汲み取り式トイレのハエ駆除|ウジの薬は便槽がプラスチックかで選ぶ
汲み取り式トイレに、ハエが何匹も飛んでいて困っている人は多いはずです。
殺虫スプレーで追い払っても、次の日にはまた出てきます。
そこで、自治体と殺虫剤の業界団体の資料、ウジ用の薬の用法、建築の法令を読みました。
分かったのは、ハエの元は便槽のウジで、ウジの薬は便槽の材質で選ぶ必要があるということです。
- 汲み取り式トイレのハエは、便槽で育ったウジが羽化したもの。豊島区はセンチニクバエが汲取便所に発生すると書いている
- ウジの薬には、液剤に「プラスチック製の便槽には使用しない」と書かれた製品がある。同じメーカーの粒剤は「プラスチック便槽も傷めません」
- 学校や病院などの便所には、窓に「はえを防ぐための網」を張る決まりがある
- やること:便槽の材質を確かめる → 便池や便槽に使える薬を選ぶ → 窓に網、くみ取口のふたを閉める
ハエはトイレの外から来るだけでなく、便槽の中で育って出てきます。
豊島区は、センチニクバエというハエについて「厨芥・糞・汲取便所・動物の死体に発生します」と書いています。
豊島区の資料で、汲取便所に発生すると書かれたハエ
| 項目 | センチニクバエ |
|---|---|
| 体長 | 約8から14ミリメートル |
| 発生する場所 | 厨芥・糞・汲取便所・動物の死体 |
| 産み方 | 子宮内で卵がかえり、幼虫(ウジ)の形で産み落とす |
豊島区「ハエ」(2024年1月5日更新)を2026年9月13日に確認しました。
殺虫剤の業界団体である日本家庭用殺虫剤工業会も、ハエの発生源を書いています。「発生源の殆どは、人間が作り出した生ゴミや便池でした」とあり、下水道の整備で都市部では少なくなったとしています。
かんたんに言うと、汲み取り式トイレでは、便槽そのものがハエの発生源になります。
汲み取り式トイレを使う人は、今も少なくありません。環境省の調査では、2024年度の非水洗化人口は431万人で、総人口の3.5%でした。
汲み取りの間隔より、ハエが卵から成虫になる日数のほうが短いからです。
2つの資料の数字を並べます。
汲み取りの間隔と、ハエが育つ日数
| 資料 | 書かれている数字 |
|---|---|
| 御所市「くみ取り便槽を使用しているみなさんへ」 | くみ取りは月に1度 |
| 日本家庭用殺虫剤工業会「ハエ」 | イエバエは卵から成虫まで約14~20日 |
2026年9月13日に確認しました。くみ取りの間隔は自治体や家によって違います。
豊島区は、ゴミや糞を「1週間以内」に処分すれば、卵を産みつけられても成虫は羽化しないと書いています。
ここからは編集部の判断です。便槽の中身は1週間では片づかないので、ゴミと同じやり方ではハエの発生を止められません。だから便槽では、ウジに効く薬を使うことになります。
ただし、センチニクバエが何日で育つかは、確認した資料に書かれていませんでした。上の14~20日はイエバエの数字です。イエバエそのものの減らし方はイエバエの駆除はペットボトルでできる?にまとめました。
同じメーカーのウジ用の薬でも、プラスチックの便槽に使えるかどうかの書き方が逆でした。
アース製薬のバポナの2製品と、レックのバルサンの1製品を並べます。
ウジ用の薬3製品の用法と、便槽についての書き方
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| 製品 | 区分 | 有効成分 | ウジへの使い方 | 便槽についての書き方 |
|---|---|---|---|---|
| バポナ うじ殺し(液剤) | 防除用医薬部外品 | オルトジクロロベンゼン | 1㎡あたり50~100mLを発生場所に散布 | プラスチック製の便槽・下水管には使用しないこと |
| バポナ うじ殺しスティックS 粒剤 | 第2類医薬品 | フェンチオン5.0% | 1㎡につき10~20gを、主に便池など湿った発生場所にそのまま散布 | プラスチック便槽も傷めません |
| バルサン水性うじ殺し乳剤 | 第2類医薬品 | プロペタンホス3% | 200倍に薄め、1㎡あたり2Lを発生場所に散布 | 添付文書の用法に便槽の語は無い。レックのよくある質問は「便池やゴミ捨て場などの発生源に」使うと書く |
アース製薬の製品ページ、KEGGに掲載されたバルサン水性うじ殺し乳剤の添付文書(2026年8月19日版)、レックの「よくあるご質問」を2026年9月13日に確認しました。プラスチックの便槽に使えるかは、バルサンの資料には書かれていませんでした。
粒剤は、1回まくと効果が約4週間続くとアース製薬は書いています。
かんたんに言うと、便槽がプラスチックなら、液剤を買う前に粒剤の表示を見るということです。材質が分からなければ、汲み取りを頼んでいる業者に聞くのが確実です。
薬を使うときの注意も、製品に書かれています。主なものを並べます。
- 薬を口や目に入れない。散布するときは手袋やマスクを着ける
- 薄めるときは食品用の容器を使わず、手でかき混ぜない
- 井戸や地下水、池などを汚すおそれのある場所では使わない
- 体に異常が出たら、製品を持って医師にかかる
バルサン水性うじ殺し乳剤の添付文書は、薬が井戸や河川に流れ込んだら「直ちに警察又は保健所に届け出ること」と書いています。
建築の法令は、水洗ではない便所の窓に、ハエを防ぐ網を張るよう定めています。
建築基準法施行令と、その構造を定めた建設省告示第1386号に、次のように書かれています。
建築の法令で、くみ取便所のハエと臭いに関わる決まり
| 対象 | 決まり |
|---|---|
| 都市計画区域などにある学校・病院・百貨店・ホテルなどの便所と、公衆便所 | 水洗便所以外の大便所の窓その他換気のための開口部には、はえを防ぐための網を張ること |
| くみ取便所 | くみ取口に、密閉することができるふたを取り付けること |
建築基準法施行令第29条・第30条と、建設省告示第1386号(平成12年5月29日)を2026年9月13日に確認しました。
網の決まりの対象は、都市計画区域などにある学校や病院など人が多く集まる建物の便所と、公衆便所です。一般の住宅に、網を張る義務はありません。
ここからは編集部の判断です。法令が網を求めるのは、水洗ではない便所の窓からハエが入るからです。住宅でも同じ考え方で、便所の窓に網を張り、くみ取口のふたを閉めておくと、外から入るハエを減らせます。
便槽に薬を入れてもハエが減らないなら、発生源がほかにある可能性があります。
豊島区は、都会のハエの発生場所として次のものを挙げています。
- ゴミ・生ゴミの容器
- 犬や猫の糞
- 漬物桶やぬか味噌の容器
- 動物の死体
小さなハエなら、種類が違うかもしれません。水洗トイレや浴室に出る小さなハエは、チョウバエ駆除は掃除の間隔で決まりますで扱っています。
台所や生ゴミのまわりに出る小さなハエは、コバエ発生源がわからないのは種類を見ていないからで種類ごとに整理しています。
ネズミなどの死骸が床下や天井裏にあると、ハエが出ることがあります。片付け方はねずみの死骸はどうする?にまとめました。
ここに挙げた場所を見ても発生源が見つからないなら、業者に家のまわりを見てもらう判断もあります。臨時の汲み取りは、住んでいる市町村が案内している窓口や業者に頼みます。
汲み取り式トイレなら、便槽でウジが育っている可能性があります。飛んでいるハエにスプレーを使うだけでなく、便槽のウジに使える薬を用法どおりに使ってください。豊島区は、発生源をなくす清掃を第一にし、殺虫剤は補助的に使うよう書いています。
製品によります。アース製薬のバポナ うじ殺し(液剤)は「プラスチック製の便槽・下水管には使用しないこと」と書いています。同じメーカーのバポナ うじ殺しスティックS 粒剤は「プラスチック便槽も傷めません」と書いています。使う前に製品の注意書きを確認してください。
豊島区の資料では、センチニクバエが「汲取便所」に発生すると書かれています。体長は約8から14ミリメートルで、卵ではなくウジの形で産み落とすハエです。ほかの種類がいないとは書かれていないので、見た目で決めつけないでください。
この記事で確認した自治体・業界団体の資料と薬の添付文書には、タバコや熱湯を便槽に入れる方法は書かれていませんでした(2026年9月30日にも探し直しましたが、見つかりませんでした)。タバコに含まれるニコチンは、毒物及び劇物取締法で「毒物」に指定されている物質です(別表第一)。便槽に入れるなら、ウジへの使い方と使用場所が書かれた製品を用法どおりに使ってください。
バルサン水性うじ殺し乳剤の添付文書には、薬が井戸・池・河川などに流れ込んだ場合は「直ちに警察又は保健所に届け出ること」と書かれています。アース製薬の粒剤も、井戸や地下水を汚すおそれのある場所では使わないよう書いています。
汲み取り式トイレのハエは、便槽で育ったウジが羽化したものです。豊島区はセンチニクバエが汲取便所に発生すると書いています。
イエバエは卵から成虫まで約14~20日です。月1回の汲み取りを待つあいだに育つので、便槽ではウジの薬を使うことになります。
ウジの薬は、便槽がプラスチックかどうかで選びます。アース製薬の液剤はプラスチック製の便槽に使えず、粒剤は傷めないと書かれていました。
入ってくるハエは、窓の網とくみ取口のふたで減らせます。学校や病院などの便所には、窓に網を張る決まりがあります。
最後に、やることを3つに絞ります。
- 便槽の材質を確かめる。分からなければ汲み取り業者に聞く
- 便池や便槽に使える薬を選び、用量を守る
- 便所の窓に網を張り、くみ取口のふたを閉める

便槽に薬を入れても家の中のハエが減らないなら、発生源はトイレの外にあるかもしれません。どこから出ているのかを、見てもらうところから始められます。

