
| 許容水準 | 0.5未満 | 2匹未満 | 目撃されない |
| 警戒水準 | 0.5以上1未満 | 2匹未満 | 時に目撃される |
| 措置水準 | 1以上 | 2匹以上 | かなり目撃される |
許容水準と警戒水準は3条件すべてに、措置水準はいずれか1つ以上に該当することが条件です。出典:厚生労働省「建築物における維持管理マニュアル」第6章(2026年8月30日確認)
資料は、指数が警戒水準または措置水準を超えている場合に、水準値に応じて対策をとるとしています。
家で1枚だけ置いた場合に置き換えると
ここからは編集部の換算です。資料そのものの記載ではありません。
家庭で置くのはたいてい1枚か2枚です。1枚を置いた場合、捕まった数がどの帯に入るかを計算しました。
トラップ1枚を置いた場合の目安(編集部の換算)
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| 置いた日数 | 捕まった数 | ゴキブリ指数 | 当てはまる水準 |
|---|---|---|---|
| 3日 | 0匹 | 0 | 許容水準の①②に該当 |
| 3日 | 1匹 | 0.33 | 許容水準の①②に該当 |
| 3日 | 2匹 | 0.67 | 措置水準(②に該当) |
| 7日 | 1匹 | 0.14 | 許容水準の①②に該当 |
| 7日 | 2匹 | 0.29 | 措置水準(②に該当) |
| 7日 | 7匹 | 1.00 | 措置水準(①②に該当) |
ゴキブリ指数=捕獲総数÷トラップ数÷設置日数で計算しました。③の目撃は各家庭で変わるため除いています
1枚しか置かないなら、日数より先に「2匹」が効きます。②の条件が匹数そのもので、日数で割らないからです。7日置いて2匹なら指数は0.29で許容の範囲ですが、②を外れるので措置水準に該当します。
ただし、この換算には限界があります。
資料には注が付いています。捕獲指数はトラップ10個までなら上位3つまでを使い、それ以上置いた場合は上位30%のトラップを使って算出するとされています。もともと複数枚を前提にした数え方です。1枚の結果は、資料の算出条件とは違います。
2回目を置くときの決まりもあります。資料は、効果を判定する際のトラップを1匹以上捕獲のあった場所に配置するとしています。家庭でも同じで、1度目に捕まった場所へ置き直すほうが、変化が読めます。
それでも、捕まった数を自分で判断する物差しがあるかどうかは大きな差です。数えた結果を「多い気がする」で終わらせずに済みます。
資料は、薬から始めていません。
環境を調べる項目が先に4つ並びます。
資料が挙げる環境調査の4項目
| 項目 | 見るところ |
|---|---|
| 清掃状況 | 機器類の周り、床、排水溝に食品残渣が落ちていないか |
| 整理・整頓状況 | ダンボール、古雑誌、古新聞が除去されているか |
| 食物管理状況 | 食材、食品が露出して置かれていないか |
| 厨芥類の処理状況 | 生ごみが片づき、容器に付着していないか |
出典:厚生労働省「建築物における維持管理マニュアル」第6章(2026年8月30日確認)
ダンボールが名指しされている点は覚えておいてください。通販の箱を積んだままにしている家は、この項目に引っかかります。
措置水準を超えた区域について、資料はまず環境整備を基本とした発生源対策や侵入対策を行うとしています。そのうえで、薬剤やトラップを使用して防除作業を実施するという書き方です。順番があるということです。
薬を使うときの決まりも書かれています。特定建築物では、薬剤名や実施場所を書いた通知を3日前までに掲示することになっています。家庭にそのまま当てはまる話ではありませんが、日常的に乳幼児がいる区域については、薬剤による処理を避けるという一文は、小さい子どもがいる家では読む価値があります。
毒餌についても、置きっぱなしにしない書き方です。少量ずつ各所に配置し、残量を数日ごとにチェックして、なくなるようであれば追加配置するとされています。
侵入する隙間の大きさは、別の記事で自治体の資料から確認しています。
なお資料には、掃除機で吸い取る方法も書かれています。生息場所がわかっていて、ノズルの先が届く場所に限った方法です。
業者に頼む場合の金額は、こちらにまとめてあります。
やること:
- 4項目のうち、自分の家で当てはまるものを消す
- 隙間を1か所ずつ塞ぐ
- それでも数が減らないなら、範囲を見てもらう

13か所のうち、冷蔵庫の裏や作り付けの家具の奥は自分では見られません。その2か所を確かめられないまま残してしまう人は、範囲を出してもらうところから始められます。
4つのうちの1つです。厚生労働省の資料は、虫体・糞・ローチスポット・卵鞘の4つを並べています。
フンだけが目印ではありませんが、同じ場所に繰り返し落ちているなら、そこが通り道か潜み場所です。フンの見た目や、ネズミのフンとの違いはゴキブリのふんの記事にあります。
厚生労働省の資料に、エアコンという記載はありません。
近いのは「壁の隙間」と「天井と壁の接合部」です。どちらも13か所に入っています。エアコンの配管が通る穴はこの2つに重なるため、資料の範囲で言えるのはそこまでです。
配管まわりの隙間については、ゴキブリはどこから入るのかで自治体の資料を見ています。
資料の目視4項目に、匂いは入っていません。
国の調査手順は、見えるものと、トラップで捕まえた数で判断する形になっています。匂いを判断材料として挙げた公的な資料は確認できませんでした。
許容水準の3条件のうち、①と②は満たします。ただし③の「生きたゴキブリが目撃されない」が残ります。
3つ全部に当てはまることが条件なので、姿を見ているなら、捕まらなかったことだけでは判断できません。設置日数が3日未満だった場合も、資料の3〜7日という条件から外れます。
資料の順番では、環境整備が先です。
ダンボールや生ごみの整理と、隙間を塞ぐ作業が先に来ます。そのうえで数が減らない場合や、自分では見られない場所が残っている場合に、業者を検討する形になります。
厚生労働省の資料をたどると、確かめる順番がはっきりしています。
- 見るのは虫体・糞・ローチスポット・卵鞘の4つ
- 照らして探す場所は13か所。植木鉢と天井と壁の接合部も入ります
- 見つからないなら、粘着トラップを3〜7日置いて数える
- 数字は3つの帯で読む。1枚だけなら「2匹」が先に効きます
- 姿を見ていないことは、3つの条件のうちの1つでしかありません
今日やること:
- 明かりを持って、台所以外も含めた13か所を見る
- 何も出なければ、粘着トラップを3日以上置く
- 捕まった数を水準の表に当てて、次の行動を決める

数えてみたら思ったより多かった、という段階なら、家のどこが発生源になっているかまで見てもらう選択肢があります。

