横浜市のシロアリ駆除|市の資料が「従来の防除法は有効とはいえない」と書く理由
横浜でシロアリ業者を探すとき、多くの記事は床下の話から始まります。
ところが横浜市自身が公開している資料には、床下の対策が通じない種類が市内にいると書かれています。相手が1種類ではないためです。
この記事では2026年8月18日に横浜市の公開資料を確認し、市が示している点検箇所と判定の基準を整理しました。見積もりを受け取ったあとで使えます。
- 横浜市は3種類のシロアリについて市内の分布・被害を記載している
- うちアメリカカンザイシロアリは「従来の防除法は有効とはいえず」と明記されている
- 市が挙げる蟻害の点検箇所は6か所。床下はそのうちの1つにすぎない
- やること:点検の範囲を確認 → 被害程度を市の基準に当てる → 2社で見積もりを比べる

市が挙げる点検箇所は6か所ありますが、小屋裏や天井回りは自分では覗けません。どこまで見るかを決めるところからです。
種類によって、効く対策が変わります。
横浜市の「公共建築物の木材利用ガイドライン」(点検と劣化診断の章)には、シロアリについて次のように記載されています。
シロアリによる食害は主にヤマトシロアリ、イエシロアリによるものであり、どちらも市内に分布します。そのうえで、アメリカカンザイシロアリについて市内でも被害が確認されていると書かれています。
横浜市の資料に記載された3種のシロアリ
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| 種類 | 市内での扱い | 好む環境 | 巣の場所 |
|---|---|---|---|
| ヤマトシロアリ | 市内に分布 | 湿度が高く暖かい環境 | 土中・湿った木部 |
| イエシロアリ | 市内に分布 | 湿度が高く暖かい環境 | 土中・湿った木部 |
| アメリカカンザイシロアリ | 市内でも被害を確認 | 湿潤な環境を必要としない | 木材の中 |
横浜市の公開資料による(2026年8月18日確認)。この資料は公共建築物を対象としたものです。
もうひとつ、見落とされやすい記載があります。シロアリは雑食で、木材以外にも生木、プラスチック、ゴム、繊維類、皮革類も加害するとされています。
床下収納の中身や配線の被覆が対象になりうる、ということです。
金額の前に、点検の範囲と被害の程度を揃えます。
同じ「シロアリ駆除」でも、床下だけを見た見積もりと、小屋裏まで見た見積もりでは、比べても意味がありません。
見積もりを受け取ったら確認する順番
市の資料の項目に沿って並べました。
- どの種類を想定しているか(在来種か、アメリカカンザイシロアリか)
- どこを点検したか(6か所のうち、実際に見たのはどこか)
- 被害の程度をどう判定したか(断面のどのくらいか。開けて確認したのか)
- 補修か、部材交換か(20%の線のどちら側という説明があるか)
- 保証の年数と、その対象範囲
※市の資料の項目をもとに編集部が整理したものです。
費用の相場や、自分でできる範囲についてはシロアリ駆除は自分でできる?費用の相場と業者の選び方にまとめています。
2社目を取るときは、1社目が見た範囲を伝えたうえで同じ範囲を見てもらうと、金額の差が何によるものか分かります。

安いほうを選ぶ前に、その見積もりが同じ場所を見た結果なのかを確かめてください。
横浜市の資料にあるのは点検する箇所と被害の程度の線引きで、料金の記載はありません。
シロアリ駆除は坪ではなく、平米いくらで出す会社が多くあります。
編集部が生協10件を並べたところ、平米単価は1,320円から1,980円まで差がありました。
保証年数が5年か10年かで単価が変わる会社もあります。集計は生協のシロアリ駆除は10生協で価格が違うにまとめています。
神奈川県内で床下を見てもらう方法は神奈川のシロアリ駆除の前に床下を見る3つの方法で扱っています。
要確認:横浜市がシロアリ駆除の相場を公表している資料は見当たりませんでした(2026年8月24日確認)。
この一文が、横浜で業者を選ぶときの分かれ目になります。
市の資料は、まず在来の2種についてこう説明しています。ヤマトシロアリとイエシロアリは木材腐朽菌と同じく湿度が高く、暖かい環境を好むため、対策についても木材腐朽菌に近いものになります。
つまり在来種は、湿気を断つ方向の対策と相性がよい相手です。
ところがアメリカカンザイシロアリについては、記述が変わります。
湿潤な環境を必要とせず、巣を木材中に作るなど、在来のシロアリと異なる生態のため、従来の防除法は有効とはいえず、発見した場合には早急に駆除を行います。
ここからは編集部の整理です。湿気対策や床下の環境改善が、そのままでは通じない相手が市内にいるということになります。

「床下を乾かしましょう」で終わる提案が、相手によっては的を外していることになります。
見積もりを取るときは、業者がどの種類を想定しているのかを口に出して確認するのが早道です。種類が違えば、作業する場所も工程も変わります。

見積もりを取るときに「どの種類を想定しているか」を聞きたいけれど、聞く相手が1社しかない。答えの違いを見るには2社目が要ります。
床下だけでは、市が挙げる範囲を満たしません。
同じ資料には、蟻害診断で重点的に点検する箇所が列挙されています。
横浜市が挙げる蟻害診断の重点点検箇所
| 箇所 | 具体例 |
|---|---|
| 敷地回り | 伐根、垣根、木杭、木材片など |
| 基礎回り | 基礎立ち上がり部 |
| 外壁回り | 北側外壁、樋回り、開口部回りなど |
| 床回り | 振動、床鳴り、傾斜などがある箇所 |
| 水回り | 仕上げにひび割れがある箇所 |
| 小屋裏、天井回り | 特に、イエシロアリ、アメリカカンザイシロアリに対して |
横浜市の公開資料による(2026年8月18日確認)。
最後の行に注目してください。小屋裏と天井回りが、イエシロアリとアメリカカンザイシロアリを名指しして挙げられています。
ここからは編集部の判断です。床下だけを見て終わる点検は、市が挙げる6か所のうち床回りの1か所しか見ていないことになります。
敷地回りに「木杭、木材片」が入っている点も実務的です。庭に置いた古材や、抜かずに残した切り株が対象になります。

点検のあと「床下を見ましたが大丈夫でした」と言われたら、小屋裏は見たのかを聞いてよい場面です。
被害があると言われたとき、程度を測る物差しが公開されています。
市の資料は、蟻害診断の点検方法、診断基準、対応措置は、腐朽診断と同様としますと明記しています。その腐朽診断には、5段階の判定と対応措置が示されています。
横浜市が示す劣化診断の5段階(蟻害診断も同じ基準)
| 状態 | 対応措置 |
|---|---|
| 劣化の兆候も被害も一切ない | 健全 |
| 兆候はあるが、触診・圧入・目視で明確な被害を確認できない | 要環境改善+経過観察 |
| 明確な被害があるが、局所的で断面の20%程度以内 | 要部材補修+要環境改善 |
| 被害が部材の大半にあり、1箇所以上で材表面から辺長の20%以上に達する | 要部材交換+要環境改善 |
| 明確な兆候はあるが、仕上げ材に覆われ木部を直接確認できない | 要精密診断+要環境改善 |
横浜市の公開資料による(2026年8月18日確認)。公共建築物を対象とした基準です。
判定の考え方はこうです。断面欠損が2割程度までで収まっていれば表面的な補修と環境改善、2割を超える場合は部材交換を検討するとされています。
補修で済むのか、部材を交換するのか。その境目に20%という数字が置かれています。
そして5段階目が重要です。仕上げ材などで覆われて直接木部を確認できない場合について、資料はこう書いています。建物所有者に了解を得て、仕上げ材を剝さなければ、被害の有無は判定不可能である、と。
ここからは編集部の判断です。開けていないのに「被害があります」と断定された場合、何を根拠にした判定なのかを聞いてよいことになります。逆に「精密診断が必要です」という説明は、資料の考え方と一致します。
なおこの資料は公共建築物向けのもので、個人住宅の基準として定められたものではありません。それでも木造建築の見方として、見積もりを読むときの参考になります。
行政に相談して進む話ではありません。
横浜市の「害虫に関する情報」(最終更新2025年7月11日)を確認しましたが、シロアリについての記載は見当たりませんでした。掲載されているのは、お住まいの区の福祉保健センター生活衛生課への案内と、医療局健康安全部生活衛生課(045-671-2456)の連絡先です。
つまり衛生部門の窓口はシロアリを扱っておらず、市がシロアリについて記述しているのは建築部門の資料という状態です。
自治体がシロアリについて公開しているものの違い
| 自治体 | 公開しているもの |
|---|---|
| 横浜市 | 建築資料の点検箇所と診断基準 |
| 大阪府・大阪市 | 床下点検商法の手口への注意喚起 |
| 熊本県 | 県独自の協会による保証年数・調査の基準 |
各自治体の公開情報による(2026年8月18日確認)。
大阪では消費者行政の側から情報が出ています。大阪のシロアリ駆除は訪ねてきた業者から選ばないに、公表されている手口をまとめました。
熊本には県独自の協会があり、保証年数や調査の扱いが公開されています。熊本では県協会の公開基準で見積もりを検証できるで扱っています。
横浜の読者にとっての意味は単純です。制度や補助を探す時間は要らないので、そのぶん点検範囲の確認に時間を使えます。
今回の調査では確認できませんでした。
横浜市の「害虫に関する情報」にシロアリの記載は見当たりません。掲載されているのは区の福祉保健センター生活衛生課への案内と、医療局健康安全部生活衛生課(045-671-2456)です。制度は変わるため、必要であれば直接ご確認ください。
市の資料に、市内でも被害が確認されていると記載されています。
横浜市の公共建築物向けの資料には、アメリカカンザイシロアリについて市内でも被害が確認されていると書かれています。湿潤な環境を必要とせず木材の中に巣を作るため、在来のシロアリとは生態が異なるとされています。
市が挙げる点検箇所は6か所あります。
敷地回り、基礎回り、外壁回り、床回り、水回り、小屋裏・天井回りです。小屋裏と天井回りは、イエシロアリとアメリカカンザイシロアリに対して特に挙げられています。床下だけでは範囲が足りません。
判定の根拠を聞いてください。
市の資料では、仕上げ材に覆われて木部を直接確認できない場合について、仕上げ材を剝がさなければ被害の有無は判定不可能だとしています。開けずに断定された場合は、何を根拠にした判定かを確認する余地があります。
市の資料では断面欠損の2割が目安とされています。
2割程度までで収まっていれば表面的な補修と環境改善、2割を超える場合は部材交換を検討するとされています。ただしこれは公共建築物向けの基準で、住宅の工事内容を定めたものではありません。
横浜市の資料は、シロアリについて2つのことを書いています。
ひとつは、市内に3種類いて、うち1種には従来の防除法が有効とはいえないこと。もうひとつは、蟻害の点検箇所が6か所あり、小屋裏と天井回りが名指しで挙げられていることです。
床下を見ただけの点検と、6か所を見た点検では、出てくる見積もりの意味が違います。まず範囲を確認し、被害の程度が20%の線のどちら側なのかを聞いてください。そのうえで2社を比べれば、金額の差が何から来ているのか判断できます。

床下だけを見た見積もりと、6か所を見た見積もりでは意味が違います。範囲を揃える2社目としてお使いください。

