シロアリ駆除費用は確定申告で控除できる|国税庁は駆除と予防を分けています
シロアリ駆除に十数万円かかった。
その金額が確定申告で戻るのか、気になる方は多いと思います。
戻る場合があります。
ただし国税庁は、駆除と予防で扱いを分けています。
この記事では2026年8月25日に国税庁の公開情報を確認し、その線引きを整理しました。
- 国税庁は、シロアリ被害を「害虫……その他の生物による異常な災害」にあたるとしている
- 修繕の費用と駆除の費用は、雑損控除の対象
- 予防のための費用は対象にならない。駆除と一緒に行った予防も含めて対象外
- やること:見積書で駆除と予防を分けてもらう → 領収書を残す → 確定申告書に記載する

工事を頼む前にこの区別を知っておくと、あとで内訳を出し直してもらう手間がなくなります。
国税庁の質疑応答事例「シロアリの駆除費用」に、そのものずばりの項目があります。
「シロアリの駆除費用」という表題で、次の質問が載っています。
7年前に建築して居住の用に供していた家屋の一部がシロアリによって被害を受けたため修繕を行いましたが、この修繕に要した支出は雑損控除の対象となりますか。
回答はこうです。
シロアリによる被害は、所得税法施行令第9条《災害の範囲》に規定する「害虫……その他の生物による異常な災害」に該当し、修繕に要した費用及びそのシロアリを駆除するための費用は雑損控除の対象となります。
シロアリの被害は、税の上では「災害」として扱われます。
雑損控除は、災害や盗難で資産に損害を受けたときに所得から差し引ける制度です。
国税庁が挙げる損害の原因は5つあります。
- 震災、風水害、冷害、雪害、落雷など自然現象の異変による災害
- 火災、火薬類の爆発など人為による異常な災害
- 害虫などの生物による異常な災害
- 盗難
- 横領
※国税庁タックスアンサーNo.1110による(2026年8月25日確認)。詐欺や恐喝の場合は雑損控除を受けられません。
3番目がシロアリにあたります。
なお国税庁のNo.1110のページは、関連する質疑応答事例の先頭に「シロアリの駆除費用」を挙げています。
税の側から見ても、シロアリは例外的な扱いではないということです。
同じ回答の後半に、対象外になるものが書かれています。
シロアリの被害を事前に防止するための費用及びシロアリの駆除とともに行う予防のための費用は、応急的措置に係る費用でないことから、雑損控除の対象となりません。
読み飛ばしやすいのは「シロアリの駆除とともに行う予防」という部分です。
同じ日に、同じ業者が、続けて行った予防工事も対象外という意味になります。
国税庁が分けている2つ
| 扱い | 中身 |
|---|---|
| 対象 | シロアリの被害を受けた部分の修繕/被害を受けた際に要した駆除 |
| 対象外 | 被害を事前に防止するための費用/駆除とともに行う予防 |
国税庁「シロアリの駆除費用」(質疑応答事例)による。令和7年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成されたものを2026年8月25日に確認。
理由も書かれています。
対象になるのは、施行令が定める「被害の拡大又は発生を防止するため緊急に必要な措置を講ずるための支出」です。
これは所得税基本通達70-11で説明されています。
切迫している被害を防ぐ応急措置のように、その支出の効果が被害の発生を防止することだけに向かうものを指します。
かんたんに言うと、まだ被害が出ていない家に薬をまくのは「応急措置」ではない、という整理です。
予防だけを頼んだ場合の費用はシロアリ予防費用は40坪でいくら?にまとめています。
薬剤の有効期間が切れて5年ごとに施工する場合も、被害が出ていなければ予防にあたります。この扱いはシロアリ駆除は5年ごとに費用がかかる?で費用の面から扱っています。
ここが実務でいちばん困る点です。
シロアリ工事の見積書は、駆除と予防がひと続きで書かれていることがあります。
「シロアリ防除工事一式」とだけ書かれていると、どこまでが駆除なのかを後から示せません。
業者に依頼するときは、次を伝えてください。
- 見積書と請求書で、駆除・修繕の費用と、予防の費用を行を分けて書いてもらう
- 被害があった場所と、その範囲を書面に残してもらう
- 修繕(木材の交換など)を行った場合は、その費用を別立てにしてもらう
- 領収書は工事のたびに受け取って保管する
- 保険金や補助金を受け取った場合は、その金額も控えておく
保険金などを受け取っていると、その分は差し引かれます。
なお、金額の内訳がどう分かれるかは工事の中身によります。自宅の申告でどう扱うかは、所轄の税務署か税理士に確認してください。

見積もりを取る段階で「駆除と予防を分けて書いてほしい」と言えば済みます。工事が終わってから頼むと、出し直しになります。
国税庁は式を2つ示しています。
雑損控除の金額(国税庁タックスアンサーNo.1110)
| 式 | |
|---|---|
| (1) | (損害金額+災害等関連支出の金額−保険金等の額)−(総所得金額等)×10% |
| (2) | (災害関連支出の金額−保険金等の額)−5万円 |
国税庁の記載による(2026年8月25日確認)。(1)と(2)のうち、いずれか多いほうの金額が控除額になります。
この2つの式に出てくる言葉は、よく似ていますが同じではありません。
(1)は「災害等関連支出」、(2)は「災害関連支出」です。
国税庁は(2)の「災害関連支出」に注記を付けています。
災害により滅失した住宅や家財を取壊し・除去するために支出した金額などを指す、という内容です。
どちらの式に何が乗るかは、支出の中身によって変わります。
ここは自己判断せず、税務署に確認してください。
要確認:国税庁が、シロアリの駆除費用をどちらの式に当てはめるかを示した資料は見当たりませんでした(2026年8月25日確認)。
控除しきれなかった金額は、翌年以後3年間に繰り越して各年の所得から差し引けます。
雑損控除は、他の所得控除に先だって控除するとされています。
なお、その年の所得金額の合計額が1,000万円以下の方には別の制度もあります。
災害減免法による所得税の軽減免除で、納税者の選択でどちらか有利なほうを選べるとされています。
工事そのものの金額の目安は一軒家の害虫駆除費用にまとめています。
対象になる資産には要件があります。
国税庁が求めているのは、棚卸資産・事業用固定資産等・「生活に通常必要でない資産」のいずれにも該当しない資産であることです。
「生活に通常必要でない資産」の例も挙げられています。
別荘など趣味、娯楽、保養または鑑賞の目的で保有する不動産です。
つまり住んでいない別荘のシロアリ駆除は、雑損控除の対象から外れます。
所有者にも条件があります。
- 納税者本人
- 納税者と生計を一にする配偶者やその他の親族で、その年の総所得金額等が48万円以下の方
※国税庁の記載による。令和7年12月1日に施行され、令和7年分から適用される金額は「58万円以下」とされています。
申告のときは、確定申告書に雑損控除に関する事項を記載します。
あわせて、災害等に関連したやむを得ない支出の金額の領収を証する書類を添付するか、提示することが求められます。
領収書を捨てると証明できません。
国税庁が対象になると書いています。
質疑応答事例「シロアリの駆除費用」に記載があります。シロアリによる被害は「害虫……その他の生物による異常な災害」に該当するとされています。そのうえで、修繕に要した費用およびシロアリを駆除するための費用は雑損控除の対象になる、という回答です。
対象になりません。
国税庁は、被害を事前に防止するための費用は応急的措置に係る費用でないことから、雑損控除の対象とならないとしています。被害が出ていない状態での施工は、この予防にあたります。
予防の部分は対象外になります。
国税庁は「シロアリの駆除とともに行う予防のための費用」も対象にならないと明記しています。見積書で行が分かれていないと、どこまでが駆除かを示せません。
この記事では計算できません。
控除額は、損害金額・支出額・保険金等の額・その年の総所得金額等によって変わります。国税庁が示す2つの式のうち多いほうを使いますが、どちらの式に何が乗るかは支出の中身によります。所轄の税務署か税理士にご確認ください。
雑損控除の対象からは外れます。
国税庁は、事業用固定資産等に該当する資産を対象外としています。賃貸物件の扱いは所得の種類が変わるため、税務署にご確認ください。
シロアリ駆除の費用は、確定申告で雑損控除の対象になります。
国税庁が線を引いているのは、駆除・修繕と、予防のあいだです。
被害を受けて行った駆除と修繕は対象になり、被害を防ぐための予防は対象になりません。
同じ日の工事でも、予防の部分は外れます。
やること
- 見積書と請求書で、駆除・修繕と予防を行に分けてもらう
- 被害の場所と範囲を書面に残す
- 領収書を保管する
- 保険金や補助金を受け取った金額を控えておく
- 自宅の申告での扱いは、所轄の税務署か税理士に確認する
なお国税庁は、質疑応答事例について「照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありません」と注記しています。
自分の家のケースが当てはまるかは、書類を持って税務署で確認するのが確実です。
原文は国税庁の質疑応答事例「シロアリの駆除費用」とタックスアンサーNo.1110で読めます。

これから工事を頼む方は、見積もりの段階で内訳を分けてもらうだけで、申告のときの手間が変わります。

