害獣駆除業者の選び方で確かめる書面3つ|火災保険の約款と相談2,290件
害獣駆除の業者を選ぶとき、判断の材料になるのは何でしょうか。
口コミでも、ランキングでも、その場で説明された内容でもありません。あとから確かめられるのは、手元に残る書面だけです。
たとえば「火災保険が使えます」と言われたとします。その言葉が正しいかどうかは、火災保険の約款を見れば分かります。契約している保険の書類に、答えが書いてあります。
害虫・害獣の駆除サービスに関する相談は、2023年度に2,290件寄せられました。前の年の同じ時期と比べて約1.5倍です。
- 確かめる書面は3つ。火災保険の約款・見積書・契約書面
- 火災保険の約款には「ねずみ食い、虫食い等」による損害は支払対象外と書かれている
- 保険金を払うかどうかを決めるのは、駆除業者ではなく保険会社
- 自分でやること:言われたことを1つずつ書面と突き合わせる

書面で確かめると言っても、被害の場所と相手の動物が分からないと、見積書そのものが出てきません。まず見てもらうところからになります。
害獣駆除の業者選びで確かめられるものは、はっきり分かれています。
その場で言われたことは、あとから確かめられません。書面に書かれたことは、あとから確かめられます。
そして害獣駆除では、確かめるべき書面が3つあります。
害獣駆除業者を選ぶときに確かめる3つの書面
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| 書面 | 手に入れる先 | そこで分かること |
|---|---|---|
| ①火災保険の約款 | 契約している保険会社 | どんな損害が支払いの対象外か |
| ②見積書 | 業者 | 作業の内訳と、金額の根拠 |
| ③契約書面 | 業者 | 契約の中身と、解約できる期間 |
かんたんに言うと、1つ目は業者に会う前に手元にあり、2つ目と3つ目は業者からもらうものです。
3つとも、読者が自分で読めます。特別な知識はいりません。
国民生活センターが、駆除サービスに関する相談の件数を公表しています。
駆除サービスに関する相談件数の推移(シロアリ駆除は除いた集計)
| 年度 | 相談件数 |
|---|---|
| 2018年度 | 854件 |
| 2019年度 | 907件 |
| 2020年度 | 972件 |
| 2021年度 | 1,383件 |
| 2022年度 | 1,612件 |
| 2023年度 | 2,290件 |
出典:国民生活センター「ネットの価格と全然違う!?害虫・害獣駆除のトラブルにご注意-若い年代でトラブル急増中!-」(令和6年4月24日)。2026年8月23日確認。
かんたんに言うと、5年で2.7倍に増えています。
2022年度の同じ時期(2023年3月31日までの登録分)は1,568件でした。2023年度の2,290件は、その約1.5倍にあたります。
害獣ごとの件数も出ています
同じ資料に、駆除の対象ごとの件数が載っています。
主な害獣の駆除サービスに関する相談件数(2023年度)
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| 対象 | 2023年度の件数 | 2018年度の件数 |
|---|---|---|
| ネズミ | 385件 | 229件 |
| コウモリ | 114件 | 54件 |
出典:同資料の参考データより。ほかにダニ、トコジラミ、イタチ、ハクビシン、アライグマも駆除対象として挙げられています。2026年8月23日確認。
相談が増える時期は、相手の動物で違います。ネズミは冬(10〜12月)に増え、コウモリは6月ごろから増えて夏(8〜9月)にピークになる傾向があると書かれています。
ネズミの385件について、失敗の中身まで分解した記事があります。詳しくはネズミ駆除業者の失敗は2種類にまとめました。コウモリの業者選びはコウモリ駆除の悪徳業者を見分けるにあります。
ここで押さえるのは件数そのものではありません。相談が増えている以上、業者の言葉を確かめる手段を持っておく必要がある、という点です。
害獣駆除の話で「火災保険が使えます」と言われることがあります。
その言葉が正しいかどうかは、契約している火災保険の約款に書いてあります。
三井住友海上の火災保険では、「保険金をお支払いしない主な場合」として、次のように書かれています。
保険の対象の自然の消耗、劣化、性質による変色、変質、さび、かび、腐敗、ひび割れ、はがれ、発酵、自然発熱、ねずみ食い、虫食い等によってその部分に発生した損害(釘浮き、ゆがみ、ずれ等を含みます。)
※出典:三井住友海上「2022年10月以降始期のご契約 補償内容に関するご案内」。2026年8月23日確認。
かんたんに言うと、ねずみ食いや虫食いでその部分に生じた損害は、保険金の支払対象に入っていないということです。
ただし「害獣被害に保険は一切使えない」という意味ではありません
ここは正確に読む必要があります。
約款が対象外としているのは、ねずみ食いや虫食いによって「その部分に発生した損害」です。害獣が関わるあらゆる出来事を否定しているわけではありません。
そして約款の文言は、保険会社と商品によって違います。上の引用は三井住友海上の1商品のものです。
確かめる先は自分が契約している保険会社です。駆除業者ではありません。
保険金を払うかどうかを決めるのは保険会社です
国民生活センターも、経年劣化による損害について同じことを書いています。
自然の消耗もしくは劣化または性質によるさび等、経年劣化によって生じた損害は支払いの対象とはなりません。
※出典:国民生活センター「保険金で住宅修理ができると勧誘する事業者に注意!-申請サポートを受ける前に、損害保険会社に連絡を 保険金の請求は、加入者ご自身で!!-」(令和3年9月2日)。2026年8月23日確認。
同じ資料には、うその理由で保険金を請求した場合の話も書かれています。保険会社から保険金の返還請求や保険契約の解除をされたり、刑事罰(詐欺罪)に問われるおそれがある、という内容です。
だから駆除業者が「保険が下りる」と言い切ったとしても、その言葉は業者の見立てにすぎません。
保険の話が出たとき、注意する言い方がもう1つあります。
「申請を代行します」「保険金が出るようサポートします」という言い方です。
国民生活センターには、こうした勧誘についての相談が集まっています。
「保険金が使える」と勧誘する住宅修理サービスの相談件数
| 年度 | 相談件数 |
|---|---|
| 2018年度 | 1,759件 |
| 2019年度 | 2,691件 |
| 2020年度 | 5,447件 |
出典:国民生活センター「保険金で住宅修理ができると勧誘する事業者に注意!」(令和3年9月2日)。2020年度は2019年度の2倍以上と記載されています。2026年8月23日確認。
同じ資料の相談事例では、「手数料は40%だが損はない」と言われて契約した例が紹介されています。保険金が下りたら、その40%を業者に支払うという内容の書面でした。
そして国民生活センターは、次のように書いています。
保険金の請求は加入者自身で行うことが基本です。
※出典:同資料の「消費者へのアドバイス」より。2026年8月23日確認。
日本損害保険協会も、契約の順番について注意を出しています。
損害保険会社や代理店へ連絡する前に、問題のある住宅修理業者と契約してしまうと、保険金が支払われず修理代金を自己負担することになったり、高額な解約手数料を要求されるなどのトラブルに巻き込まれてしまうことがあります
※出典:日本損害保険協会「住宅の修理などに関するトラブルにご注意」。2026年8月23日確認。
かんたんに言うと、保険の相談は保険会社に、駆除の相談は駆除業者に、という切り分けになります。
害獣駆除業者を選ぶときの判断材料として使えます。保険の申請代行を持ち出してきた業者は、駆除の話をしていません。
2つ目の書面は見積書です。ここで見るのは金額ではなく、内訳が書かれているかです。
国民生活センターの資料には、こう書かれた事例が載っています。
契約書には、サービス内容は「一式」とだけ記載があった
※出典:国民生活センター「ネットの価格と全然違う!?害虫・害獣駆除のトラブルにご注意」(令和6年4月24日)の相談事例より。2026年8月23日確認。
同じ資料には、契約の形についての説明もあります。見積もりを取るつもりで自宅に訪問してもらい、その場で契約した場合、特定商取引法上の訪問販売に該当する可能性があるという内容です。
訪問販売に該当する場合、業者は契約書面を交付する義務を負います。その書面には役務の種類や数量、価格などを記載する必要があります。
そのうえで、「書面に不備があると思われる事例も見られます」と書かれています。
「該当する可能性がある」であって、必ず該当するわけではありません。判断は個別の状況によります。
害獣駆除で内訳を見る意味
害獣駆除は、作業がいくつもの工程に分かれます。追い出し、清掃、消毒、侵入口の封鎖、断熱材の交換などです。
「一式」と書かれていると、そのうちどれが入っていてどれが入っていないのかが読めません。あとで「それは別料金です」と言われても、書面で反論できなくなります。
金額の公表のしかたを主要9社で確かめた記事があります。詳しくは害獣駆除業者ランキングを公式9社で検証にまとめています。
相見積もりを取るつもりでも契約させられた事例があります
同じ資料の事例5は、コウモリの駆除です。
ホームページには約8,000円からと書かれていました。相談者は相見積もりを取って検討するつもりで連絡しています。ところが訪問した業者に、足場が設置された家を案内されます。「近所のコウモリ駆除もうちがやっている」と言われ、相談者は信用してしまいました。
そして「近所の足場を撤去しこちらに回すから安くなる」と勧められ、約130万円の契約をしています。後日その家に聞きに行ったところ、コウモリ駆除業者など知らないと言われたそうです。
その場で示された話は、その場では確かめられませんでした。近所に聞けば分かることでしたが、聞いたのは契約のあとでした。
3つ目の書面は契約書面です。ここで見るのは、解約について何が書かれているかです。
国民生活センターは、消費者へのアドバイスで次のように説明しています。
特商法上の訪問販売に該当する場合は、契約書面を受取った日から数えて8日以内であればクーリング・オフ(無条件での契約解除)をすることができます。
※出典:国民生活センター「ネットの価格と全然違う!?害虫・害獣駆除のトラブルにご注意」(令和6年4月24日)。2026年8月23日確認。
起算日は契約した日ではなく、契約書面を受け取った日です。だから書面をいつ受け取ったかが記録として残ります。
同じ資料には、もう1つ大事なことが書かれています。
なお、クーリング・オフ期間内に工事が行われたとしても、クーリング・オフをした場合は、無償で元どおりに戻すよう求めることができます。
※出典:同資料。2026年8月23日確認。
かんたんに言うと、作業が終わっていても、期間内なら元に戻すよう求められるということです。
なお、動物によっては駆除そのものに許可が必要です。手順の違いは害獣駆除は「捕まえていいか」で手順が変わるにまとめています。
3つの書面は、見るタイミングが決まっています。
3つの書面を確かめる順番
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| 順番 | 書面 | いつ | 見るところ |
|---|---|---|---|
| 1 | 火災保険の約款 | 業者に連絡する前 | 「保険金をお支払いしない主な場合」の項目 |
| 2 | 見積書 | 業者に来てもらったあと | 作業の内訳。「一式」で終わっていないか |
| 3 | 契約書面 | 契約するとき | 解約についての記載と、受け取った日 |
業者に会う前にやっておく2つ
自分だけでできることが2つあります。
- 火災保険の証券と約款を出して、「保険金をお支払いしない主な場合」を読んでおく
- 天井裏の音、糞、匂いなど、気づいたことを日付と一緒にメモしておく
1つ目をやっておくと、「保険が使えます」と言われたときに自分の契約と突き合わせられます。
2つ目は見積書の内訳を読むときに効きます。どの場所の作業なのかが自分で分かるようになります。
業者に会ってから聞く4項目
見積書を受け取ったら、次の4つを聞きます。
- 見積書の各項目に、追い出し・清掃・消毒・封鎖のどれが入っているか
- 入っていない作業がある場合、その費用はいくらか
- 保証の年数と、保証の対象になる範囲
- 契約書面はいつ渡してもらえるか
1つ目と2つ目はセットで聞きます。「入っているもの」だけを聞くと、入っていないものが見えません。
4つ目は解約できる期間の起算日に関わります。受け取った日から数えるので、渡される日を先に確認しておきます。

同じ内訳を出してくれる2社目がないと、受け取った見積書が妥当なのかを判断できません。同じ4つを投げる相手として使えます。
契約している保険の約款によります。三井住友海上の火災保険では「ねずみ食い、虫食い等によってその部分に発生した損害」は支払いの対象外と書かれています。ただし約款の文言は保険会社と商品で違います。確かめる先は自分が契約している保険会社であって、駆除業者ではありません。
国民生活センターは「保険金の請求は加入者自身で行うことが基本です」と書いています。手数料として保険金の40%を求められた事例も公表されています。日本損害保険協会も、保険会社や代理店へ連絡する前に業者と契約するとトラブルになることがあると注意を出しています。
書面で確かめられるかどうかです。口コミの星の数や「地域No.1」といった表示は、読者が裏を取れません。一方、見積書の内訳と契約書面の記載は、その場で読んで確かめられます。
内訳を出してもらってください。国民生活センターの資料には、サービス内容が「一式」とだけ記載されていた事例が載っています。書面に不備があると思われる事例も見られる、とも書かれています。害獣駆除は追い出し・清掃・消毒・封鎖と工程が分かれるので、どれが含まれるかが読めない書面では比較ができません。
特定商取引法上の訪問販売に該当する場合は、契約書面を受け取った日から数えて8日以内であればクーリング・オフができると国民生活センターが説明しています。期間内に工事が行われたとしても、無償で元どおりに戻すよう求めることができるとも書かれています。判断に迷う場合は、下の相談窓口を使ってください。
3つあります。消費生活全般については消費者ホットライン「188」が全国共通の番号です。保険金をめぐる勧誘については日本損害保険協会の「保険金に関する災害便乗商法 相談ダイヤル」0120-309-444(午前9〜12時、午後1〜5時。月〜金、祝日と協会の休業日を除く)があります。保険会社とのやり取りについてはそんぽADRセンター 03-4332-5241(午前9時15分〜午後5時。月〜金、祝日・休日および12月30日〜1月4日を除く)が受け付けています。
害獣駆除業者を選ぶとき、確かめられるものと確かめられないものがあります。
その場で言われたことは確かめられません。手元に残る書面は確かめられます。
火災保険の約款には「ねずみ食い、虫食い等によってその部分に発生した損害」は支払いの対象外と書かれていました。保険金を払うかどうかを決めるのは保険会社です。
「申請を代行します」という話については、国民生活センターが「保険金の請求は加入者自身で行うことが基本です」と書いています。手数料40%の事例も公表されています。
見積書は金額ではなく内訳を見ます。契約書面は解約についての記載と、受け取った日を見ます。
駆除サービスの相談は2023年度に2,290件で、前年同期の約1.5倍でした。相談が増えているからこそ、業者の言葉を書面で確かめる手段が要ります。
最後に、やることを3つに絞ります。
- 業者に連絡する前に、火災保険の約款の「保険金をお支払いしない主な場合」を読む
- 見積書をもらったら、追い出し・清掃・消毒・封鎖のどれが入っているかを確かめる
- 契約書面を受け取った日を控えておく

3つの書面のうち、最初にそろうのは見積書です。1枚目が手元に来ないと、比べることも確かめることも始まりません。

