ラットサインとは|黒い汚れ・ふん・足跡の見分け方と、保健所が書く掃除の方法
壁のすみに、黒い筋のような汚れがある。
調べると「ラットサイン」という言葉が出てきます。でも、汚れのことなのか、ふんや足跡も入るのか、サイトによって説明が違いますよね。
そこで、東京都や区・市が出している資料を8つ読みました。確認したのは2026年10月6日です。
分かったのは、ラットサインの範囲が資料によって2通りあることです。掃除の方法も、保健所の書き方は思ったより軽いものでした。
- ラットサインは、ネズミが活動した跡のこと。黒い汚れだけを指す資料が3つ、ふんや足跡まで含める資料が5つあった
- 黒い汚れの正体は、ネズミの体から出る脂と汚れ。同じ道を通るので黒光りする
- 掃除は、東京都の保健所が「消毒するなら消毒用アルコールでふき取る程度」と書いている
- 自分でやること:写真を撮る → 近くのすき間を探す → 拭き取る → すき間をふさぐ

黒い汚れが何か所もあって、どこから入っているのか見当がつかない人は、家を見てもらうところから始められます。
ラットサインは、ネズミが家の中を動いたときに残る跡をまとめた呼び名です。
東京都の資料は、次のように書いています。
ラットサインの種類は、音、齧り跡、糞、足跡、からだのこすり跡などである
※出典:東京都保健医療局「東京都ねずみ防除指針」第三部(2026年10月6日確認)
ただし、何をラットサインと呼ぶかは資料でそろっていません。8つの資料を同じ項目で並べます。
公的資料8つは、何をラットサインと呼んでいるか(2026年10月6日確認)
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| 資料 | 黒い汚れ | ふん | かじり跡 | 足跡 | 音 |
|---|---|---|---|---|---|
| 東京都ねずみ防除指針 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 東京都多摩府中保健所の冊子 | ○ | ○ | ○ | 記載なし | 記載なし |
| 横浜市港北区 | ○ | ○ | 記載なし | ○ | 記載なし |
| 川崎市のチラシ | ○ | ○ | 記載なし | ○ | 記載なし |
| 新宿区 | ○ | ○ | ○ | 記載なし | 記載なし |
| 千葉市 | ○ | 記載なし | 記載なし | 記載なし | 記載なし |
| 江東区 | ○ | 記載なし | 記載なし | 記載なし | 記載なし |
| 渋谷区 | ○ | 記載なし | 記載なし | 記載なし | 記載なし |
各自治体の公式ページと資料を編集部が読み、ラットサインという言葉の説明に入っているものに○を付けました。新宿区は「等」、川崎市は「など」と書いており、表に無い跡を外しているわけではありません。
かんたんに言うと、8つすべてに入っているのは黒い汚れだけです。
ラットサインは汚れのことですか
せまい意味では汚れ、広い意味では跡の全部です。
千葉市・江東区・渋谷区の3つは、黒い汚れそのものをラットサインと呼んでいます。千葉市の書き方は次のとおりです。
ネズミの通り道は、汚れや油などが付着して黒くなることがあります。これを“ラットサイン”と呼びます。
※出典:千葉市「ネズミの種類、ネズミによる被害とその対策」(更新日2022年8月3日、2026年10月6日確認)
残りの5つは、ふんやかじり跡も合わせてラットサインと呼んでいます。
ここからは編集部の見立てです。どちらの意味で使われていても、最初に探すものは黒い汚れで変わりません。8つの資料すべてが挙げているからです。
足跡もラットサインに入りますか
入ると書いた資料が3つあります。
東京都の指針、横浜市港北区、川崎市の3つです。横浜市港北区は「糞や足跡もラットサインとなります」と書いています。
新宿区は、足跡を探し方として紹介しています。床に小麦粉をうすくまいて、足跡から通り道を見つける方法です。
黒い汚れは「こすり跡」と呼ばれ、ネズミの体がこすれてできます。
東京都の指針は、でき方を次のように説明しています。
足跡やこすり跡は、ねずみの体から分泌される脂分と汚れが、ねずみの通り道に付着してできるもので、特有の黒光りした跡となる。
※出典:東京都保健医療局「東京都ねずみ防除指針」第三部(2026年10月6日確認)
黒くなるまで付くのには理由があります。東京都多摩府中保健所は、ネズミは決まった通り道を通ることが多いと書いています。同じ場所を何度もこするので、色が濃くなります。
渋谷区は、ネズミが壁ぎわや物かげを体が触れるようにして動くと説明しています。黒い汚れが壁のすみや柱に付くのは、この動き方のためです。
ネズミの種類で、跡の付き方が違います
横浜市港北区は、2種類のネズミで跡を書き分けています。
ネズミの種類と通り道の跡(横浜市港北区の説明)
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| ネズミ | 通り道 | 跡の見え方 |
|---|---|---|
| クマネズミ | 梁や柱を好んで渡り歩く | 体の脂と汚れで黒光りする |
| ドブネズミ | 地面 | 踏み固められて光沢が見られる |
出典:横浜市港北区「ネズミについて」(更新日2025年6月11日、2026年10月6日確認)
家の中の高い場所に黒い汚れがあれば、クマネズミを疑う材料になります。種類の見分け方は家に出るネズミの種類は3つにまとめています。
探す場所は、水まわりの配管と、ふだん見ない家具の裏です。
東京都の指針は、とくに大事な場所を挙げています。
- 天井裏
- 台所・トイレ・浴室の、配管が壁や床を通る部分
- 換気扇のすき間
- 押入れや棚の中
- 外壁に開いている部分
- 床下
東京都多摩府中保健所の冊子には、冷蔵庫の後ろ、タンスの後ろ、電子レンジの上でふんが見つかった写真が載っています。
見つからないときの方法
黒い汚れが見つからないときは、足跡を出させる方法があります。
新宿区は、床に小麦粉をうすくまいて、足跡から通り道を見つける方法を紹介しています。
新宿区が書いているのは、まくところまでです。進め方は編集部が次の3つにまとめました。
- 寝る前に、壁ぎわの床へ小麦粉をうすくまく
- 朝、粉の上に足跡が付いていないかを見る
- 足跡が向かう先の壁やすき間を調べる
小麦粉はネズミの餌にもなります。確かめ終わったら、その日のうちに片付けてください。
ふんから探す方法はねずみのふんは大きさより場所で見ますに、かじり跡から探す方法はネズミのかじった跡がある袋は食べられる?に書いています。
東京都の保健所は、消毒に神経質になる必要はないと書いています。
ふんが落ちていた場所や、ネズミが歩いた場所は消毒したほうがいいのか。東京都多摩府中保健所は、この質問に次のように答えています。
あまり神経質になる必要はありません。もし消毒するなら消毒用アルコールでふき取る程度でよいでしょう。
※出典:東京都多摩府中保健所「ねずみ対策」の冊子(2026年10月6日確認)
ただし、例外が1つ書かれています。調理台、食器、調理器具です。食べ物が汚れるおそれのある場所と道具は、よく洗って消毒するよう書かれています。
掃除について書いた公的な資料を3つ並べます。
ネズミの跡の掃除と消毒について、公的な資料が書いていること
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| 資料 | 掃除機 | 消毒 |
|---|---|---|
| 東京都多摩府中保健所 | 記載なし | 消毒するなら消毒用アルコールでふき取る程度 |
| 岡山市保健所のチラシ(2013年1月発行) | ダニが人を刺すことがあるので念入りにかける | ふんを取ったあと、心配ならアルコールスプレーなど |
| アメリカCDC(2024年4月8日更新) | 使わない。ほうきで掃くのも避ける | 消毒液でしっかりぬらし、5分おいてから拭き取る |
各資料を2026年10月6日に確認しました。CDCはアメリカ疾病予防管理センターです。
「掃除機は使わない」は、アメリカの資料の書き方です
掃除機については、日本の資料とアメリカの資料で書き方が逆になっています。
CDCが掃除機を避けるよう書く理由は、ウイルスを含む細かい粒が空気中に舞うからです。
神奈川県は、ハンタウイルス肺症候群という病気について、ネズミなどの排せつ物を含むほこりを吸って感染すると説明しています。そのうえで、日本国内では患者の報告がないと書いています(更新日2026年7月22日)。
ここからは編集部の判断です。日本の保健所の書き方にならえば、掃除を怖がる必要はありません。 それでも、ふんや汚れをぬらしてから拭く方法には手間がほとんどかかりません。迷ったら、ぬらして拭くほうを選んでください。
黒い汚れの落とし方は、公的な資料に書かれていません
黒いこすり跡そのものを落とす方法は、読んだ資料のどれにも書かれていませんでした。
書かれているのは、跡を手がかりにして入口を探すことです。拭き取る前に、写真を撮って場所を残してください。
編集部が勧める順番は次のとおりです。保健所とCDCの書き方を合わせたものです。
- 汚れとふんの写真を撮り、場所をメモする
- 使い捨ての手袋をはめる
- 消毒用アルコールをふきかけてぬらす
- 紙でふき取り、袋に入れて口をしばる
- 調理台や食器の近くなら、洗ってから消毒する
- 手袋を外して、手を洗う
拭いた場所がまた黒くなるなら、ネズミが今も通っていると考えられます。この見方は編集部の見立てで、資料に書かれたものではありません。
跡の近くにあるすき間が、出入り口の候補です。
東京都多摩府中保健所は、ラットサインの近くにすき間があれば、ネズミが出入りに使っている可能性が高いと書いています。
冊子には実例も載っています。通気口の格子が1本取れていて、近くの配線にかじり跡がありました。保健所は、この通気口をふさぐよう書いています。
ふさぐ材料として挙げられているのは、金属タワシ、きっこう金網、外壁用のパテです。
粘着シートは、黒い汚れのある壁ぎわに置きます
わなを置く場所も、ラットサインで決まります。
江東区と渋谷区は、粘着シートを黒い汚れのある場所に置くよう書いています。渋谷区は4、5枚をつなげて置くとしています。
シートの上に餌を置かないことも、複数の資料が書いています。置き方はネズミの粘着シートは餌を置くと逃げられますにまとめました。毒エサを置く前に考えることはデスモアを食べたネズミはどこで死ぬ?に書いています。
自分でふさげない場所があります
東京都多摩府中保健所は、天井裏や高い場所などの危険な場所は、専門の業者に頼んだほうがよい場合もあると書いています。
この章でやることは3つです。
- ラットサインの近くで、すき間を探す
- 手の届くすき間は、金属タワシや金網でふさぐ
- 天井裏や高い場所は、業者に見てもらう

黒い汚れが天井の近くや壁の高い所にある人は、ふさぐ場所も高い所にあります。はしごを出す前に、見積もりで場所を確かめられます。
ネズミが活動した跡のことです。東京都の指針は、音、かじり跡、ふん、足跡、体のこすり跡を挙げています。千葉市や江東区のように、黒い汚れだけをラットサインと呼ぶ資料もあります。
黒い汚れは、ラットサインの代表です。読んだ8つの資料すべてが挙げていました。ネズミの体から出る脂と汚れが、通り道に付いたものです。ふんや足跡も合わせて呼ぶ資料が5つあります。
東京都多摩府中保健所は、消毒するなら消毒用アルコールでふき取る程度でよいと書いています。調理台、食器、調理器具は、よく洗って消毒します。拭く前に、写真で場所を残してください。
新宿区は、床に小麦粉をうすくまいて、足跡から見つける方法を紹介しています。探す場所は、天井裏、水まわりの配管、換気扇のすき間、押入れ、床下です。
ネズミが決まった道を何度も通るからです。体の脂と汚れが同じ場所に重なって付き、黒光りした跡になります。東京都の指針と多摩府中保健所の冊子が、同じ説明をしています。
跡だけでは、今いるかどうかは決まりません。東京都多摩府中保健所は、ふんからネズミが「生息していたこと」が分かると書いています。拭いたあとにまた付くか、ふんが増えるかで確かめてください。
ラットサインは、ネズミが活動した跡のことです。黒い汚れだけを指す資料と、ふんや足跡まで含める資料がありました。
黒い汚れは、体の脂と汚れが通り道に付いたものです。掃除は、保健所が消毒用アルコールでふき取る程度と書いています。
大事なのは、拭く前に場所を残すことです。跡の近くに、出入り口のすき間があります。
最後に、やることを4つに絞ります。
- 黒い汚れとふんの写真を撮る
- 近くのすき間を探す
- ぬらして拭き取る
- 手の届くすき間をふさぎ、高い所は業者に見てもらう

写真と場所のメモがあれば、電話で状況を伝えやすくなります。入口が何か所あるかを聞くところから始められます。

