江戸川区のネズミ駆除は、区がやめた「定期散布」を知ると見積書が読める
天井裏で物音がして江戸川区の相談先を調べると、「区は駆除しない」で終わる情報ばかりが出てきます。
たしかに区は駆除しません。ただし江戸川区は自分の施設について、定期的な薬剤散布をやめてIPMという方法へ切り替えたことを公表しています。この考え方は、業者の見積書を読むときにそのまま使えます。
この記事では2026年8月17日に江戸川区の公開情報を確認し、区が使っている手順と、それを見積もり評価へ変える方法を整理しました。
- 江戸川区はネズミの駆除をしない。費用の助成もない
- ただし区は自分の施設で、定期的な薬剤散布をやめてIPMへ切り替えている
- IPMの手順は「調べる → 環境を直す → 範囲を絞って薬剤 → 効果判定」
- やること:見積書に生息調査と侵入口対策が入っているか確認 → 2社以上で比べる

区がやめた定期散布を提案されていないか。見積書を読むには、比べる相手が1社要ります。
保健所がするのは、アドバイスと業者の案内までです。
区のページには、私有地の場合は居住者や所有者が自身で駆除する必要があること、保健所は個人でできる駆除や対策のアドバイスをするが衛生害虫等の駆除は行っていないことが明記されています(2025年1月14日更新、2026年8月17日確認)。
駆除費用の助成も行っていません。制度を探す時間は使わずに済みます。
江戸川区のネズミ相談窓口
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 担当 | 江戸川保健所 生活衛生課 環境衛生係 |
| 電話 | 03-3658-3177 |
| 受けられること | 個人でできる駆除や対策のアドバイス、各種パンフレット |
| 受けられないこと | 駆除の作業、費用の助成 |
専門業者については、公益社団法人東京都ペストコントロール協会(03-3254-0014)が案内されています。
ここまでは他の区とも大きく変わりません。この記事で扱うのは、その先にある区の考え方です。
区の散布がないぶん、業者の見積もりを読むことになります。
- 侵入口の封鎖が見積もりに入っているか。何か所か
- 調査に費用がかかるか
- 糞尿の清掃と消毒が入っているか
- 保証の年数と、再発したときの対象範囲
- 見積書が概算か、確定した金額か
封鎖の箇所数を聞かないまま契約しないでください。駆除だけで終わると、同じ穴から次が入ります。
区が定期散布をやめたぶん、自宅の作業は自分で手配します。
ネズミ駆除の見積書に並ぶ主な項目
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| 項目 | 中身 | 金額への効き方 |
|---|---|---|
| 調査 | 侵入口と通り道を探す | 無料の会社と有料の会社がある |
| 駆除 | 殺そ剤・粘着シート・捕獲器 | 基本の作業 |
| 侵入口の封鎖 | 1cmの隙間までふさぐ | 箇所が増えるほど上がる |
| 清掃・消毒 | 糞尿の撤去と消毒 | 範囲で変わる |
| 保証 | 再発したときの再施工 | 年数と対象で変わる |
編集部が過去に調べた業者の料金の内訳から整理した(2026年8月24日時点)。
かんたんに言うと、薬をまく作業より、穴をいくつふさぐかで金額が決まります。
編集部で調べた料金相場は2万〜20万円でした。10倍の幅があります。一軒家の場合、ふさぐ場所は9か所にのぼることがあります。
内訳は一軒家のネズミ駆除の費用|ふさぐ場所が9か所あるから高くなります、相場の全体像はネズミ駆除の料金相場は2万〜20万円にまとめました。
要確認:江戸川区の相場を公表している公的な資料は見当たりませんでした(2026年8月24日確認)。箇所数が分からないうちは、金額も出ません。
区の施設の害虫対策は、定期的な薬剤散布からIPMへ切り替わりました。
江戸川区のページには、次のように書かれています。「これまで江戸川区の施設におけるねずみやゴキブリ・ハエ・蚊などの有害生物対策は、定期的な薬剤散布による方法が主流でした」。
そして現在はIPM(Integrated Pest Management、総合的有害生物管理)の考えに基づいた害虫防除を実施しているとしています。
切り替えた理由も書かれています。区の施設は乳幼児から熟年者まで幅広い世代や、健康を害している方も利用するため、利用者の健康と環境への影響を最小限にとどめるためです。
区がやめた方法と、現在の方法
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| これまで | 現在(IPM) | |
|---|---|---|
| 進め方 | 定期的に建物全体の殺虫消毒 | まず生息調査、発生している箇所に必要な措置 |
| 薬剤 | 定期散布が主体 | ベイト剤などリスクの少ない方法を優先 |
| 範囲 | 建物全体 | 生息が確認された箇所を中心に範囲を限定 |
江戸川区「IPMについて」の記載による(2026年8月17日確認)。

「毎月まいて予防します」という提案は、区が自分の施設で採用をやめた形に近いことになります。
ここで注意が必要です。これは区の施設についての方針であって、区民の家にIPMを義務づけるものではありません。ただ、考え方は個人宅にも応用できます。
調べる、環境を直す、範囲を絞って薬剤、効果判定、の順です。
江戸川区が示すIPMの手順
| 手順 | 内容 |
|---|---|
| 1. 防除計画 | 建物内の利用状況を確認し、調査区域と対象生物の目標水準を設定。食料を取り扱う場所やゴミ置き場など発生しやすい区域が中心 |
| 2. 生息調査 | 目視、トラップ、利用者への聞き取り。防除計画に基づき毎月1回定期的に実施 |
| 3. 措置(環境対策) | 発生源対策と侵入対策。清掃と整理整頓、食料やゴミの管理確認、侵入口が見つかれば補修 |
| 3. 措置(駆除対策) | ベイト剤(毒餌)などリスクの少ない方法を優先。薬剤散布は生息箇所を中心に範囲を限定。作業日時と使用薬剤は事前に掲示して周知 |
| 4. 効果判定 | 措置を行った場所で、目標の水準を達成しているか確認 |
同ページの記載による(2026年8月17日確認)。
注目したいのは順番です。薬剤は3番目で、しかも環境対策と並んでいます。1番目と2番目は調べることに使われています。
もうひとつ、侵入口が見つかれば補修するが環境対策に入っている点も重要です。ネズミは入ってくる経路が残っていれば戻ります。薬剤だけでは終わらないという前提が、区の手順には組み込まれています。
効果判定まで含まれているのも特徴です。作業して終わりではなく、目標水準に達したかを確認する工程が定義されています。

薬剤が3番目に来ている点が、この手順のいちばん大事なところです。
区の手順に照らすと、業者の提案に何が足りないかが見えます。
見積書で確認する5項目【編集部がIPMの手順から作成】
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| 確認項目 | 対応するIPMの手順 | 聞き方の例 |
|---|---|---|
| 生息調査 | 手順2 | 施工前に生息状況を調べますか。方法は目視ですか、トラップですか |
| 侵入口の補修 | 手順3(環境対策) | 侵入口をふさぐ工事は料金に含まれますか |
| 薬剤の範囲 | 手順3(駆除対策) | 薬剤は建物全体ですか、確認された箇所に限定しますか |
| 効果の確認 | 手順4 | 作業後に効果を確認する訪問はありますか |
| 事前の周知 | 手順3 | 使用する薬剤と作業日時を事前に教えてもらえますか |
この5項目は、区が公表するIPMの手順を編集部が見積もり評価用に変換したものです。区が業者選びの基準として示しているものではありません。
「毎月定期的に薬剤を散布します」だけの提案は、手順1・2・4が抜けていることになります。悪い業者だと決めつける必要はありませんが、なぜその方法なのかは聞く価値があります。
逆に、調査から入って侵入口の補修まで提案してくる業者は、区の手順に近い進め方をしていることになります。

金額の高い安いより、「何を調べて、どこを塞ぐか」が書いてあるかを先に見てください。
江戸川区自身も、業者へ依頼する場合について「複数の業者から見積もりをとり、十分ご検討の上、依頼することをお勧めします」と案内しています。行政が相見積もりを勧めている以上、1社で決める理由はありません。
費用の目安はネズミ駆除の料金相場と作業内容別の費用にまとめています。金額だけでなく、上の5項目を揃えて比べてください。

区も相見積もりを勧めていますが、2社目の当てがないという人は多いはずです。上の5項目をそのまま質問できる相手として使ってください。
区が勧めている相見積もりの2社目に。現地調査・見積もりは無料。申し込むときは、侵入口の封鎖が料金に含まれるかを確認する。
江戸川区に制度はありませんが、区によっては業者を派遣してくれます。
東京23区のネズミ対応(当サイトで確認した4区)
| 区 | 区がすること |
|---|---|
| 大田区 | 無料で業者を派遣する(駆除はしない) |
| 杉並区 | 駆除方法の指導のみ |
| 墨田区 | 区の制度と業者依頼の使い分け |
| 江戸川区 | アドバイスと業者の案内。IPMの考え方を公表 |
各区の公開情報による(2026年8月17日確認)。制度は変わるため最新は各区へご確認ください。
同じ23区でも、大田区は区が無料で業者を派遣してくれる一方、杉並区はネズミを駆除しないという違いがあります。
東京は保健所の設置主体が3系統に分かれ、23区はそれぞれの区が制度を決めています。 全体の仕組みは東京の害虫の窓口は3系統に分かれるで整理しています。
江戸川区は制度の面では手厚くありませんが、考え方を公表している点では他区にないものを出しています。
私有地は所有者の負担が原則ですが、建物の種類で相手が変わります。
賃貸にお住まいなら、まず管理会社または貸主へ連絡してください。負担者の考え方は賃貸の害虫駆除費用は誰が払うかにまとめています。
事業用の建物では、法律上の義務が発生する場合があります。
区のページには、特定建築物では「建築物における衛生的環境の確保に関する法律」に基づき衛生的環境を確保するため適切に維持管理を行わなければならず、ねずみ等の防除についてもIPMの手法に基づく方法で実施しましょう、と書かれています。
特定建築物とは、延べ床面積が3,000㎡以上(学校は8,000㎡以上)で、用途が事務所・店舗・学校等の建物を指します。区は、特定建築物以外でも多数の人が利用する場合は同様に努めるよう促しています。
店舗やオフィスの管理をしている場合、業者選びの基準がそのまま法令対応の話につながります。
行っていません。
区のページには、私有地の場合は居住者や所有者が自身で駆除する必要があり、保健所は衛生害虫等の駆除を行っていないと明記されています。駆除費用の助成もありません。
ありません。
保健所では駆除費用の助成は行っていないとされています。制度を探すより、区が勧めている相見積もりに時間を使うほうが確実です。
なぜその方法なのかを聞いてみてください。
江戸川区は自分の施設について、定期的な建物全体の殺虫消毒からIPMへ切り替えたと公表しています。現在は生息調査を行ってから、発生箇所に範囲を限定して措置する方法です。定期散布が不適切と決まるわけではありませんが、判断材料になります。
義務ではありません。
区が示しているのは区の施設についての方針と、特定建築物の所有者・管理者への呼びかけです。個人宅に義務づけるものではありませんが、業者の提案を評価する視点としては使えます。
できます。
江戸川保健所生活衛生課 環境衛生係(03-3658-3177)で、個人でできる駆除や対策のアドバイス、各種パンフレットの提供を受けられます。
江戸川区はネズミを駆除しませんが、防除の考え方を公表しています。
区は自分の施設で、建物全体への定期的な薬剤散布をやめました。現在は調べてから、範囲を絞って措置する方法です。
見積書を受け取ったら、生息調査・侵入口の補修・薬剤の範囲・効果確認の4点が入っているかを見てください。そのうえで、区が勧めているとおり2社以上を比べれば判断できます。

調査から入って侵入口の補修まで提案する会社かどうかは、問い合わせれば分かります。

