中古住宅のシロアリは買う前に床下を見る|瑕疵保険は対象外、売主の責任は特約次第
中古住宅を買うとき、シロアリがいないか心配になる人は多いはずです。
買ったあとで見つかったら、売主に直してもらえるのかも気になりますよね。
そこで、国土交通省の建物状況調査の基準、瑕疵保険のQ&A、民法と宅建業法の条文を読みました。
分かったのは、買ったあとに責任を問うより、買う前に床下を見るほうが確実だということです。
- 個人間売買の瑕疵保険のQ&Aは「シロアリ被害」を支払い対象外と書いている
- 民法は、売主が責任を負わない特約を認めている。ただし知りながら告げなかった事実は別
- 建物状況調査は床下の「著しい蟻害」を見るが、点検口から顔を入れる程度が想定。点検口がなければ「調査できない」扱い
- やること:重要事項説明で建物状況調査の結果を見る → 床下が「調査できない」ならシロアリの点検を足す → 契約書の特約を確かめる

床下を見られないまま契約が近づいている人は、売主と仲介会社の了承を取って、シロアリの点検を足す方法があります。
中古住宅の瑕疵保険に入っていても、シロアリ被害は支払われないと書かれています。
住宅瑕疵担保責任保険協会の「既存住宅売買かし保険(個人)」のQ&Aには、次の回答があります。
地震や台風、土砂崩れなどの自然災害、シロアリ被害、建物の劣化等については支払い対象になりません。
同じ回答は「詳しくは、住宅瑕疵担保責任保険法人の重要事項説明書や約款を確認下さい」と続けています。
かんたんに言うと、瑕疵保険をあてにして、シロアリの確認を省くことはできません。
保険によって特約があるかどうかは、加入する保険法人の約款で確かめてください。
買ったあとにシロアリが見つかったとき、売主に何を求められるかは、契約の特約と通知の期限で変わります。
以前「瑕疵担保責任」と呼ばれていたものは、いまの民法では「契約の内容に適合しない」ときの責任として書かれています。
中古住宅の売主の責任に関わる条文
| 条文 | 書かれていること |
|---|---|
| 民法562条 | 引き渡された物が契約の内容に適合しないとき、買主は修補などを請求できる |
| 民法566条 | 買主が不適合を知った時から1年以内に売主へ通知しないと、請求できなくなる |
| 民法572条 | 責任を負わない特約をしても、売主が知りながら告げなかった事実については責任を免れない |
| 宅建業法40条 | 宅建業者が自ら売主のときは、通知の期間を引き渡しから2年以上とする特約を除き、買主に不利な特約は無効 |
民法・宅地建物取引業法の条文(e-Gov法令検索)を2026年9月16日に確認しました。表は条文を短くまとめています。
かんたんに言うと、売主が個人か宅建業者かで、特約の効き方が違います。
- 売主が宅建業者:引き渡しから2年以上の期間は守られる
- 売主が個人:責任を負わない特約を結ぶことができる。ただし知っていて告げなかったシロアリ被害は別
ここからは編集部の判断です。契約書に「契約不適合責任を負わない」や期間を短くする特約があるかを、署名の前に確かめてください。 判断に迷うときは、契約前に専門家へ相談するのが確実です。
国の建物状況調査の基準は、床下も含めて「著しい蟻害」があるかを調べると定めています。
国土交通省の「既存住宅状況調査方法基準の解説」は、蟻害を次のように定義しています。
この基準において「蟻害」とは、しろありの蟻道及び被害(複数のしろありが認められることを含む。)をいう。
調べ方は、次のとおりです。
調査者は、前項のほか、同項の表中各号の部位(床下の部分を含む。)について、目視(デジタル技術を活用した方法を含む。)により、著しい蟻害が認められるかどうかを調査するものとする。
ただし、床下をどこまで見るかには限りがあります。解説は、床下の調査を次のように想定しています。
床下の部分の調査については、主として顔又は上半身の一部を点検口に入れる程度の調査を行うことやデジタル機器を活用して調査を行うことを想定している
さらに、点検口がなく調べられない部分は調査を要せず、結果では「調査できない」ものとして扱うと書かれています。調査は原則として非破壊で行います。
かんたんに言うと、建物状況調査で「蟻害なし」でも、床下の奥まで入って見たとは限りません。
ここからは編集部の判断です。結果に「調査できない」部位があったら、そこがシロアリの点検を足す場所です。

建物状況調査の結果で床下が「調査できない」になっていた人は、床下のその部分だけ別に見てもらうと、契約前の不安を減らせます。
中古住宅の重要事項説明では、建物状況調査をしたかどうかと、その結果の概要を説明することになっています。
宅建業法35条は、既存の建物について、建物状況調査を実施しているかどうか、実施していればその結果の概要を、重要事項として説明するよう定めています。
ここからは編集部の判断です。説明を受けるときに、次のことを確かめてください。
- 建物状況調査をしたか。していなければ、契約前にできるか
- 結果に「蟻害」の記載があるか
- 床下に「調査できない」部位があるか。理由は点検口がないのか、家具なのか
- 契約書に、責任を負わない特約や期間を短くする特約があるか
- 売主が個人か宅建業者か
買う前にシロアリの点検を頼むときは、まだ自分の家ではありません。売主と仲介会社の了承を取ってから進めてください。
見つけたら、まず日付と場所を記録して、売主側へ早めに知らせます。
民法566条では、不適合を知った時から1年以内に通知しないと、請求できなくなると書かれています。
ここからは編集部の判断です。次の順で動くと、あとで話がこじれにくくなります。
- 羽アリや蟻道を見つけた日付と場所を、写真で残す
- 契約書の特約と、売主が個人か宅建業者かを確かめる
- 仲介会社を通して、売主へ知らせる
- 被害の範囲を知るために、シロアリの点検を受ける
羽アリがシロアリかどうかは、羽アリはシロアリかクロアリかで見分け方を扱っています。自分から申し込める無料点検は、シロアリの無料点検はどこで頼める?にまとめています。
国の建物状況調査は、床下も含めて著しい蟻害があるかを目視で調べます。ただし床下は点検口から顔や上半身を入れる程度が想定で、点検口がない部分は「調査できない」扱いです。見られなかった部分は、売主の了承を取ってシロアリの点検を足すのが確実です。
いまの民法では、契約の内容に適合しないときに修補などを請求できます。ただし不適合を知ってから1年以内の通知が必要で、個人の売主とは責任を負わない特約を結べます。売主が知りながら告げなかった事実は、特約があっても責任を免れません。
住宅瑕疵担保責任保険協会のQ&Aは、個人間売買の瑕疵保険について「シロアリ被害」を支払い対象外と書いています。特約の有無は、保険法人の約款で確かめてください。
宅建業法40条により、宅建業者が自ら売主のときは、通知の期間を引き渡しから2年以上とする特約を除いて、買主に不利な特約は無効です。
国の基準・保険のQ&A・条文には、費用は書かれていません。予防や駆除の費用の目安は、シロアリ予防費用は40坪でいくら?で公表単価から計算しています。
個人間売買の瑕疵保険はシロアリ被害を支払い対象にせず、売主の責任は特約と通知の期限で変わります。
建物状況調査は床下の蟻害を見ますが、点検口から顔を入れる程度が想定で、見られない部分は「調査できない」になります。
だから、買ったあとに責任を問うより、買う前に床下を見るほうが確実です。
最後に、やることを3つに絞ります。
- 重要事項説明で、建物状況調査の結果と「調査できない」部位を確かめる
- 契約書の特約と、売主が個人か宅建業者かを確かめる
- 床下を見られていなければ、売主の了承を取ってシロアリの点検を足す

契約の前に床下の状態が分かれば、値段の交渉や、買うかどうかの判断に使えます。

