カメムシ大量発生は年で3倍ちがいます|2026年は43件・31府県
「今年はカメムシが多い」というニュースを見て、このページに来た人が多いはずです。
実際に検索されている質問でも、上位は「カメムシ 大量発生 なぜ?」と「今年は大量発生するのか?」でした。
先に、その数字がどこから来ているのかを書きます。「カメムシの大量発生」という言葉の出どころは、都道府県が出す発生予察の注意報です。
農林水産省が、その注意報を全国分まとめて公開しています。令和8年(2026年)は、8月31日時点で43件・31府県でした。
この記事では、その集計を5年ぶん並べて、年によってどれだけ変わるのかを見ます。
- 「カメムシの大量発生」の数字は、都道府県が出す発生予察の注意報の件数です
- 2026年は8月31日時点で43件・31府県。警報は0件です
- 令和6年(2024年)は61件、令和7年(2025年)は18件。年で3倍以上ひらきます
- 増減の理由は、山のスギやヒノキの実を食べ尽くすと成虫が山を下りてくるためです
- あなたがやること:この数字は果樹向けだと知る → 家の中の対策は別に立てる

ニュースの数字ではなく、いま自分の家に入ってきている分をどうにかしたい人は、現地を見てもらうところから頼めます。
まず、言葉の出どころをはっきりさせます。
都道府県は、農作物の病害虫について発生予察情報というものを出しています。その中に、注意報と警報の2種類があります。
農林水産省の資料に、2つの定義が書かれています。
注意報と警報の違い(農林水産省の資料より)
| 種類 | 発表される場面 |
|---|---|
| 注意報 | 警報を発表するほどではないが、重要な病害虫が多発することが予測され、かつ、早めに防除措置を講じる必要が認められる場合 |
| 警報 | 重要な病害虫が大発生することが予測され、かつ、早急に防除措置を講じる必要が認められる場合 |
かんたんに言うと、「大発生」という言葉は、警報のほうの定義に使われています。注意報は、その手前の段階です。
ニュースで「カメムシ大量発生」と見出しが付くとき、数えられているのは注意報の件数であることがほとんどです。
農林水産省は、令和8年の発表状況をまとめて公開しています。8月31日時点の内容は次のとおりです。
令和8年の果樹カメムシ類の注意報・警報の発表状況(令和8年8月31日現在)
注意報発表都道府県(件数:43件(31府県))
警報は発表件数は0件
件数と府県数が違うのは、同じ県が2回出しているためです。31府県が1回目を出し、そのうち12府県が2回目を出して、合計43件になっています。
最初に出したのは佐賀県で、3月25日でした。5月に19府県が集中しています。直近は8月26日の静岡県と、8月31日の和歌山県(2回目)です。
つまり、この記事を書いている時点でもまだ増えています。
そして、警報は0件です。前の章の定義に当てはめると、「大発生」の水準で発表した県は、今年は1つもありません。
農林水産省は、別の資料で過去5年の推移も公開しています。
果樹カメムシ類の警報・注意報の発表回数(農林水産省の資料より)
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| 年 | 7月末まで | 8月以降 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 令和4年(2022年) | 20 | 7 | 27 |
| 令和5年(2023年) | 13 | 0 | 13 |
| 令和6年(2024年) | 48 | 13 | 61 |
| 令和7年(2025年) | 13 | 5 | 18 |
| 令和8年(2026年) | 33 | 集計中 | 43(8月31日時点) |
令和8年の合計だけ、8月31日時点の別資料の数字に置き換えています。推移のグラフは7月末時点で作られており、そこでは33件でした。
数字を並べると、はっきりします。
令和6年(2024年)の61件が飛び抜けています。農林水産省自身も、産地の取り組みを紹介する部分で「令和6年の多発年」と書いています。
一方、令和7年(2025年)は18件でした。令和6年の3分の1以下で、この5年では令和5年の次に少ない年です。
かんたんに言うと、カメムシの数は毎年多いわけではありません。年によって3倍以上ひらきます。
なお、「25府県」という数字を挙げた記事や投稿があります。ただし今回調べた農林水産省の資料では、25という数字を確認できませんでした。確認できたのは、令和8年の31府県・43件と、上の表の年次推移です。
農林水産省の資料に、果樹カメムシ類の1年の動きが書かれています。
カメムシは、山のスギやヒノキの実(球果)を餌にして繁殖します。冬は広葉樹の落ち葉の下などで越します。
問題はそのあとです。資料にはこう書かれています。
山の餌が枯渇したら園地に飛来し加害
山の実を食べ尽くすと、カメムシは山を下りてきます。果樹園に来るのも、人の住む場所に来るのも、この移動の結果です。
だから、山にどれだけ実が付いたかで、その年に下りてくる数が変わります。山の実の付き方が、年ごとに大きくふれる理由です。
飛んでくる時期も、資料では2つに分かれています。
果樹園への飛来の2つの時期(農林水産省の資料より)
| 時期 | 中心になる個体 |
|---|---|
| 前期(5〜7月) | 冬を越した世代 |
| 後期(8月以降) | その年に生まれた新成虫 |
いま9月に見かけるカメムシは、後期のほうです。その年に生まれた個体が中心になります。
ヒノキの実の食べ跡が25本を超えると山を離れます
いつ下りてくるかを予測する方法も作られています。福岡県農業総合試験場が開発したものです。
カメムシは針状の口を実に刺して汁を吸います。刺したあとには口針鞘という跡が残ります。その跡の数を数えれば、実がどれだけ食べられたかが分かります。
資料にはこう書かれています。
口針鞘が25本/球果以上になると、成虫がヒノキを離脱し果樹園に飛来
つまり、ヒノキの実1個あたり25本を超えると、カメムシは山を離れます。7月下旬の数を数えることで、離れる時期をおおまかに予測できるとされています。
かんたんに言うと、「大量発生」は突然増えたのではなく、山から下りてきたということです。
ここは正直に書きます。
ここまでの数字は、すべて果樹カメムシ類のものです。農作物を守るために出されている情報で、家の中に入ってくるカメムシの数を測ったものではありません。
ただし、無関係でもありません。
注意報の対象になる種のひとつに、クサギカメムシがいます。石川県の資料では、この虫は「冬季が寒冷な地域では、越冬のために屋内に侵入し、刺激を感じると強い悪臭を放つ衛生害虫」でもあります。
同じ虫が、果樹園にも家にも来ています。だから注意報の多い年は、家に来る個体も多いと考えるのは自然です。
ただし、注意報の件数がそのまま家の中の匹数を表すわけではありません。注意報の件数と家の中の匹数は、分けて考えてください。
家の中の対策そのものは、カメムシ対策は8〜9月にやりますにまとめています。入口になる隙間の大きさと、ふさぐ順番を書いています。
なお、「大量発生」という言葉の中身が実は違った、という例はほかにもあります。ヤスデの大量発生は年2回の集団移動では、増えたのではなく移動していただけでした。

家の中で何匹も見ていて、どこから入っているのか分からない人は、侵入口を探してもらうところから頼めます。
「カメムシ大量発生はいつ終わる?」も、よく検索されています。
終わる日を書いた資料は、今回調べた範囲では見つかりませんでした。分かるのは次の2つです。
1つは、福岡県農業総合試験場の予測法が、9月上旬までしか予測範囲に入れていないことです。資料に「予測範囲は9月上旬まで」と書かれています。
もう1つは、気温が下がるとカメムシが越冬場所へ移ることです。石川県の資料には、気温の低下とともに狭く暗い場所や家屋に潜り込んで冬を越すと書かれています。
つまり、屋外で飛び回る時期は秋のうちに終わります。ただし秋は、カメムシが家の隙間に入り込む時期でもあります。
発表された注意報の数で見ると、2025年は少ない年でした。令和7年の合計は18件で、令和6年(61件)の3分の1以下です。
この5年で最も少なかったのは令和5年の13件で、令和7年はその次に少ない年でした。
令和6年の61件は、この5年で最も多い数字です。農林水産省も産地の取り組みの説明で「令和6年の多発年」と書いています。
理由そのものを1文で説明した記述は、今回の資料にはありません。ただし、資料が挙げている仕組みは山の餌の量です。山のスギやヒノキの実を食べ尽くすと、成虫が山を下りてきます。
急に増えたのではなく、山から一斉に下りてきたためです。
農林水産省の資料には「山の餌が枯渇したら園地に飛来し加害」と書かれています。餌がなくなる時期が重なると、移動も重なります。
また、愛媛県の取り組み事例に、民間企業のコメントが載っています。そこでは集合フェロモンによって短期間で密度が高まるとされています。
「25府県」という数字は、今回調べた農林水産省の資料では確認できませんでした。
確認できたのは、令和8年が43件・31府県という数字です。都道府県名と発表月日の一覧も、農林水産省が公開しています。
注意報は農作物向けの情報なので、そのまま家の中の話にはなりません。
ただし、対象種のひとつクサギカメムシは、石川県の資料では屋内に侵入する衛生害虫でもあります。同じ虫なので、家の対策は注意報とは別に立ててください。
「カメムシの大量発生」の数字は、都道府県が出す発生予察の注意報の件数です。
令和8年(2026年)は、8月31日時点で43件・31府県。警報は0件です。国の定義では「大発生」は警報の側の言葉なので、今年はその水準では発表されていません。
年による差は大きく、令和6年は61件、令和7年は18件でした。3倍以上ひらきます。
増減の理由として資料が挙げているのは、山のスギやヒノキの実の量です。食べ尽くすと、カメムシは山を下りてきます。
読み終えたあとにやることを書きます。
- ニュースの「大量発生」は注意報の件数だと知っておく
- その数字は果樹向けで、家の中の匹数ではないと分ける
- 家の対策は別に立てる。入口は2〜3mmの隙間から
- 9月のうちに窓・サッシ・玄関を見ておく

数字の話はここまでです。実際に家へ入られているなら、9月のうちに見てもらうと冬までに間に合います。

