ニホンイタチは絶滅危惧種?国のリストには無く17都府県が県のリストに掲載
ニホンイタチは、日本にもとからいるイタチです。
調べると「絶滅危惧種」と書いたページと、「ふつうにいる動物」と書いたページの両方が出てきます。どちらが正しいのか、分かりにくいですよね。
そこで、環境省のレッドリストと、都道府県のリストをまとめた検索システムを確かめました。確認したのは2026年10月12日です。
分かったのは、国のリストには載っていないことです。ただし、17の都府県が県のリストに載せていました。
- 環境省のレッドリスト2020に、ニホンイタチは載っていない
- 県のリストに載せているのは17都府県。そのうち13は近畿から西
- もとからいるのは本州・四国・九州と周りの島。北海道や沖縄には人が持ち込んだ
- 外来のシベリアイタチとは、尾の長さの割合で分けられる。捕まえるには許可が要る

天井裏の音やフンがイタチかどうかを確かめたい人は、出入りしている場所を見てもらうところから頼めます。
環境省のレッドリスト2020の哺乳類に、ニホンイタチの名前はありません。
レッドリストは、絶滅のおそれがある生き物を国がまとめた一覧です。哺乳類のページを最初から最後まで見ましたが、ニホンイタチはどの区分にもありませんでした。
イタチの仲間で載っているのは、シベリアイタチです。区分は「絶滅危惧IB類」です。
※出典:環境省「環境省レッドリスト2020」別添資料3(2026年10月12日確認)
載っているシベリアイタチは、対馬にもとからいるものです
シベリアイタチは、西日本の町なかに多い外来のイタチです。その動物が国のリストに載っているのは、ふしぎに見えます。
理由は、長崎県の対馬にあります。国立環境研究所は、シベリアイタチのもとからの分布に対馬を入れています。対馬のものは外来ではありません。
かんたんに言うと、次のとおりです。
- ニホンイタチ:国のリストには無い。県のリストには載っている
- シベリアイタチ:対馬にもとからいるものが、国のリストに載っている。本州や九州にいるものは外来
いちばん重い区分に入れているのは、大阪・奈良・岡山・佐賀・熊本の5府県でした。
都道府県は、それぞれ自分の県のレッドリストを作っています。全国のリストをまとめた「日本のレッドデータ検索システム」で、ニホンイタチ(ホンドイタチ)を調べました。
ニホンイタチを県のリストに載せている17都府県(2026年10月12日確認)
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| 区分 | 都府県 | 数 |
|---|---|---|
| 絶滅危惧II類 | 大阪、奈良、岡山、佐賀、熊本 | 5 |
| 準絶滅危惧 | 神奈川、鳥取、島根、広島、香川、福岡、宮崎 | 7 |
| 情報不足 | 山梨、長崎 | 2 |
| 県独自の区分 | 栃木(要注目)、東京(区部のみ指定)、鹿児島(分布特性上重要な種) | 3 |
出典:NPO法人野生生物調査協会・NPO法人Envision環境保全事務所「日本のレッドデータ検索システム」。区分は検索システムの分け方です。県のリストは改訂のたびに変わるので、最新の区分は各県のページで確かめてください。
かんたんに言うと、47都道府県のうち17が載せていて、絶滅危惧II類と準絶滅危惧を合わせると12府県です。
17のうち13は、近畿から西の府県です
載せている都府県を、地図の上で分けてみます。
- 近畿から西:大阪、奈良、鳥取、島根、岡山、広島、香川、福岡、佐賀、長崎、熊本、宮崎、鹿児島の13
- 関東と山梨:栃木、東京、神奈川、山梨の4
- 北海道、東北、北陸、東海:0
国立環境研究所は、シベリアイタチが入りこんだ地域を「福井県・岐阜県・愛知県以西の沖縄を除く西日本」と書いています。
ここからは編集部の見立てです。ニホンイタチを心配している県は、シベリアイタチが広がった地域とほぼ重なっています。 13の府県は、どれもこの範囲に入ります。
関東の4都県は、この範囲の外です。東京都は区部だけを指定しています。関東では、外来のイタチとは別の理由があると考えられます。
もとからいるのは、本州・四国・九州と、その周りの島です。
国立環境研究所は、ニホンイタチのもとからの分布を次のように書いています。
本州,四国,九州といくつかの周辺島嶼(佐渡島,伊豆大島,隠岐,小豆島,壱岐,屋久島,種子島など)
※出典:国立環境研究所「侵入生物データベース ニホンイタチ」(2026年10月12日確認)
すむ場所は、おもに平野です。ただし、西日本ではおもに山あいにすむ、と同じページに書かれています。
食べ物は、カエル、ネズミ、鳥、虫、エビやカニの仲間、魚です。
北海道と沖縄のニホンイタチは、人が持ち込みました
北海道や沖縄にもニホンイタチはいます。ただし、もとからいたわけではありません。
国立環境研究所によると、持ち込まれた理由は2つです。
- ネズミを減らすため
- 毛皮をとるため
北海道に入ったのは1880年代です。ネズミを減らす目的では、1925年から1927年のトカラ列島が最初でした。
持ち込まれた先では、小さな哺乳類やトカゲ、ヘビ、鳥を食べてしまいます。そのため、ニホンイタチは「日本の侵略的外来種ワースト100」にも入っています。
かんたんに言うと、同じ動物が、ある県では守る対象で、ある島では困りものです。

本州では県が心配する動物なのに、島では在来の生き物を食べる外来種です。「絶滅危惧種かどうか」は、場所を決めないと答えが出ません。
原因は、はっきり決まっていません。
国立環境研究所は、シベリアイタチの影響として「ニホンイタチとの競合」を挙げています。同じ場所で食べ物やすみかを取り合う、という意味です。
ただし、同じページに別の説も書かれています。
競合ではなく,都市化の結果としてニホンイタチの減少と本種の分布拡大が生じたという説もある
※出典:国立環境研究所「侵入生物データベース チョウセンイタチ」(2026年10月12日確認)
まとめると、説明は2つです。
- シベリアイタチに場所を取られた
- 町が広がってニホンイタチが減り、空いた場所にシベリアイタチが広がった
香川県は「詳細は不明」と書いています
香川県は、ニホンイタチを準絶滅危惧にしています。選んだ理由は「近年の分布域が減少している」です。
原因については、シベリアイタチが分布を広げてニホンイタチの分布をせばめているとされる、と書いたうえで、こう続けています。
河川では同所的に確認されている場合もあり,詳細は不明。
※出典:香川県「香川県レッドデータブック2021」哺乳類(2026年10月12日確認)
かんたんに言うと、川では2種が同じ場所で見つかることもあり、追い出されたとは言い切れない、ということです。
ここからは編集部の見立てです。「シベリアイタチのせいで絶滅しそう」と言い切っているページは、資料より強く書いています。 資料が書いているのは「そう考えられる」までです。
ニホンイタチの尾は体の40%ほど、シベリアイタチは50%以上です。
国立環境研究所の2つのページから、数字を並べました。
ニホンイタチとシベリアイタチの違い(国立環境研究所の記述)
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| 項目 | ニホンイタチ | シベリアイタチ |
|---|---|---|
| 尾の長さ÷頭と胴の長さ | 40%程度。50%をこえない | 50%以上 |
| 頭と胴の長さ(オス) | 27〜37cm | 28〜39cm |
| 頭と胴の長さ(メス) | 16〜25cm | 25〜31cm |
| 体重(オス) | 290〜650g | 650〜820g |
| 目のまわりの毛 | 灰色 | 胴体と同じ色 |
| もとからの分布 | 本州、四国、九州と周りの島 | 大陸、朝鮮半島、台湾、対馬 |
出典:国立環境研究所「侵入生物データベース」のニホンイタチとチョウセンイタチのページ(2026年10月12日確認)
かんたんに言うと、尾が体の半分より長ければシベリアイタチ、短ければニホンイタチが目安です。
見ただけで決めるのは、むずかしいです
オスの体の長さは、2種でほとんど同じです。重さも650gのところで重なります。
香川県のレッドデータブックは、尾の割合について「2種で重複する場合がある」と書いています。
走っている1匹を見て決めるのは、むずかしいと考えてください。頭の色や大きさでの見分け方は、テンとイタチの違いにまとめています。足跡から調べたい人は、イタチの足跡か猫かは爪痕で分かりますを見てください。
どちらのイタチでも、許可なく捕まえることはできません。
国立環境研究所は、シベリアイタチの影響に「家屋への侵入」を挙げています。ニホンイタチのページには、家への侵入は書かれていません。
ここからは編集部の見立てです。西日本で天井裏に入るイタチは、シベリアイタチのことが多いと考えられます。ただし、見ただけでは決められません。
法律では、狩猟できるのはニホンイタチのオスと、対馬以外のシベリアイタチです。ニホンイタチのメスは、狩猟の対象ではありません。 狩猟には免許と期間の決まりもあります。
家の被害で捕まえるときは、市町村などの許可が要ります。くわしい手順は、イタチを見たらどうする?に書いています。
やることを並べます。
- 捕まえない、わなを置かない。許可が要る
- フンや足跡の場所を見て、出入りしている入口を探す
- いない時に入口をふさぐ。3cmほどのすき間で出入りする
- 入口が高い所や床下なら、業者に見てもらう

イタチの種類を決めなくても、入口をふさげば止まります。入口がどこか分からない人、高くて届かない人は、ふさぐ場所を調べるところから頼めます。
環境省のレッドリスト2020には載っていません。ただし、17の都府県が県のリストに載せています。大阪、奈良、岡山、佐賀、熊本の5府県は絶滅危惧II類です。
もとからいるのは、本州、四国、九州と、佐渡島や屋久島などの周りの島です。北海道や沖縄の島にもいますが、人が持ち込んだものです。
尾の長さの割合がちがいます。ニホンイタチは体の40%ほど、シベリアイタチは50%以上です。ただし、重なる場合があると香川県の資料は書いています。チョウセンイタチは、シベリアイタチの別の呼び名です。
全身が山吹色で、額から鼻にかけて濃い茶色の模様があります。オスとメスで大きさが大きくちがい、オスの頭と胴は27〜37cm、メスは16〜25cmです。
はっきり決まっていません。シベリアイタチに場所を取られたという説明と、町が広がったためという説明があります。香川県は「詳細は不明」と書いています。
野生のイタチを捕まえるには、狩猟の決まりか、市町村などの許可にしたがう必要があります。飼う目的で自由に捕まえることはできません。くわしくは、住んでいる都道府県の鳥獣の担当に確かめてください。
家や畑に被害があるときは、許可を受けて捕まえる道があります。メスは狩猟の対象ではないので、狩猟の期間でも捕まえられません。まずは入口をふさぐことを考えてください。
ニホンイタチは、環境省のレッドリスト2020に載っていません。県のリストに載せているのは17都府県で、そのうち13は近畿から西でした。
もとからいるのは、本州、四国、九州と周りの島です。北海道や沖縄では、人が持ち込んだ外来種として扱われています。
減った原因は、資料でも決まっていません。「絶滅危惧種かどうか」は、国か県か、どの場所かで答えが変わります。
家にイタチが出たときにやることは、3つです。
- 捕まえない。わなも置かない
- フンと足跡から入口を探す
- いない時にふさぐ。届かない所は業者に見てもらう

入口は1か所とは限りません。家のまわりを一度見てもらうと、ふさぐ場所の数が分かります。

