ネズミ駆除業者は意味ない?新宿のビルのクマネズミは82%が薬に強かった
「ネズミ駆除を業者に頼んでも意味がない」という声があります。
その一部には、根拠があります。殺鼠剤が効かないクマネズミが実在するからです。
しかも、どれくらいの割合でいるのかが測られています。ビルの中に住むクマネズミのうち、新宿では82%が薬に強い個体だったという報告があります。
ただし、この事実から出てくる結論は「頼んでも無駄」ではありません。「薬だけで終わらせる駆除は効かないことがある」です。
- 薬が効かないクマネズミは実在する。ビル内の割合は新宿82%・蒲田30%・池袋18%と報告されている
- 薬が効く個体は1週間前後で死ぬが、強い個体は160日かかった例がある
- 効く薬はある。ただし食べてもらえなければ効かない
- 自分でやること:薬を何回撒くかではなく、どこをふさぐかで見積もりを比べる

自宅のネズミが薬に強いかどうかは、置いてみるまで分かりません。先に床下と天井裏を見てもらうという入り方もあります。
「効かなかった」と感じる理由は、大きく3つに分かれます。
「意味なかった」と感じる3つの理由
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| 感じた理由 | 根拠があるか | この記事で扱う範囲 |
|---|---|---|
| 薬が効かなかった | 調査で確認されている | この記事の主題 |
| 駆除したのに戻ってきた | 公的な相談データがある | 別記事で扱っている |
| 表示額と実際の金額が違った | 公的な相談データがある | 別記事で扱っている |
かんたんに言うと、1つ目だけが「効き目そのもの」の話です。
2つ目と3つ目は、契約と工程の話になります。失敗の中身を分解した記事があるので、詳しくはネズミ駆除業者の失敗は2種類を読んでください。
この記事では1つ目だけを扱います。薬がどれくらい効かないのか、という話です。
殺鼠剤を食べても死なないクマネズミがいます。
害虫防除の会社の研究所が、東京周辺のネズミを調べた報告があります。
ビル内に生息する抵抗性クマネズミの割合は場所によって大きく異なり、新宿で82%、池袋で18%、蒲田30%であった
※出典:谷川力(イカリ消毒株式会社技術研究所)「東京周辺のネズミの殺鼠剤抵抗性はどうなっているか」東京都ペストコントロール協会 機関誌『Pest Control TOKYO』第70号。2026年8月23日確認。同報告が引用している調査は1993年と2002年のものです。
ビル内に生息するクマネズミのうち、薬に強い個体の割合
| 場所 | 割合 |
|---|---|
| 新宿 | 82% |
| 蒲田 | 30% |
| 池袋 | 18% |
出典:同報告より。ビル内に生息する個体についての数字で、住宅での割合ではありません。1993年と2002年の調査であり、現在の割合を示すものではありません。
かんたんに言うと、場所によって大きく違います。新宿と池袋で4倍以上の開きがあります。
「新宿だから危ない」という話ではありません。同じ都内でも、隣の街で数字がまったく違うということです。
「薬に強い」とはどういうことか
正式には抵抗性と呼ばれます。血を固まりにくくするタイプの殺鼠剤を食べても、死ななくなった性質のことです。
俗にスーパーラットとも呼ばれます。
東京都も、市販の殺そ剤について「クマネズミに効きにくい」と書いています。都の資料の内容は東京都のネズミ駆除にまとめました。この記事で見ているのは、その「効きにくい」がどれくらいなのかという中身です。
同じ報告に、実際の数字が出ています。
薬が効くクマネズミと、薬に強いクマネズミの比較
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| 項目 | 薬が効く個体 | 薬に強い個体(新宿で捕獲) |
|---|---|---|
| 死ぬまでの日数(平均) | 1週間前後 | 160日 |
| 必要だった薬の量 | 40g前後 | 1,500g近く |
| いちばん長かった例 | 記載なし | 441日/約3,500g |
出典:前掲の報告より。薬が効く個体は奄美大島や小笠原父島で捕獲したもので、比べるための基準として使われています。薬の量は体重100グラムあたりに直した数値(g/100g Body weight)で、そのまま食べた総量ではありません。2026年8月23日確認。
かんたんに言うと、1週間で死ぬ個体と、160日かかる個体がいます。
報告には、いちばん長かった例についてこう書かれています。
さらに、最長日数では441日、致死薬量は約3,500gと1年以上も殺鼠剤を食べ続けた
※出典:前掲の報告より。2026年8月23日確認。
1年以上、毒餌を食べながら生きていたということです。
家庭で市販品を1袋置いて、1週間たっても変化がなかったとします。その時点では、効かなかったのかどうかがまだ分かりません。強い個体なら、もっと長くかかるからです。
「しばらく薬をやめれば元に戻る」と考えたくなりますが、報告はそう書いていません。
抵抗性因子は、20年近くも殺鼠剤の使用を止めたにもかかわらず、同じレベルの抵抗性の比率を維持している。すなわち、抗凝血性殺鼠剤の使用頻度が高いほど、その因子を継続して維持している可能性が高い。
※出典:前掲の報告より。2026年8月23日確認。
かんたんに言うと、20年近く薬を使わなかった場所でも、強い個体の割合は下がっていませんでした。
同じ報告には、この性質が遺伝することも書かれています。親から子へ受け継がれるということです。
ただし「使用頻度が高いほど維持している可能性が高い」という書き方です。断定はされていません。
ここが、この報告でいちばん実務的な部分です。
強い個体に効く薬は、すでにあります。
現在でも抵抗性ネズミに効果のある薬剤は、ジフェチアロール製剤として市販されている
※出典:前掲の報告より。2026年8月23日確認。
それなのに効かないことがあるのは、別の理由です。
しかし、クマネズミがおいしく食べてもらえる殺鼠剤は存在しない。いかに食べてもらえるかの工夫ができるか否かが問題である。
※出典:前掲の報告より。2026年8月23日確認。
同じ報告は、その前提もはっきり書いています。
殺鼠剤は、ネズミに食べてもらうか、グルーミングの習性を利用して間接的にでも口から入らないと効果がないことは周知の事実である
住環境やビル等では周囲においしい食べ物がある。そのおいしい食べ物の魅力に勝つような殺鼠剤の開発は、最も難しいことも理解しなければならない
※出典:前掲の報告より。グルーミングとは、ネズミが体をなめて毛づくろいする習性のことです。2026年8月23日確認。
かんたんに言うと、家の中にもっとおいしい食べ物があれば、毒餌は選ばれません。
だから薬の種類より先に、家の中の食べ物をどうするかが効いてきます。
なお、ふさぐ場所が何か所あるかで金額が変わる話は、一軒家のネズミ駆除の費用にまとめています。
同じ報告に、業界側の考え方が書かれています。
我々PCOはIPMの理念を基に施工する。この中には殺鼠剤が中心では無く、環境的対策を中心に行うことが重視されている。
※出典:前掲の報告より。PCOは害虫や害獣の防除を行う事業者を指す呼び方です。IPMは、薬に頼りきらず環境を変えて総合的に抑える考え方を指します。2026年8月23日確認。
かんたんに言うと、「薬を撒いて終わり」は業界の標準ではありません。
だから読者が決めるのは「業者に頼むかどうか」ではありません。どういう作業をする業者に頼むかです。
見積書のどこを見るか
| 書かれていること | 読み取れること |
|---|---|
| 薬剤の散布・設置だけ | 食べてもらえなければ結果が出ない可能性がある |
| 侵入口の封鎖の箇所数 | 戻ってくる経路を減らす作業が入っている |
| 清掃・整理の指導や作業 | 毒餌より魅力的な食べ物を減らす作業が入っている |
| 効果の確認と再訪問 | 効いたかどうかを見に来る工程がある |
害虫防除の業界で重視されている考え方をもとに、編集部が整理しました。
薬の項目しかない見積書は、この報告の考え方からは外れています。

家の中の食べ物や隙間をどう変えるかは、間取りを見ないと決まりません。作業の中身を書き出してもらうところから始められます。
薬の扱いについて、先に聞いておく項目です。
- 使う薬の名前と、抵抗性のあるネズミに効くものかどうか
- 薬を置いたあと、効いたかどうかを確認しに来るか。来るなら何日後か
- 効かなかった場合、次にどうするか。追加の費用がかかるか
1つ目は、薬の名前を聞くだけで足ります。強い個体に効く薬は市販されているので、その薬を使うかどうかは答えられるはずです。
2つ目が今回いちばん大事です。効く個体でも1週間前後かかります。置いて帰るだけの作業では、効いたかどうかが誰にも分かりません。
3つ目は、想定どおりにいかなかったときの話です。先に決めておかないと、追加費用の話が後から出てきます。
見積書そのものの読み方は、害獣駆除業者の選び方で確かめる書面3つにまとめています。
薬だけで終わる作業なら、効かないことがあります。殺鼠剤が効かないクマネズミが実在し、ビル内での割合は新宿で82%と報告されているためです。ただし業界側は「殺鼠剤が中心では無く、環境的対策を中心に行うことが重視されている」としています。作業の中身で判断してください。
理由は2つ考えられます。1つは薬に強い個体であること。もう1つは、家の中にもっとおいしい食べ物があって毒餌が選ばれていないことです。報告には「クマネズミがおいしく食べてもらえる殺鼠剤は存在しない」と書かれています。
置いただけでは分かりません。割合が報告されているのはビル内で捕獲した個体についてで、住宅の数字ではありません。自宅の個体がどちらかは、この資料からは判断できません。
あります。報告には「抵抗性ネズミに効果のある薬剤は、ジフェチアロール製剤として市販されている」と書かれています。ただし食べてもらえなければ効きません。
報告はそう書いていません。「20年近くも殺鼠剤の使用を止めたにもかかわらず、同じレベルの抵抗性の比率を維持している」とあり、この性質は遺伝するとも書かれています。
そのまま当てはめることはできません。数字はビル内で捕獲した個体についてのもので、調査も1993年と2002年のものです。同じ報告でも池袋は18%で、場所によって大きく異なるとされています。
「ネズミ駆除業者は意味ない」という言葉には、根拠のある部分があります。
殺鼠剤が効かないクマネズミは実在します。ビル内での割合は新宿82%・蒲田30%・池袋18%と報告されました。ただし調査は1993年と2002年のもので、現在の数字ではありません。
薬が効く個体は1週間前後で死にますが、強い個体では160日かかった例があります。いちばん長い例は441日で、1年以上も殺鼠剤を食べ続けたと書かれています。
強い個体に効く薬はあります。それでも「おいしく食べてもらえる殺鼠剤は存在しない」とされており、家の中に別の食べ物があれば選ばれません。
だから業界側も、殺鼠剤が中心ではなく環境的対策を中心に行うことが重視されているとしています。
意味がないのは業者ではなく、薬だけで終わらせる駆除のほうです。
最後に、やることを3つに絞ります。
- 見積書に薬の項目しかないなら、封鎖と清掃が入るか聞く
- 薬を置いたあと、何日後に確認しに来るかを決めておく
- 効かなかった場合の次の手と、追加費用の有無を先に聞く

どこをふさぐか、何を片づけるかは、間取りと使い方を見ないと決まりません。薬の話ではなく家の話として相談できます。

