飲食店の害虫駆除|東京都の異物混入505件のうち苦情の7割に虫が現れる
飲食店の害虫対策は、店の中だけの問題では終わりません。
客が気づけば苦情になり、行政の統計に残ります。東京都はその件数を毎年公表していて、何が混入したかまで分類されています。
この記事では2026年8月19日に東京都の公表ファイルを取得し、異物混入505件の中身を分解しました。自店で何から手を付けるかの材料になります。
- 食品衛生の苦情を施設別に見ると、飲食店営業が67.9%を占める
- 異物混入505件のうち最も多いのは虫の126件。合成樹脂類82件、動物性異物79件を上回る
- 虫の内訳はゴキブリが41件で最多
- 業態別に分けると、虫の割合は17%から51%まで開く

混入したら店の営業に響きます。営業中に立ち入られない時間帯で作業できるかは、聞けばその場で分かります。
まず、苦情がどこで起きているかを確認します。
東京都は「食品衛生関係苦情処理集計表」を毎年公表しています。令和6年度の施設別の集計は次のとおりでした。
令和6年度 施設別の苦情件数(東京都・上位)
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| 施設分類 | 件数 | 構成比 |
|---|---|---|
| 飲食店営業 | 2,968 | 67.9% |
| (届出)販売業 | 392 | 9.0% |
| 不明 | 375 | 8.6% |
| 菓子製造業 | 136 | 3.1% |
| 魚介類販売業 | 95 | 2.2% |
| 集団給食 | 67 | 1.5% |
| 合計 | 4,373 | 100% |
東京都「食品衛生関係苦情処理集計表(令和6年度)」より(2026年8月19日確認)。
7割近くが飲食店営業です。食品を扱う施設は他にもありますが、苦情という形で表に出るのは圧倒的に飲食店です。
一方、苦情の要因を見ると別の姿になります。
令和6年度 要因別の苦情件数(東京都)
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| 要因 | 件数 | 構成比 |
|---|---|---|
| 有症(体調不良の訴え) | 1,807 | 39.3% |
| 施設・設備 | 585 | 12.7% |
| 食品・器具の取扱い | 552 | 12.0% |
| 異物混入 | 505 | 11.0% |
| 表示 | 193 | 4.2% |
| 従事者 | 175 | 3.8% |
| 異味・異臭 | 173 | 3.8% |
| 合計 | 4,597 | 100% |
同上。苦情要因が複数ある事例はそれぞれの項目に計上されています。
異物混入は11.0%で、要因としては4番目です。ここからは編集部の見方ですが、「施設・設備」が585件で異物混入より多い点は覚えておく価値があります。混入する前の段階で苦情になっている件数のほうが多い、ということです。

虫を見られてから対応するより、設備の状態を見られている場面のほうが多い、と読めます。
異物混入505件の中身が、種類別に公表されています。
令和6年度 異物混入505件の内訳(全施設)
| 異物の種類 | 件数 |
|---|---|
| 虫 | 126 |
| 合成樹脂類 | 82 |
| 動物性異物(人毛など) | 79 |
| 不明 | 56 |
| 鉱物性異物 | 49 |
| その他 | 43 |
| 食品の一部 | 36 |
| 植物性異物 | 14 |
| 寄生虫 | 7 |
| 紙 | 6 |
| 繊維 | 6 |
| 絆創膏 | 1 |
| たばこ | 0 |
東京都の公表ファイルより編集部が抜粋(2026年8月19日確認)。13分類の合計は505件です。
虫が126件で最多です。異物混入のおよそ4件に1件にあたります。髪の毛などの動物性異物(79件)やビニール類などの合成樹脂類(82件)より多い結果でした。
飲食店営業に絞ると、異物混入は303件です。505件のうち約6割を飲食店が占めています。そのうち虫は93件でした。
混入する異物として、虫がいちばん多い。この一点だけでも、対策の優先順位を決める材料になります。

苦情の中身が虫に偏っているなら、優先して手を打つ場所も決まります。まず店の状態を見てもらうところからです。
虫126件は、さらに細かく分類されています。
虫126件の内訳(全施設と飲食店営業)
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| 種類 | 全施設 | うち飲食店営業 |
|---|---|---|
| ゴキブリ | 41 | 37 |
| 不明 | 27 | 14 |
| その他の虫 | 26 | 17 |
| ハエ | 22 | 17 |
| 虫卵・幼虫・蛹 | 10 | 8 |
| 合計 | 126 | 93 |
同上。飲食店営業の虫93件の内訳です。
ゴキブリ41件のうち37件が飲食店営業でした。9割が飲食店に集中しています。ハエ22件のうち17件も同様です。
見落としやすいのが最下段です。虫卵・幼虫・蛹が独立して数えられています。成虫が入り込んだケースだけでなく、卵や幼虫の段階で混入した事例も苦情になっているということです。
ここからは編集部の判断です。成虫を見かけてから駆除する対応では、この行に該当する事故は防げません。保管中の食材や乾物の中で繁殖している可能性まで含めて見る必要があります。
ゴキブリそのものの対策はゴキブリ駆除の完全ガイドにまとめています。
ここからは編集部の独自集計です。
東京都の公表ファイルには、飲食店営業がさらに業態別に分かれて載っています。異物混入の件数と、そのうち虫だった件数を取り出し、割合を計算しました。
業態別の異物混入と虫の割合【独自集計】
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| 業態 | 異物混入 | うち虫 | 虫の割合 | ゴキブリ |
|---|---|---|---|---|
| 中華料理店 | 39 | 20 | 51.3% | 13 |
| 居酒屋 | 12 | 6 | 50.0% | 2 |
| その他 | 85 | 28 | 32.9% | 9 |
| 外国料理店 | 27 | 8 | 29.6% | 2 |
| 定食屋、レストラン | 56 | 15 | 26.8% | 4 |
| 仕出し屋、弁当屋、そうざい店 | 47 | 9 | 19.1% | 1 |
| 日本料理店 | 29 | 5 | 17.2% | 4 |
東京都の公表ファイルから編集部が抜き出して割合を計算しました(2026年8月19日確認)。焼肉店は件数が3件と少ないため表から除いています。
中華料理店は異物混入の半分が虫で、しかもゴキブリが13件と突出しています。対する日本料理店は17.2%で、3倍近い開きがあります。
ここからは編集部の分析です。加熱の仕方や厨房の構造、扱う食材の違いが背景にあると考えられますが、東京都の統計は理由まで示していません。断定はできません。
ひとつ大事な注意があります。東京都の数字は苦情の件数であって、発生件数ではありません。店舗数で割った率でもないため、「中華料理店は虫が多い店だ」とは読めません。客の目に触れて苦情になった件数の内訳、という数字です。

自店の業態が上のほうにあるなら、点検の頻度を見直す理由にはなります。順位そのものを気にする数字ではありません。
統計に出ているのは、客が気づいた分だけです。
厨房で見つけて処理した分は、この505件には入っていません。つまり実際の遭遇はこれより多いはずで、統計は氷山の一角を数えたものになります。
そのうえで、数字から言えることを整理します。
- 異物として最も多いのは虫(126件)。人毛や樹脂より多い
- 飲食店のゴキブリが全体の大半(41件中37件)
- 卵や幼虫の段階でも苦情になる(10件)
- 要因別では「施設・設備」が585件と異物混入より多い
最後の行が示しているのは、混入する前の段階で見られているということです。設備の隙間や汚れは、虫の温床であると同時に、それ自体が苦情の対象になります。
計画としてどう扱うかは飲食店のゴキブリ駆除は「衛生管理計画」に書く項目にまとめました。国の手引書が示す頻度や、業者選びの基準を扱っています。
ネズミが出ている場合はネズミ駆除の方法を完全解説を参照してください。東京都の分類では虫と別枠ですが、飲食店では同じ対策の対象になります。
依頼するとき、数字で伝えられると話が早くなります。
「虫が出るのでなんとかしてほしい」だと、業者側も範囲を決められません。次のように分解して伝えてください。
- どの虫か(ゴキブリ・ハエ・その他。分からなければ写真を残す)
- どこで見たか(厨房・客席・保管庫・ゴミ置き場・搬入口)
- 成虫か、卵や幼虫か(保管中の食材の中かどうか)
- 設備の状態(隙間、排水まわり、什器の下)
※東京都の分類項目をもとに編集部が整理したものです。
3番目は特に伝える価値があります。卵や幼虫が食材の中にいる場合、その場の駆除では終わらず、保管の見直しまで話が及びます。
料金の考え方はゴキブリ駆除を業者に頼む料金・費用にまとめていますが、店舗は定期契約になることが多く、1回あたりの相場とは考え方が変わります。
急ぎの相談先については害虫駆除の24時間対応業者は「受付」だけ?で、受付時間と実際に動ける時間の違いを扱っています。

店舗は1回で終わらず定期契約になることが多い分野です。年でいくらになるかを先に出してもらうと比べやすくなります。
要因別では有症の訴えが最も多くなっています。
令和6年度の東京都の集計では、有症が1,807件(39.3%)、施設・設備が585件(12.7%)、食品・器具の取扱いが552件(12.0%)、異物混入が505件(11.0%)でした。施設別では飲食店営業が67.9%を占めています。
虫です。
異物混入505件のうち虫が126件で最多でした。次いで合成樹脂類が82件、人毛などの動物性異物が79件です。虫の内訳ではゴキブリが41件で最も多くなっています。
苦情に占める虫の割合は高くなっていますが、発生が多いという意味ではありません。
異物混入39件のうち20件が虫で、割合は51.3%でした。ただしこれは苦情として届いた件数の内訳で、店舗数で割った率ではありません。発生件数を示す数字ではない点にご注意ください。
なっています。
東京都の分類では「虫卵・幼虫・蛹」が独立した項目として集計されており、令和6年度は10件(うち飲食店営業8件)でした。成虫だけを想定した対策では、この区分の事故は防げません。
東京都保健医療局の「食品衛生の窓」で公表されています。
要因別・施設別・食品別などの集計表がExcel形式とCSV形式で、令和2年度から公開されています。異物混入の種類別の内訳は、年度ごとの苦情処理状況のページから取得できます。
東京都の統計は、飲食店の害虫対策に順位を付けてくれます。
苦情の67.9%が飲食店営業で、異物混入505件のうち最も多いのが虫の126件でした。ゴキブリは41件中37件が飲食店に集中しています。
業態によって虫の割合は17%から51%まで開きますが、これは苦情の内訳であって発生率ではありません。自店の点検頻度を見直す材料として使ってください。
そして卵や幼虫が独立して数えられている点を忘れないでください。見えているものを片づけるだけでは、統計に載る事故は防ぎきれません。

衛生管理計画に書く前に、実際にどこまでの作業が必要かを見てもらったほうが早く決まります。

